2023年6月21日

M&Aとトラストの違いとは?企業集中の種類と併せて解説します

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M&Aとトラストの違いとは?企業集中の種類と併せて解説します

M&Aは合併と買収を指す言葉ですが、似たような言葉としてトラストコングロマリットなどが存在します。それぞれの違いについて把握できている人は少ないのではないでしょうか。

この記事では、混同されることの多いM&Aとトラストの違い、覚えておきたい企業集中の4つ種類(トラスト、コングロマリット、コンビナート、カルテル、コンツェルン)について、詳しく解説します。

M&Aとトラストの違い

M&Aとトラストの違い

まずは、M&Aとトラストの違いについて明確に理解できるように、それぞれの概要や目的に分けて解説します。

 

M&Aの概要と目的

M&Aとは、異なる企業間で行われる経営統合や事業譲渡の取引形態であり、他社の株式を買収して傘下にする、もしくは複数の企業を統合させることです。

M&Aには「新設合併」と「吸収合併」という2つの主な形態があります。

新設合併は、新たな会社を設立し、各企業がその新設会社に合併する形式です。これにより、合併後の会社が新たな法人として活動を行います。

一方、吸収合併は、既存の会社が他の会社を吸収して統合する形式です。吸収する側の会社が存続し、吸収される会社は解散します。

M&Aの主な目的の1つは、買収側が経営資源を獲得することです。

買収により市場や技術力の拡大、製品・サービスの多様化、競争力の強化などが図れます。また、売却側がM&Aを行う主な目的は会社の存続です。経営の継続や成長のために、他の企業に組み込まれることで事業の持続性を確保します。

M&Aは企業戦略の重要な要素であり、市場の変化や競争環境の変化に対応するために活用されます。M&Aの成功には慎重な計画、適切な評価、円滑な交渉、そして効果的な統合が必要です。

 

トラストの概要と目的

トラスト企業集中の1つであり、企業間の協力によって市場内での優位性を確保するための手法です。

企業集中には「トラスト」「コングロマリット」「コンビナート」「カルテル」「コンツェルン」などの形態が存在します。

トラストの目的は、同一企業同士が株式を買収したり持ち合ったりすることによって、同業種の企業を傘下に置いたり、同業種の企業を新たに設立したりすることで、市場内での利益を最大化することです。ただし、過度なトラストは競争を阻害する可能性があるため、独占禁止法によって制限されています。

トラストの目的は市場における利益の向上です。

業界内で支配的なシェアを握ることで、他の企業が追随できない状況を作り出し、競争力を強化が可能です。

ただし、極端なトラストは産業の健全な発展を阻害する可能性があると判断されるため、法律によって規制されています。

トラストはしばしば独占禁止法に抵触することがあるため、トラストの目的を持つ買収や合併であっても、企業側から明示的にトラストが目的だと公表されることは少ないでしょう。

企業集中の種類について

企業集中の種類について

ここではトラスト以外の企業集中について、それぞれどのような意味を持つのか解説します。

M&Aを行う際に理解しておけば有利になるため、是非覚えておきましょう。

コングロマリット

コングロマリットとは、多種多様な業種から成り立つ企業グループのことです。

異なる業種や事業領域を持つ企業が1つのグループにまとまり、相互に連携や経営資源の共有を行います。

コングロマリットは、多角化戦略を採用することでリスク分散や市場の拡大を図り、経済的な安定性・成長の機会を追求します。

コングロマリットは、幅広い業界に進出する企業の経営戦略の1つとして注目されつつあるでしょう。

 

コンビナート

コンビナートとは、生産工程を一括で行えるように、会社と工場を1つの場所にまとめた施設のことです。異なる種類の工場やプラントが隣接し、原料から最終製品までの工程を連携させて効率的に生産を行います。

コンビナートでは、エネルギーの共有・廃棄物の処理などのリソースの最適化が可能であるため、経済的な利益や環境への負荷軽減を実現するでしょう。

また、複数の企業や部門が共同で利用するため、技術・ノウハウの相互交流や連携が進み、イノベーションや競争力の向上に寄与します。

コンビナートは産業の集積と相互依存を促し、地域の経済発展にも寄与する重要な施設です。

 

