分譲マンション開発の業界動向とM&Aが活発化する背景を解説

著者
M&Aベストパートナーズ MABPマガジン編集部

国内の分譲マンション開発業界は、今大きな転換期を迎えています。

都心部を中心とした不動産価格の高騰や堅調な需要が続く一方で、資材価格の相次ぐ値上げや「建設業の2024年問題」に伴う深刻な人手不足、さらには用地取得競争の激化など、デベロッパーを取り巻く環境は厳しさを増しています。

このような先行き不透明な市場環境下で、持続的な成長を実現するための「戦略的カード」として急速に存在感を高めているのがM&A(合併・買収)です。

かつてはネガティブなイメージが強かったM&Aですが、現在は「事業エリアの拡大」「用地確保ルートの多角化」「施工・管理機能の垂直統合」といった、攻めの経営戦略として活用されるケースが目立っています。

本記事では、分譲マンション開発業界の最新動向を整理したうえで、なぜ今M&Aが活発化しているのか、その背景や譲渡・譲受双方のメリットを詳しく解説します。

この記事でわかること

↓ こちらから知りたい情報へ移動できます ↓

分譲マンション開発業界の動向

はじめに、分譲マンション開発業界の動向を解説します。

供給戸数の減少と価格の過去最高値更新

全国の新規供給戸数は減少傾向にあり、2024年は4年ぶりに6万戸を割り込みました。

一方で、地価や建築コストの上昇を背景に、平均価格および平米単価は8年連続で過去最高値を更新。

高値安定による「供給絞り込み」と「ターゲットの富裕層シフト」が鮮明になっています。

参考:株式会社不動産経済研究所全国 新築分譲マンション市場動向 2024年

建設コストの激化による収益構造の変化

資材価格の高騰に加え、「建設業の2024年問題」による労務費の上昇が開発原価を押し上げています。

建設工事費デフレーター(建築補正)は高止まりしており、大手デベロッパーに比べ調達力で劣る中小企業は、コスト増を吸収できず利益率が圧迫される局面が続いています。

長期的な市場縮小予測と開発難易度の向上

人口減少の影響を受け、2040年度の新設住宅着工戸数は2023年度比で約25%減少する(61万戸程度)との予測が出ています。

特に分譲住宅は漸減が見込まれており、今後は単純な開発ではなく、ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)対応や再開発案件といった、高い付加価値と専門性が求められる「質の競争」へ移行しています。

参考:株式会社野村総合研究所2040年度の新設住宅着工戸数は61万戸に減少(2025年6月発表)

分譲マンション開発業界でM&Aが活発な背景

冒頭でもお伝えしたように、近年では「攻めの経営戦略」として、次のような目的を果たすためのM&Aが活発に行われています。

資金調達力の強化と信用補完

マンション開発には巨額の仕入れ資金が必要です。

大手企業の傘下に入ることで、低利かつ大規模な資金調達が可能になり、これまで断念していた好立地の大型案件や再開発事業への参画が可能になります。

深刻な人材不足とノウハウの承継

用地仕入れ(用地ハンター)や企画開発のプロフェッショナルは業界全体で不足しています。

若手への技術承継が課題となる中、M&Aによって優秀な人材と長年培った開発ノウハウを一括して確保する動きが強まっています。

バリューチェーンの垂直統合(内製化)

デベロッパーがゼネコンを買収する、あるいは管理会社がデベロッパーを買収するといった「川上から川下まで」の統合が進んでいます。

開発から分譲後の管理・修繕までをグループ内で完結させることで、収益基盤の安定化(ストックビジネスへの転換)を図る狙いがあります。

再生可能エネルギー・ZEH対応への投資

環境性能(ZEH-Mなど)がマンションの資産価値を左右する時代となりました。

最先端の環境技術導入には莫大な投資が必要であり、技術力のある大手と組むことで、市場競争力を維持しようとする戦略的提携が増えています。

後継者問題と事業継続性の確保

他業界同様、地方の優良な中堅デベロッパーにおいて後継者不在が深刻化しています。

創業者が築いたブランドや地域社会との信頼関係、従業員の雇用を守るために、資本力のあるパートナーへバトンを渡す選択が一般化しています。

分譲マンション開発業界でM&Aを行うメリット

さまざまな目的を果たすために行われるM&Aですが、目標達成以外にもメリットを得ることができます。

譲渡企業と譲受企業、それぞれが得られるメリットをご紹介します。

譲渡企業(売り手)のメリット

  • 事業の継続性を確保:
    経営者の高齢化や後継者不足を解消。
  • 資本力の強化:
    大手の資本力を活用して、事業の拡大やリスク分散を図る。
  • ブランド価値の維持:
    信頼性のある大手企業と提携することで、ブランドを守る。

譲受企業(買い手)のメリット

  • 即時参入:
    既存の開発プロジェクトや土地を活用して、早期に市場参入が可能。
  • ノウハウ獲得:
    技術やノウハウの獲得により、効率的な事業運営が実現。
  • 地域に密着した事業展開:
    地域密着型の事業を展開するための基盤を獲得。

分譲マンション開発業界で実際に行われたM&A事例

最後に、分譲マンション開発を行う企業で実際に行われたM&A事例をご紹介します。

中央日土地レジデンシャルサービスによるM&A

総合不動産事業を手掛ける中央土地建物グループ株式会社傘下の中央日土地レジデンシャルサービス株式会社は、神鋼不動産ジークレフサービス(現:TC神鋼不動産サービス株式会社)の東京支店におけるマンション管理事業を吸収分割によって承継。マンション管理サービスに着手しました。

中央日土地レジデンシャルサービスは、この合弁事業のために「中央土地建物グループ」「長谷工グループ」「神鋼グループ」の3社の出資によって設立された合弁会社です。

このM&Aにより、首都圏のマンション管理事業を中央日土地レジデンシャルサービスへ移管・集約し、分譲マンション管理事業の顧客サービスを向上。さらに、分譲マンション事業の製・販・管の一貫体制を構築するとしています。

参考:中央日土地レジデンシャルサービス株式会社による マンション管理事業の開始について

日動によるM&A

分譲マンション事業や賃貸事業、管理事業などの幅広い事業を展開する株式会社日動は、賃貸管理業を主軸とし、ビルやマンションの資産保有もしている株式会社シティビルサービス札幌の全株式を取得、完全子会社化しました。

このM&Aにより、日動グループはシティビルサービス札幌との連携を強化。両者のシナジーを活かし、住まいに関わるサービスを通じてさらに高い顧客満足を提供するとしています。

参考:株式会社日動株式会社シティビルサービス札幌の全株式を取得いたしました

まとめ

国内の分譲マンション開発業界は、今大きな転換期を迎えており、先行き不透明な市場環境下で、持続的な成長を実現するための「戦略的カード」としてM&Aの存在感が高まっています。

しかし、M&Aを行う際は慎重な判断だけでなく、専門的な知識やノウハウを必要とするため、成功させるためにはM&A仲介会社など専門家によるサポートが必要不可欠です。

私たちM&Aベストパートナーズでは、不動産業に特化した専任アドバイザーが在籍しており、課題解決に向けて最適なスキームのご提案、相手企業とのマッチング、M&A成約まで全力でサポートさせていただきます。

M&Aを成功させ、事業の継続やさらなる飛躍を目指したいとお考えの方は、まずはお気軽にM&Aベストパートナーズまでご相談ください。

著者

MABPマガジン編集部

M&Aベストパートナーズ

ADVISOR

各業界に精通したアドバイザーが
多数在籍しております。

VIEW MORE

M&Aストーリー一覧へ