不屈の精神で向き合い、自分で「街づくり」をする未来へ
父の背中に憧れて——不屈の精神を育んだ原点
まずは、庭田さんのルーツについて教えてください。
私は東京で生まれ育ちました。父が創業社長だったこともあり、幼い頃から「父の会社を継ぐか、自分で会社を経営したい」という思いを漠然と抱いていました。進学については、父、兄、母が皆、立教大学という環境で育ち、私自身も高校受験で立教新座高校に入学し、法学部へと進学しました。
学生時代は何に打ち込みましたか?
アメリカンフットボールです。立教大学のラッシャーズというチームに所属し、ラインバッカ―というポジションで4年間、文字通り毎日「人とぶつかり合う」激しい練習に明け暮れました。こう見えて、当時は今より体重が30kgも重かったんですよ。4年生になると、週6日朝から晩までグラウンドに立ち続けるという、アメフト漬けの毎日でした。
それほど過酷な日々だったのですね。今に活きていると感じることはありますか?
「寝たら忘れる」という圧倒的な「立ち直り力」です。自分では「単細胞」だと言っているのですが、どんなに苦しいことがあっても「寝ればどうにかなる」と前を向けるんです。ストレス耐性は高いほうかもしれません。これは、アメフトだけでなく、父の影響も大きかったのだと思います。「一つのことに愚直に向き合う」という不器用なまでの実直さは、父からのDNAだと思っています。
街づくりへの憧れから建設業界へ

法学部を卒業されたあと、新卒で建設業界に進まれたのはどうしてですか?
もちろん、大学進学前は弁護士などへの漠然とした憧れはあり、法学部に進学しました。ただ部活が忙しく、直ぐにその気持ちはなくなりました(笑)。
もともと建築物や街が好きで、特に日本橋三越界隈のように、都会でありながら昔ながらの情緒や風情が残る街の雰囲気に魅力を感じていたんです。そうした街並みを「いったい誰がつくっているのだろう」と調べたことが、街づくりに興味を持つようになりました。
また、兄が不動産会社に勤めていたこともあり、当初は兄と同じようにデベロッパーを志望しました。三井不動産をはじめとする各社を受けましたが、非常に狭き門であったため、別の道を考えるようになったんです。
持ち前の「立ち直り力」を発揮されたのですね。
そうかもしれません。そこで、デベロッパー以外でも不動産に関わりながら、金額規模が大きくスケールのある仕事がしたいと考え、ゼネコン(総合建設業)に目を向けました。中でも、一般的なゼネコンは土地を買わないのに対し、前職では自社で土地の仕入から施工まで手がけている点に惹かれました。土地を買い、建物を建てる一連のプロセスに関われる――それは「最初のキャリアとして悪くない」と判断し、入社を決意しました。そこで約3年間、用地取得から竣工までの一連の業務に従事し、不動産と建設の専門知識を徹底的に叩き込みました。
家業の事業承継問題が転機に。無職からM&Aアドバイザーへ
セカンドキャリアとして、M&A業界に参入された経緯を教えてください。
きっかけは、実家の事業承継問題でした。父を支えるために前職を辞めたのですが、家族間の話し合いの結果、私は継がないことになりました。
ちょうどその時期に、父の会社にM&A仲介会社からの手紙が届いていて、そこで初めてM&Aアドバイザーという仕事を認識しました。経営者の孤独な決断に寄り添い、企業の未来を繋ぐこの仕事に強い魅力を感じ、父と同じ悩みを持つ経営者の一助になりたいと、M&A業界への転身を決めました。
数あるM&A仲介会社の中で、なぜM&Aベストパートナーズ(以下、MABP)を選んだのですか?
経営陣である齋藤さんと松尾さんとの面談で感じた「直感」が最大の理由です。お二人が「MABPをステップにして、将来は独立してほしい」と語る姿が、自分の将来像と強く重なりました。
余談ですが、「JPタワー」にオフィスがあることも大きな魅力でしたね。旧東京中央郵便局舎の一部を保存・再生して建築された建物なので、建物好きの私としては見過ごせないポイントでした(笑)
「圧倒的な経験値」がM&Aアドバイザーという仕事の醍醐味

前職の建設業界と比べて、どのような違いを感じますか?
