輸入車ディーラー営業出身の妥協なきプロフェッショナリズム
「聞く営業」への転換
まずは浦嶋さんのご経歴について教えてください。
静岡の何もない田舎で高校まで過ごしました。大学進学を機に東京に出てきて、法学部に進みました。推薦の枠があったから進学しただけで、大学時代はひたすら遊んでいましたね(笑)。
そこから新卒で、某欧州高級輸入車ディーラーに就職されます。選んだ基準は何でしたか?
基準は「頑張った分が、ちゃんと自分の生活に反映される環境」であることでした。そのブランドを選んだのは、大学が世田谷で、あるとき二子玉川を歩いていたときにその車を見かけて「かっこいいな」と一目惚れしたのがきっかけです。昔から人と話すのは好きでしたし、特に秀でているものがあったわけではないので、営業しか生き抜く道はないだろうと思っていました。
実績は、新卒ながら凄まじかったそうですね。
全国の新卒や中途の新人の中で、販売台数全国5位以内に入り新人賞や全国での販売台数表彰という形で何度も表彰していただきました。その時代は、いわゆる「ゴリゴリの営業」でした。成果を出している先輩を真似て、終電間際まで帰らずにお客様と商談をしたり、押しと情熱で食らいついていたりしました。とにかく売れればいいというテンションで動いていた時期もありましたね。
その後、別ブランドのディーラーへ転職されてからはいかがでしたか?
そのブランドでは3年ほど営業をやったのですが、前ブランド時代のような強引な押し売りは一切通用しませんでした。そこで営業スタイルを180度変え、「相手の話を徹底して聞き、必要なら売るし、必要でなければ売らない」「1回で決めようとせず、関係性を築く」営業を学びました。
この「相手のニーズに徹底して耳を傾ける姿勢」への転換と、日々多くの富裕層・経営者の方々と対話し、一切物怖じせずに話せるようになった経験は、現在のM&A業務にそのまま活きています。
「車はいつでも売れる。今しかできない挑戦を」

安定したキャリアを築いていた中で、なぜ全くの異業種であるM&A業界を目指したのでしょうか?
「車はいつでも売れる」と思っていたからです。台数としては計450台ほど販売しました。車は営業としての実力があれば、いまでも売ろうと思えば売れます。だからこそ「今しかできない挑戦」として、形のある製品を売る営業から、無形商材の厳しい世界に飛び込もうと決めました。
保険業界や不動産業界も考えましたが、「それらは今でなくてもできる。今しか行けない、一番難しくてレベルの高い営業職はどこだろう」と突き詰めた結果、M&A業界に行き着きました。一番厳しいと言われる環境で、自分の営業マンとしての実力を真に試したかったんです。
転職活動を進める中で、印象的なエピソードはありましたか?
複数の会社を受けましたが、面接の中で「車業界にいたんだね。でも、それは車の魅力やブランド力があったから売れたんでしょう?」と、無形商材を扱う面接官に見下されているような感覚を抱いたんです。確かにブランド力は大きかったと思いますが、だからこそ「車業界出身の人間が、このM&A業界で活躍して、そんな固定観念を覆してやりたい」という強い反骨心が芽生えました。それがM&A業界を選んだ理由の1つでもあるかなと思います。
MABPに見出した「人をまっすぐ見る」カルチャー
そうした転職活動の中で、最終的にM&Aベストパートナーズ(MABP)への入社を決めた理由は何でしょうか。
役員の松尾さんとの出会いが決定打でした。MABPの役員陣と最終面接をしたのですが、松尾さんは私の前に座るなり、手元にある履歴書も職務経歴書も一切見ずに面接を始めたんです。
履歴書を見ない面接ですか?
はい。「経歴の文字情報に引っ張られて固定概念を持ちたくない。目の前にいるあなたという人間を1からフラットに評価したいから、まずは自己紹介をお願いします」と仰った記憶があります。
他社の面接では、私の経歴書を見て「どうせ車の力で売ったんだろ」というフィルター越しに話されていたのに対し、MABPは本当に私という人間をまっすぐ見てくれようとしている。その「人を大切にする姿勢」に、強い魅力を感じました。
徹底的に自己とオーナーに向き合って培われた自立のスタンス
M&Aアドバイザーのやりがいや、前職との違いはどこに感じていますか?
仕事の責任のレベルが全く違いますね。M&Aは経営者様だけでなく、その奥様、従業員、さらにその家族の人生をも背負う仕事です。自分のアドバイス一つでそうした何十人もの未来が大きく変わってしまう。この圧倒的な責任の重さは、車を売っていた時代にはなかったものです。
M&Aアドバイザーとして意識している価値観はありますか?
私は自分のことを「営業マン」ではなく、あくまで「アドバイザー」だと思っています。営業であれば「どうやって自社の商品を売り込むか」を考えますが、アドバイザーは「目の前のお客様にとって、何が最も適した選択肢なのか」を冷静に選んで提示する存在です。
ですから、無理にM&Aを勧めることは絶対にしません。相手の話を徹底的に聞き、現状維持の方が良いと判断すれば率直にそれを伝えます。
MABPは前職のトップディーラー時代に比べると、大きなギャップがあったのではないですか?
基本給は、前職と比べたら大幅に下がりました。ですが、それは覚悟の上で入ってきているので不満はありません。ただ、その給与水準の中で「お客様の利益を最優先するスタンス」を維持し続けるのは、決して簡単ではないなと感じます。
どのようにして、そのブレないスタンスを維持できたのでしょうか?
