2020年に感染拡大が始まった新型コロナウイルスは多くの業種に打撃を与えましたが、飲食業界は特に影響を受け、閉店を余儀なくされたケースも少なくありません。
では、その後飲食業界の市場規模は回復したのでしょうか。
本記事では、飲食業界の市場規模や現在抱える課題について詳しく解説します。
あわせて、課題解決に向けて増加傾向にあるM&Aのメリット・デメリットも解説するので、これからも多くの人々へ食の楽しみを届けたいとお悩みの方はぜひ参考にしてください。
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目次
飲食業界の市場動向
2019年までの飲食市場の売上高は5兆円以上をキープ、純利益率もプラスが続いていましたが、新型コロナウイルス感染拡大が始まった2020年は大幅に下落し売上高は4.9兆円、純利益率もマイナスへと転じ非常に厳しい状態が続いていました。
しかし、巣篭もり需要を取り込むためのテイクアウトや宅配サービスに力を入れたことで徐々に回復し始め、翌年の2021年の売上高は5.1兆円、さらに2022年には6.0兆円と、感染拡大以前の売上高まで回復しています。
また、日本フードサービス協会の「外食産業市場動向調査 令和5年(2023年)年間結果報告」によれば、5類感染症へと移行した2023年の全体売上は前年比114.1%、同調査の2024年の報告では前年(2023)年比108%と回復傾向が継続されています。
参考:業界動向リサーチ調べ|有価証券報告書公表企業117社の合計
参考:一般社団法人 日本フードサービス協会|外食産業市場動向調査 令和5年(2023年)年間結果報告
参考:一般社団法人 日本フードサービス協会|外食産業市場動向調査 令和6年(2024年)年間結果報告
飲食店が抱える課題
非常に苦しい状況から回復し始めている飲食店ですが、次のような新たな課題も抱えています。
深刻な人手不足
飲食店に限らず、人手不足は多くの業種で深刻な問題となっており、倒産にまで追い込まれるケースも増加しています。
実際に、2024年度の人手不足が原因による倒産件数(全業種)は292件、さらに2025年は1月〜10月までの10ヶ月間で前年を上回る323件が倒産したという調査結果も出ています。
人手不足となる原因として、加速し続ける少子高齢化問題のほか、賃金アップができないことで人材が集まらないといったことが挙げられます。
参考:東京商工リサーチ|1-10月の「人手不足」倒産323件、年間最多を更新 労働集約型で倒産が急増、「従業員退職」が1.5倍増
物価高騰によるコスト負担の増加
物価の高騰も飲食店にとって大きな問題です。
原材料の仕入れや家賃、光熱費、人件費などさまざまな必要経費の金額が増加しているため、どのようにしてコストを削減するかが大きな課題となっています。
飲食店がM&Aをするメリット・デメリット
飲食店が抱える課題解決策の一つとして、M&Aが注目を集めています。
M&Aをすることでさまざまな課題を解決することができる一方で、デメリットもあるため、慎重に検討する必要があります。
飲食店がM&Aをするメリット
飲食店がM&Aを行って得られるメリットとして、主に以下のことが挙げられます。
- ブランド力強化と市場の拡大
- 店舗運営の効率化
- 財務基盤の強化
- 即戦力の確保
飲食店がM&Aをすることで生じるデメリット
事業の継続をするためのメリットを多く得られるM&Aですが、以下のようなデメリットも存在します。
- 専門的知識が必要
- 簿外債務などが発覚するリスク
- 事業統合が失敗するリスク
飲食業界のM&A成功事例
飲食業界においてM&Aが行われた事例をご紹介します。
ワタミとサブウェイ
外食チェーンや宅食サービス、老人ホームなど多角的に事業を展開するワタミ株式会社は、2024年10月に日本サブウェイ合同会社の持分を取得してマスターフランチャイズ契約を締結すると発表しました。
この決定により、ワタミは色の総合企業としての事業展開やフランチャイズ展開ノウハウの強化、海外進出促進といったシナジー効果を目指すとしています。
参考:ワタミ株式会社|マスターフランチャイズ契約の締結並びに日本サブウェイ合同会社の持分取得(子会社化)に関するお知らせ
コロワイドと大戸屋ホールディングス
2020年、多くの外食ブランドを展開する株式会社コロワイドは、かねてから筆頭株主として株式を保有してきた株式会社大戸屋ホールディングスに対するTOB(株式公開買付)を実施しました。
このTOBにより、大戸屋はコロワイドグループの強みを活かして3期連続だった営業赤字から脱却しています。
参考:株式会社コロワイド|株式会社大戸屋ホールディングス(証券コード:2705)の株式に対する公開買付けの結果に関するお知らせ
ゼンショーHGとフジタコーポレーション
「すき家」や「はま寿司」といった外食産業のほか、小売事業も展開する株式会社ゼンショーホールディングスは、群馬県を中心に44店舗のスーパーや惣菜専門店を展開する株式会社フジタコーポレーションの株式を取得、子会社化しました。
この子会社化により、小売事業をより強化するだけでなく、商品・食材開発や物流、店舗運営などの分野でシナジー効果を創出するとしています。
参考:株式会社ゼンショーホールディングス|当社連結子会社による株式取得に関するお知らせ
プレナスと宮島醤油フレーバー
「ほっともっと」や「やよい軒」などを展開する株式会社プレナスは、食品・調味料の加工販売を行う宮島醤油フレーバー株式会社の株式を取得、子会社化しました。
この子会社化によって、プレナスは宮島醤油フレーバーが保有する原材料情報と優れた開発技術を活かし、品質向上や開発・製造の短縮化を図り事業の拡大を目指すとしています。
参考:株式会社プレナス|宮島醤油フレーバー株式会社の株式取得(子会社化)に関するお知らせ
まとめ
新型コロナウイルスの落ち着きによって回復し始めた飲食店業界ですが、人材不足や物価高騰などの問題に直面しており、生き残りをかけて新たな取り組みが求められています。
このような課題を解決する手段の一つにM&Aがありますが、成功させるためには専門的知識やM&Aのノウハウなどが必要となります。
M&Aを成功させ、今後も多くの人々へ食の楽しみを届けたいとお考えの方は、ぜひお気軽にM&Aベストパートナーズまでご相談ください。
飲食業界に精通した専任アドバイザーが課題をヒアリングさせていただき、M&Aを成功させるためのお手伝いをさせていただきます。
