M&A業界の年収相場はなぜ高いのか?年齢別に見た年収水準を公開

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M&Aベストパートナーズ MABPマガジン編集部

就職先や転職先を選ぶにあたって、給与などの条件は重要なポイントとなります。

業種や職種によっても年収の相場は異なりますが、中でも高年収が期待できるのがM&A業界です。

本記事では、なぜM&A業界は年収相場が高い傾向にあるのか、その理由を解説するとともに、他業種との比較や年齢別の年収水準についてもご紹介します。

M&A業界の年収相場

M&A業界は全体的に高い年収を得られるイメージがありますが、実際のところどうなのでしょうか。

他業種と比較した場合の年収相場と、M&A業界全体の年収の中央値についてご紹介します。

他業種との平均年収の比較

会社の規模や役職、勤続年数などによっても年収の相場は大きく異なりますが、業種ごとに比較した場合、M&A業界の平均年収は高い傾向にあります。

  • M&A業界:550〜600万円
  • メーカー:450〜500万円
  • 総合商社:450〜500万円
  • IT・通信:400〜450万円
  • 建設:400〜450万円
  • 広告:400〜450万円
  • 医療:400〜450万円
  • 小売・サービス業:350〜400万円

勤務する会社の規模やキャリア、営業成績などによっては、30代前半の時点で1,000万円の大台を突破するケースも珍しくなく、経済的に安定した生活を送れる可能性が高いといえるでしょう。

実際に上場企業の平均年収ランキングを見ても、M&A仲介企業は頻繁にランクインしており、業界全体が高年収の傾向にあることを証明しています。

年収の中央値

平均年収は新卒社員からベテランの社員までが統計の指標となるため、若手社員が多いと平均が大幅に引き下げられたり、反対にベテラン社員が多いと平均が引き上げられたりすることもあります。

より実感に近い数値を割り出すためには、年収分布をもとにした中央値で比較することが大切です。

2023年の日本国内における正社員の平均年収(全業種)は414万円ですが、中央値は13.1%少ない360万円となっています。

M&A業界の平均年収を550万円と仮定し計算すると、中央値は478万円程度と予想されます。

関連記事:M&Aの中途採用トレンド|なぜ業界への転職が注目されるのか

M&A業界の年収が高い理由

では、なぜM&A業界は高年収の傾向にあるのでしょうか。考えられる理由をいくつかご紹介します。

大きな金額を扱う仕事だから

M&A業界では企業の買収・売却が行われるため、取り扱う金額が非常に大きい傾向にあります。

たとえば、一つの案件で数億円から数十億円にのぼる取引も珍しくなく、M&A仲介会社は高額な報酬を得ることになります。

また、M&Aをサポートするアドバイザーやコンサルタントには、取引を成功させる責任が重くのしかかります。

高額な年収は、こうしたリスクや責任の大きさに比例した報酬として設定されています。

専門的な知識とスキルが必要だから

M&Aをサポートするアドバイザーやコンサルタントには、会計や法務、財務分析などの専門的な知識が求められます。

また、クライアントである経営者との信頼関係を築き、買い手企業と売り手企業の間に立ってコミュニケーションも行わなくてはなりません。

そのためには高度な交渉術も身につける必要があるでしょう。

このため、M&A業界では優秀な人材を確保する必要があり、業界全体の年収も自然と高く設定されています。

業界全体の成長により需要が増加しているから

近年、M&Aの需要は急速に拡大しています。

この背景には、経営者の高齢化に伴い事業承継のニーズが高まっていることや、グローバル化が進んだことで企業間の競争が激化していることが主な要因として挙げられます。

M&A市場全体の案件数が増加したことはもちろんですが、これに加えて成果報酬型の収益モデルが多いことも年収の高額化に影響していると考えられます。

M&A業界の年齢別に見た年収水準

年収水準が高いM&A業界でも、当然のことながら勤務年数や能力、実績などによって年収に差はあり、たとえば新卒入社の時点から1,000万円クラスの報酬を手に入れられるとは限りません。

今回は、あるM&A仲介企業をモデルに、20代から60歳までの年収水準をご紹介します。

年齢年収
20代前半400万円
20代後半950万円
30代前半1,000万円
30代後半1,100万円
40代前半1,200万円
40代後半1,350万円
50代前半1,500万円
50代後半1,500万円
60代前半1,000万円

上記は大学卒業後、新卒でM&A仲介会社へ入社し勤務し続けた場合の年収を想定しています。

入社直後は平均よりもわずかに高い程度の年収水準ですが、30代に入ると一気に1,000万円の大台を突破し、その後緩やかに年収が増加していることが分かります。

あくまでモデル年収のため、入社する会社の規模や業績、キャリアなどによっては上記よりも少ない年収水準になる可能性もありますが、それでも他業種の同世代で比較すると年収の相場は高い傾向にあることは事実です。

