
IT業界は数ある業種の中でも将来性が高いとされていますが、必ずしもすべての企業が成長するとは限らず、今後淘汰される企業も出てくるでしょう。
経営者にとっては、自社の将来に不安を感じ今後どのような戦略をとれば良いのか悩むことも多いものです。
そこで本記事では、IT業界で今後成長が期待されるのはどういった企業なのか、反対に淘汰される可能性のある企業の特徴についても解説します。
目次
IT業界の将来性

数ある業種の中でもITは成長が著しく、今後も伸び続けていく可能性は高いでしょう。
大手IT調査会社のガートナー社が公表している世界のIT市場規模のデータを見ても、コロナ禍が明けた2021年から右肩上がりに成長しており、2023年には600兆円の大台を突破しました。
日本国内においても、以下の要因によってIT市場は拡大していくと考えられます。
DXの推進
特に大きな要因として挙げられるのが、日本国内の多くの企業がDXを推進していることです。
2018年に経済産業省が公表した「DXレポート」では、レガシーシステムの老朽化によって莫大な経済損失が生じるおそれがあると指摘され、DXの重要性が多くの企業に認知されました。
その結果、ITシステムのリプレイスやデジタル技術を積極的に活用する動きが広がっています。
リモートワークが一般化したことによるクラウドの普及
コロナ禍を機にこれまで一般的だったオフィスワークからリモートワークに切り替える企業が増加し、現在では当たり前の働き方として定着しています。
離れた場所で仕事をするとなると従業員同士のコミュニケーションや情報のやり取りが課題となりますが、これを解決する手段としてクラウドサービスのニーズが増加。
IT業界では大きなトレンドとなっており、今後もクラウドに対応したソリューションの導入は進んでいくと考えられます。
AI技術の進歩
ここ数年で生成AIは急速な進化を遂げており、ビジネス文書の作成やコーディング、デザインなどさまざまな業務が自動化されるようになりました。
今後は医療や金融、教育などの専門分野に特化したAIモデルが開発されていくと考えられ、あらゆる業界でAIのニーズは高まっていく可能性があります。
サイバーセキュリティの重要性の高まり
サイバー攻撃の手口は年々巧妙化しており、特に企業はランサムウェア攻撃や標的型攻撃などのターゲットになりやすい傾向があります。
十分なセキュリティ対策を講じていないと顧客情報や機密情報が外部に漏えいするおそれもあり、結果として企業の信頼性を失ってしまいます。
このような事態を防ぐためにも、さまざまなセキュリティ対策のソリューションが増えているほか、サイバーセキュリティの知見をもった専門家やエンジニアを採用するケースも少なくありません。
「IT業界には将来性がない」と言われる理由とは?

IT業界は年々市場規模を拡大している一方で「IT業界には将来性がない」といった悲観的な意見を目にすることもあります。
この背景には、IT業界の二極化が進んでいることが影響していると考えられます。
テクノロジーの進化が早いIT業界では、時代の変化に応じて新たな技術を取り入れていく必要があります。
また、ときには専門人材を採用し技術力を強化したり、事業戦略の大胆な変更が求められることもあるでしょう。
このような変化に対応できる企業もあれば、技術力や人的リソースが不足し市場の変化についていけず、買収されたり廃業を選択したりする企業も少なくありません。
その結果、同じIT業界でも成功する企業と淘汰される企業の二極化が起きているのです。
淘汰された、あるいは今後淘汰されそうな側にしてみれば「IT業界には将来性がない」と悲観的になるのは当然ともいえるでしょう。
しかし、冒頭で説明した通りIT業界全体で見れば決して将来性がないわけではなく、むしろ拡大していく可能性が高いのです。
関連記事:「IT業界はやめとけ」と言われるのはなぜ?人材定着化のために経営者が気をつけるべきポイント
成功する/淘汰されるIT企業の特徴・共通点

