戸建分譲開発の業界動向とM&Aが活発化する背景を解説

著者
M&Aベストパートナーズ MABPマガジン編集部

近年の戸建分譲開発業界は、資材価格の高騰や深刻な人手不足、そして用地取得競争の激化といった大きな転換期を迎えています。

市場環境が目まぐるしく変化するなか、自社の持続的な成長や事業承継の解決策として「M&A」を選択する企業が急増しています。

本記事では、戸建分譲開発業界の最新動向を整理するとともに、なぜ今、業界内でM&Aが活発化しているのか、その背景と買い手・売り手双方にもたらす具体的なメリットについて詳しく解説します。

この記事でわかること

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戸建分譲開発業界の動向

戸建分譲開発業界は、次のような特徴があります。

住宅着工数の減少と資材高騰

人口減少に加え、ウッドショック以降の資材価格高騰が販売価格を押し上げ、新設住宅着工戸数は減少傾向が続いています。

特に注文住宅(持家)と分譲住宅の落ち込みが目立ち、中小事業者にとっては「建てても売れにくい」かつ「原価が下がらない」厳しい環境が常態化しています。

参考:国土交通省建築着工統計調査

2024年問題と職人不足の加速

時間外労働の上限規制(2024年問題)の適用により、現場の工期管理が厳格化されました。

さらに大工技能者の高齢化と引退ペースに入職者が追いつかず、施工力を確保できない事業者の倒産(人手不足倒産)が過去最多水準で推移しています。

「土地はあるが、建てる人がいない」という事態が現実になりつつあります。

参考:帝国データバンク人手不足倒産の動向調査(2024年度)

戸建分譲開発業界でM&Aが活発な背景

以前のM&Aは、ネガティブなイメージを持たれるケースが多かったですが、近年では未来を見据えたM&Aが活発に行われています。

戸建分譲住宅業界でM&Aが活発化している背景をご紹介します。

用地仕入れ(土地情報)の確保競争

戸建分譲事業の生命線は「良い土地を安く仕入れること」にあります。

しかし、大手パワービルダーの地方進出やマンションデベロッパーとの競合により、好立地の用地取得は年々難化しています。

大手企業は、地域に根付いた独自の仕入れルート(地場不動産業者とのネットワーク)を持つ地元企業をM&Aでグループ化し、安定的な用地確保を狙う動きを加速させています。

スケールメリットによるコストダウンの必要性

資材価格が高騰する中、年間数棟〜数十棟規模の中小事業者では、建材メーカーや商社に対する価格交渉力が働きにくくなっています。

大手グループの傘下に入り、共同購買によるスケールメリットを活かすことで、原価を低減し、利益率を改善しようとする動きが活発です。

後継者不在と個人保証の重圧

地方の有力な工務店や分譲事業者でも、後継者不在の問題は深刻です。

また、戸建分譲事業は用地仕入れのために金融機関から多額の借入を行う必要があり(プロジェクト融資等)、経営者個人への連帯保証が重い負担となっています。

「事業は黒字だが、借入金の個人保証を外して引退したい」と考える経営者がM&Aを選択するケースが増えています。

省エネ基準適合(ZEH・断熱等級)への対応

脱炭素社会に向け、省エネ基準の適合義務化やZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)水準の定着など、求められる住宅性能が高度化しています。

これに対応するための技術開発や設計ノウハウの習得、申請業務の負担は大きく、技術力のある大手企業と提携することで、これら規制への対応をスムーズに行おうとする動きがあります。

戸建分譲開発業界でM&Aを行うメリット

目的の達成に向けて、M&Aは非常に有力な選択肢です。

しかし、目標達成以外にも、M&Aはさまざまなメリットを得ることができます。

譲渡企業と譲受企業、それぞれの立場がM&Aによって得られるメリットをご紹介します。

譲渡企業(売り手)のメリット

  • 仕入れ・建築コストの削減:
    親会社の購買力を活用し、原価を下げて利益率を向上できる。
  • 資金調達力の強化:
    親会社の信用力を背景に、より大規模な開発用地の仕入れが可能になる。
  • 個人保証の解除と創業者利益:
    借入金の連帯保証から解放され、手元に現金を残して引退または再スタートが切れる。

譲受企業(買い手)のメリット

  • エリア・シェアの拡大:
    未進出エリアの顧客基盤とブランドを短期間で獲得できる。
  • 施工力の確保:
    地域で信頼のある大工・施工管理者を一括で確保できる。
  • 優良な土地情報の獲得:
    その地域特有の独自ルートによる用地情報を即座に入手できる。

戸建分譲開発業界で実際に行われたM&A事例

最後に、戸建分譲開発を行う企業で実際に行われたM&Aの事例をご紹介します。

メルディアによるM&A

株式会社オープンハウスの子会社で、主に首都圏を中心とした戸建分譲住宅の設計・施工・販売を行っている株式会社メルディアは、株式会社永大ホールディングスの全株式を取得、子会社化しました。

永大ホールディングスを含む永大グループは、埼玉県南部及び東京都北部を中心に地域密着型の戸建住宅メーカー及びリフォーム事業者として不動弾関連事業を手掛けています。

このM&Aにより、永大グループが築いてきた顧客・取引先との関係性、並びに良質な商品不動産を強いれるためのネットワーク等を活用し、首都圏での戸建住宅に関する事業基盤をより一層強固なものにするとしています。

参考:株式会社メルディア株式会社永大ホールディングスの株式取得(子会社化)に関するお知らせ

ケイアイスター不動産によるM&A

ケイアイスター不動産株式会社は、熊本県を中心に分譲・注文住宅事業を展開するTAKASUGI株式会社を連結子会社化しました。

TAKASUGI株式会社は熊本県内有数の住宅メーカーとして成長。近年は福岡県や佐賀県にも事業エリアを拡大してきました。

ケイアイスター不動産は、以前も福岡や京都の企業を傘下としており、このM&Aも九州エリアでの地盤強化とシェア拡大を目的として行われています。

参考:ケイアイスター不動産株式会社TAKASUGIの株式取得(連結子会社化) に関するお知らせ

まとめ

戸建分譲開発業界では、市場環境が目まぐるしく変化するなか、自社の持続的な成長や事業承継の解決策として「M&A」を選択する企業が急増しています。

しかし、M&Aはただ契約すればよいというわけではなく、入念な事前準備、理念が合致する企業とのマッチング、契約後のPMI(統合)など、さまざまなプロセスを経て始めて完了となります。

そして、これらをスムーズに行うためには、M&Aに関する専門的な知識とノウハウを必要とするため、専門家によるサポートが必要不可欠といえます。

私たちM&Aベストパートナーズは、これまで数多くのM&Aを成功に導いてきた豊富な実績、そして実績に裏付けされた知識とノウハウがございます。

戸建分譲開発事業を手掛け、目的達成に向けたM&Aを検討されている方は、ぜひ私たちM&Aベストパートナーズまでお気軽にご相談ください。

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