一番の違いは、1年目の若手であっても主体的に動ける裁量の大きさです。入社当初は立ち上がったばかりのチームに配属されました。決まったマニュアルがあるわけではなく、経営陣と相談しながら「とりあえずやってみて、感触があったものを反復する」という手探りの連続でした。
自分の判断が成果に直結し、主体的に道を切り拓いていける。そのスピード感と責任の重さは前職とは比べものにならないほど刺激的で、大きなやりがいを感じています。
M&Aアドバイザーを続けるモチベーションは何ですか?
基本的にはあまり意識せずに、ずっと高い水準で維持されている気がします。
強いて挙げるなら、大きく2つあります。「一件の成約による見返り」と「圧倒的な経験値の蓄積」です。経営者の究極的な経営判断を担う責務の中、成約した際のリターンはもちろん大きい。ですが、それ以上に、財務や法務といった専門知識を網羅的に学び、サラリーマンという立場で経営者と1対1で渡り合える経験は、他の職種ではまず得られない「一生モノ」のスキルになると確信しています。
仕事をするうえで大切にしていることは何ですか?
「プロフェッショナルとして最善の提案をすること」です。M&Aはオーナー様にとって一生に一度ともいえる重要な意思決定です。だからこそ、単なる仲介にとどまらず、その想いや背景を丁寧に汲み取ることを何より大切にしています。オーナー様ご自身はもちろん、そこで働く従業員の方々や取引先、そしてご家族までが明るい未来を思い描けるような形にできればと考えています。
また、案件が途中で破談にならないよう、常に先回りしてリスクを考えることを意識しています。これまでご成約いただいたオーナー様とは、今でも食事をご一緒する機会をいただくことも多く、そうした関係が続いていることはとてもありがたいことだと感じています。日々の積み重ねの中で、少しずつ信頼を築けているのだとしたら、うれしいですね。
M&Aアドバイザーとして、ご自身の強みは何ですか?
正直突出した強みはあまりないと感じておりますが、強いて挙げるとするならば、利害が対立する二者の間に立って物事をまとめる「エグゼキューション(調整力)」です。買い手と売り手、それぞれの意見を尊重しながらも、中立な立場で合理的に合意形成を図ることには絶対の自信があります。これは学生時代や前職での経験を通じて、無意識のうちに磨かれてきたかと思います。
また、建設・不動産業界出身として、現場レベルの共通言語があることも、オーナー様から「同じ業界の苦労を分かってくれる」と信頼をいただく大きな助けになっています。
仲間と共に高みを目指し、父と同じ「経営」の道へ
チームメンバーや仲間との関わりで大切にしていることは何ですか?
出張先や休日でも、できるだけメンバーとコミュニケーションを取るようにしています。社内のアドバイザーとは良く飲みに行くほうだと思います。そうした時間の中で、志を同じくする仲間と知見を共有し、自然とお互いを高め合える関係でいられたらうれしいですね。
接し方については、不器用ながらも相手に合わせて自分なりに工夫するようにしています。仲間と一緒に成長しながら、チームとしてより高い成果を目指していける関係でありたいと思っています。
今後のキャリアビジョンをどう描いていますか?
将来的には独立し、大好きな不動産・建設の分野で、土地の仕入れから企画、設計、建築までを一貫して手がける会社をつくりたいと考えています。
その背景には、やはり父の存在が大きいです。父はゼロから会社を立ち上げた創業社長でしたが、いわゆる「豪腕の創業者」というより、周囲からとても慕われる経営者でした。会社が経営的に厳しい時期でも、社員や家族の前では決して弱さを見せない強さを持ちながら、私に対しては一度も叱ったことがないほど温厚で優しい人でもありました。一つひとつの仕事に真剣に向き合いながら経験を積み、いずれは父のように社員や家族に愛される経営者になりたいです。
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