二極化が進むIT業界の中で、成功する企業と淘汰される可能性がある企業にはどのような違いがあるのでしょうか。
それぞれの企業の特徴や共通点について解説します。
成功するIT企業の特徴
成功する企業に多く見られるのが以下の特徴です。
ニッチ市場への特化
特に中小のIT企業は、大手に対し真っ向から勝負を仕掛けても競争に負ける可能性が高いため、差別化を図るためにもニッチな市場へ特化することがポイントといえます。
たとえば、ある企業では半導体の設計や製造といった分野ではなく、検査技術や検査装置に特化したことで企業価値を高めています。
顧客中心の製品間発と最新技術の活用
最新の優れた技術やノウハウをもっていても、顧客に対し価値を提供できるものでなければ売上には結びつきません。
成功するIT企業の多くは、まずは顧客の視点に立ち、どのような悩みや課題を解決するのかを考え、それを実現するための手段として技術を活用しています。
従業員を大切にする企業文化
IT企業にとって優秀な人材は事業を継続していくうえで不可欠な存在です。
そのため、成功している企業の多くは従業員を大切にする企業文化があり、そこで働く従業員も自社に貢献しようという高い意識があります。
従業員を大切にするというのは、単に福利厚生を充実すれば良いというわけではなく、適切な評価制度や経営層との信頼構築、成果に応じた納得感のある報酬体系などもポイントとなります。
スモールスタートで徐々に成長
企業として大きな目標やビジョンを掲げることは大切ですが、成功企業の多くはスモールスタートから徐々に事業を拡大しています。
はじめから莫大な設備投資や多くの人材を採用することはリスクであり、万が一事業に失敗すると経営の立て直しが困難になるためです。
淘汰される可能性のあるIT企業の特徴
上記とは反対に、淘汰される可能性がある企業にはどういった特徴があるのでしょうか。
最新技術のキャッチアップが遅い
IT業界は技術革新のスピードが早く、最新技術やトレンドのキャッチアップが遅れると自社の優位性を失ってしまいます。
過去の成功体験を引きずったまま、これまでのやり方や古い技術に固執しすぎると時代の変化とともに淘汰される可能性が高まります。
多重下請け構造に位置している
中小のIT企業は大手からの下請け業務に依存しているケースが少なくありません。
このような多重下請け構造では、下層にいくほど得られる利益も減少してしまいます。
独自のプロダクトや技術がなく、下請け業務が中心となっていると今後淘汰されていく可能性が高いといえるでしょう。
教育・研修の体制やスキルアップ支援制度が整っていない
IT業界ではスキルアップのために継続的な学習が必要といわれます。
しかし、従業員の自主性に委ねるばかりで、企業として教育体制や支援制度を整えていない企業は、人材が育たず他社との競争に負けてしまう可能性があります。
業務が属人化している
業務は誰が担当してもスムーズに行えるよう、マニュアル化しておくことが基本です。
しかし、人手不足の企業ではマニュアルを準備するほどの余裕がなかったり、業務管理のノウハウがなく属人化しているケースも少なくありません。
このような状況下では、従業員が退職すると代わりに業務を担当する人がいなくなり、事業継続にも大きな影響が及ぶ可能性もあります。
関連記事:IT業界の離職率は高い?低い?企業がとるべき対策とは
二極化の時代を生き抜くためにIT企業がとるべき戦略とは

二極化が進むIT業界の中で、今後企業が生き残っていくためにはどういった戦略が求められるのでしょうか。
AIを活用して自動化できる部分は自動化する
人手不足が深刻化する中で人的リソースの確保は大きな課題のひとつです。
限られた人員で生産性を維持・向上していくためには、AIを活用しながら定型的な業務を自動化することが求められます。
たとえば、単純なコーディングやテスト、データ入力などの作業はAIに任せ、それらの作業を担ってきた従業員は独自プロダクトの企画や開発といったクリエイティブな業務にアサインすることも検討してみましょう。
PDCAを高速で回し試行回数を重ねる
新規事業の創出や業務プロセスの改善にあたっては、PDCAサイクルを高速で回しながら試行回数を重ねることが有効です。
中でも、PDCAのうち「Do(実行)」が極めて重要であり、さまざまな行動を起こすことで成功につながるヒントが見つかるケースが少なくありません。
「Plan(計画)」や「Check(評価)」、「Action(評価)」よりも、「Do(実行)」をなるべく多く実践することを心がけましょう。
人材育成と適切な裁量権の付与
IT企業にとって成長のカギとなるのは、専門的な知識をもった優秀な人材の確保です。
新たに人材を採用したり、ヘッドハンティングによって獲得することも重要ですが、それと同時に既存の従業員の育成にも積極的に取り組みましょう。
教育や研修制度の充実やスキルアップ支援制度のほか、成長に合わせた報酬のアップや業務における裁量権を与えることもやりがいにつながり、人材流出を防げます。
IT業界のM&A仲介ならM&Aベストパートナーズまで
新規事業開発やニッチ市場への参入など、さまざまな対策を講じていても二極化するIT業界の中で生き残っていくのは簡単なことではありません。
経営者には従業員の雇用を守る責任があり、そのためにもできるだけ長く会社を存続させていく必要があります。
そこで、経営の立て直しと安定化を図るために、M&Aもひとつの手段となり得ます。
他社の傘下に入ることで従業員の雇用は守られ、さらに自社の技術力と他社のノウハウを融合しさまざまなシナジー効果を発揮できる可能性もあります。
M&Aには法律の専門知識が求められるほか、相手先との交渉も慎重に進めなければならないため、専門の仲介業者やコンサルティング会社に相談・依頼するのが一般的です。
MABPではこれまで数多くのIT企業のM&Aを支援してきた実績があるため、自社の将来性に不安がある方やM&A以外の選択肢も含めて検討してみたいという方は、ぜひお気軽にご相談ください。
まとめ
DXの推進やリモートワークの普及、AI技術の進化などもあり、IT業界は今後も成長が期待されています。
しかし、業界全体では二極化も進んでおり、成長する企業もあれば今後淘汰されていく企業も出てくるでしょう。
IT業界で生き残っていくためにはニッチ市場の開拓や最新技術の活用、スモールスタートで事業を立ち上げるといったポイントが重要ですが、必ずしも成功するという保証はありません。
より安定した経営を実現するためには、M&Aによって他社と手を組むことも有力な選択肢といえます。