関連記事:M&Aアドバイザリーとは?費用や仲介との違い・激務な理由を徹底解説

M&A業界でさらに年収を上げるには

M&A業界には優秀な人材が数多く在籍しており、入社できたからといって高年収が約束されているわけではありません。

では、自分が目指すレベルの年収を実現したい、あるいはさらなる高みを目指したいという場合には、どのような行動を起こせば良いのでしょうか。

専門的な資格やスキルの習得

M&A業界は実力主義の会社が多いため、コンサルタントやアドバイザー個人のスキル・能力を伸ばすことが重要なポイントといえます。

必ずしも専門的な資格を持っていなければ業務に従事できないというわけではありませんが、たとえば公認会計士や税理士、中小企業診断士などの公的資格を持っていればクライアントからの信頼を獲得しやすいでしょう。

実際に、会計分野のスペシャリストや法務のスペシャリストなど、自分なりの強みを活かして活躍するコンサルタントやアドバイザーも少なくありません。

クライアントとの信頼関係の構築

M&Aを最終的に決断するのは経営者個人であることから、コンサルタントやアドバイザーには高度なコミュニケーション能力や交渉術が必要とされます。

仮に、専門的な知識が豊富にあったとしても、コミュニケーションが疎かになっているとクライアントである経営者は「このアドバイザーは信頼できない」と感じ、それ以上の交渉を進められなくなってしまいます。

そのため、コミュニケーションに苦手意識をもっている場合にはコミュニケーション能力を磨いたり、さまざまなセミナーや勉強会などに顔を出して人脈を広げたりといった方法も有効です。

M&A業界で働く魅力とやりがい

M&A業界は高い年収水準以外にもさまざまな魅力があります。

どういった場面でやりがいを感じられるのか、収入面以外の魅力について詳しく解説しましょう。

会社の未来を左右するプロジェクトを成功させたときの達成感

M&A業界では、会社同士の合併や買収といった大きな取引に関わることができます。これらはいずれも、会社の未来を左右する重要なものです。

たとえば、大手企業が新規事業に進出するための買収や、経営が苦しい企業を支援するための売却など、社会に与える影響が大きい案件も数多くあります。

そのため、自身が担当した取引が成功したときには「自分がこの会社の未来を作った」という大きな達成感を味わうことができます。

さまざまな業界知識を得られる

M&A業界ではさまざまな企業を支援するため、多くの業界やビジネスモデルに触れる機会があります。

たとえば、製造業やIT業界、医療業界など、業種が変わればビジネスモデルや慣習も異なり、はじめのうちは戸惑うことも多いでしょう。

しかし、さまざまな業種のプロジェクトに携わることで幅広い知識が身につき、どんな場面でも活かせる視野の広い人材へと成長できるでしょう。

また、それぞれの業界について知見が蓄積できていれば、新たなクライアントから相談や依頼を受けた際にもスムーズなコミュニケーションができ、早期に信頼関係を構築できるようになります。

クライアントからの感謝

M&Aのプロジェクトは、企業の経営者やオーナーにとって極めて重要な決断の場でもあります。

また、会社は決して経営者だけのものではなく、そこで働く従業員とその家族、取引先などにとっても大きな存在です。

そのため、プロジェクトを無事に完了させることができれば、クライアントから深い感謝の言葉をもらえることも珍しくありません。

たとえば、「あなたのおかげで会社を次のステージに進められた」「経営を立て直すことができた」という感謝の言葉をもらったとき、ほかの仕事では味わうことのできないほど大きなやりがいを感じられるでしょう。

M&A業界への就職・転職で高年収を実現させよう!

M&A業界と聞くと高度なスキルや専門性が求められ、未経験者にとってはハードルが高く感じられるものです。

確かに即戦力として活躍するためには実務経験や専門性が求められますが、未経験からキャリアを積み重ね、第一線で活躍しているM&Aアドバイザーも数多く存在します。

たとえば、営業職でトップの成績を収めた経験がある方や、何かに徹底的に打ち込んだ結果、上位の成績を収めた経験がある方など、主体的に全力で物事に取り組むマインドのある方にとっては大きな成果を得られる可能性もあります。

M&A業界では新卒採用はもちろんのこと、未経験者を対象とした中途採用やアルバイト採用を積極的に展開している企業も少なくありません。

自分の将来に漠然とした不安があり、新たな業界で心機一転仕事に打ち込みたい方や、大きなやりがいを得られる会社でキャリアアップを目指したい方は、M&A業界への就職・転職を検討してみてはいかがでしょうか。

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まとめ

M&A業界の年収水準が高いのは、プロジェクト1件あたりの成約金額が高額であることと、アドバイザーやコンサルタントに高度なスキルが求められること、M&Aのニーズが拡大していることなどが要因として考えられます。

また、M&A業界は高い年収を得られるだけでなく、仕事そのものに大きなやりがいを感じられることも魅力といえるでしょう。

M&A業界で高年収を実現するためには、専門的な資格やスキルを習得したり、クライアントからの信頼をいかに得られるかが重要なポイントとなります。

自分自身の将来に向けてキャリアアップを目指していきたいと考える方は、M&A業界への就職・転職も選択肢のひとつとして検討してみましょう。

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