カルテル

カルテルとは、同業者が価格競争を回避するために合意し、価格や市場分配などの取り決めを行うことです。

カルテルに参加する企業は、競争を抑制し、市場を操作することで、相互に利益を確保しようとします。このような行為は独占禁止法に違反する場合があり、違法行為として厳しく規制されています。

カルテルによる価格操作や市場分割は、競争環境に悪影響を及ぼし、公正な市場経済を妨げるでしょう。公正な競争環境を守るには、適切な取締りと企業の遵守が重要です。

カルテルについては、独占禁止法により厳しく監視され、違反した場合は罰則が科されることもあります。

 

コンツェルン

コンツェルンとは、複数の企業が資本的に結びつき、1つの組織やグループとして運営される状態のことです。

通常、コンツェルンは親会社が子会社を所有し、経営の指揮権や資本の支配を行います。しかし、この形態では各企業が独立して事業を行うため、資本や技術、マーケティングなどの面で相互協力を図れるでしょう。

コンツェルンは経済的な利点や競争力の向上を目指し、事業の多角化や市場の拡大を図るのが狙いです。コンツェルンには意思決定の複雑さ、利益配分の課題などが伴うため、効果的な経営と透明性の確保が求められます。

M&Aとトラストの歴史

M&Aとトラストの歴史

次に、M&Aとトラストの歴史についてアメリカ日本に分けて解説します。

 

国外のM&Aとトラストの歴史

19世紀ごろから、M&Aによる企業買収が行われてきた歴史があります。

この時期は、産業革命に伴って経済の発展が進み、競争の激化や市場の拡大が求められました。企業は成長や競争力強化を目指し、他社の買収・合併を通じて戦略的な経営統合を図っています。

特にアメリカでは、鉄道や石油、電力などの産業においてM&Aが盛んに行われ、巨大企業が形成されることになりました。

また、トラストの歴史も同時期に行われています。

19世紀末から20世紀初頭にかけてアメリカで最も顕著な形式で展開されました。これにより、鉄道や石油などの産業において巨大なトラストが形成され、業界内にて支配的な地位が築かれています。しかし、トラストの過度な独占が社会的な問題となり、反トラスト法の制定や規制の強化が行われました。

このように、国外におけるM&Aとトラストは経済発展や産業構造の変化と密接に関連しており、企業間の統合や市場支配は現在に至るまで続いています。

 

国内のM&Aとトラストの歴史

日本においてもM&Aのような戦略的な企業統合が古くから行われてきました。

18世紀から日本では、町人や商人の間で企業の統合・事業の承継が行われています。これは、相続や経営の継続性を確保するための手段として行われたものであり、M&Aの原点ともいえる取引でした。

一方、トラストの歴史については、日本においては20世紀初頭からの近代化に伴い、企業の集中や業界の独占による問題意識が高まっています。

この時期には特に鉄道や鉱業、金融などの産業でトラストが形成され、一企業・グループが市場を支配する状況が生まれました。

しかし、トラストの過度な独占や不公正な取引が問題視され、独占禁止法の制定や規制強化が行われています。

日本におけるM&Aとトラストの歴史も、アメリカと同様に、経済の発展や産業構造の変化と密接に結びついています。

現代においてもM&Aは企業間の統合や成長戦略の手段として重要な役割を果たしており、トラストについても公正な競争環境を保つための法的な枠組みが整えられているでしょう。

まとめ

今回は、M&Aとトラストの違いについて解説しました。

M&Aやトラストを選択する際には、目的や戦略に合わせて検討する必要があります。

「M&Aとトラストの違いがわからない」「どちらを選択すればいいのか悩んでいる」という人には、豊富な経験と専門知識を持つM&Aベストパートナーズが、お客様のニーズに合わせた最適な解決策を提供します。

ご相談やアドバイスをお求めの場合は、M&Aベストパートナーズへお気軽にご相談ください。

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