実は、私は入社してから一度も、上司や先輩にアポへの「同行」をしてもらったことがないんです。それはたまたまタイミングが悪かったのもありますが、そのような環境だったので自然と最初から「自分で考えて、自分で解決して、自分で前に進めるしかない」という状況でした。
ただ誤解していただきたくないのは、上司や先輩はちゃんと依頼をすれば、快く同行頂ける環境です。私は「教えてもらうのが当たり前」という甘えは排除し、「次に進むためには、今自分は何をすべきか」を考え抜きました。この自立したプロセスを早い段階で経験したからこそ、お客様に誠実に向き合うアドバイザーとしてのスタンスが、自然と身体に染みついたのだと思います。
自我を排して目の前の相手に徹する理由

お話を聞いていると、非常に合理的で冷静な印象を受けます。ご自身の強みはどこにあると分析されていますか?
正直、知識面は秀でているとは全く思っていません。ですが、「お客様の懐に入ること」と「クレームを絶対に起こさないこと」に関しては、確固たる自信があります。私はこれまでの営業キャリアの中で、お客様からクレームをいただいたことは一度もありません。
その秘訣は何でしょうか?
一つは、徹底した「レスポンスの速さ」です。私はスマートフォンのアプリの通知などで、未読件数が溜まっているのが苦手というのもあり、見つけたらその瞬間に即座に返信します。レスポンスが遅い人は、それだけで仕事ができそうとは思えませんし、信頼を失いますから。
もう一つは、仕事において「自我を捨てる」ことです。私は自分のことを「感情がない、極めて冷めている人間」だと思っています。仕事の中で「車を売りたい」「お金を稼ぎたい」という私欲が頭をよぎると、それが商談の中で透けて見え、提案内容が歪んでしまいます。だからこそ、仕事中の私は「自我」を完全に排除します。お金への執着も捨て、「自分がここにいることで、このお客様に何が与えられるか」それだけを全力で考え、ひたすらにお客様のことに徹する。そうやって感情を排して対応しているからこそ、トラブルも起きないのだと思います。
日々感情が揺さぶられたり、ストレスが溜まったりすることはないのですか?
感情的になることはほとんどありません。不満があったとしたとしても、その日のうちに絶対に処理します。私には「人には絶対に愚痴を言わない」というルールがあるんです。会社の愚痴を言い合っている輪には絶対に近づきませんし、入りたくありません。愚痴を誰かに言ったところで、問題は何一つ解決しませんし、それを聞かされる相手にも嫌な思いをさせるだけではないのかなと思っています。
基本的には寝て起きたら翌朝には綺麗さっぱり忘れて、一切引きずりません。
ご自身を律するために日々取り入れていることはありますか?
毎朝5時に起きて、目を覚ますために真水の「冷水シャワー(コールドシャワー)」を浴びています。以前YouTubeで見て「とりあえず真似してみるか」と始めました。また、体調を崩さないよう、休日であっても極力同じ時間に起きるようにしています。
できる人のやり方は、プライドを捨てて素直に何でも真似してみる。それが成長への一番の近道だと思っています。
結果を出すまでは絶対に辞めない
実際にMABPに転職して良かったですか?
はい、心から良かったと思っています。もちろん、早く結果を出さなければいけないという強い責任感は常にあります。ですが、お金を稼ぐことだけを目的にここに来たわけではありません。
「結果が出るまで絶対にやめない」という強い覚悟を感じます。
私は、結果を出すまでは絶対に辞めたくないと思って仕事をしています。全力でやりきって、それでも結果が出なくて辞めるというなら納得がいきますが、今の自分はまだやりきったとは到底思えません。自分の中で「やるべきことを全て徹底的にやりきった」と胸を張って思えるまでは、泥臭くしがみついて、挑戦し続けます。感情に振り回されないからこそ、どんなに結果が出ない暗闇の中でも、淡々と、狂わずに努力を継続できるのだと思っています。
今後のビジョンや将来の目標についてお聞かせください。
この1年間で多くの素晴らしい経営者の方々とお会いする中で、いつか自分自身の「色」で、従業員を率いていけるような会社を作ってみたい、経営者になってみたいと、本気で思うようになりました。そして将来は、多くのつながりを築いてきた「車」に関わるビジネスを、自分の手で立ち上げたいと考えています。培った経営者層とのつながりやM&Aの知見を活かして、新しい価値を生み出す車のビジネスを創出したい。それが私の長期的なビジョンです。
最後に、これからM&Aアドバイザーを目指す求職者に向けて、メッセージをお願いいたします。
MABPに入社してくる方々は、皆一様に前職で高い実績を残してきた、プライドを持った優秀な方ばかりだと思います。ですが、この業界に入るときには、不要なプライドやエゴは、奇麗に捨てる覚悟を持ってほしいです。
M&Aの世界は、想像を絶するほど泥臭く、きつい仕事です。だからこそ、「なぜ自分はM&Aアドバイザーになりたかったのか」という、最初の純粋な志を、どれだけ苦しい局面でもブレずに持ち続けられる人が、最後には強いアドバイザーになれると確信しています。感情に溺れず、しかし心には消えない執念を秘めて、一緒にこの厳しい世界を生き抜き、高い壁を乗り越えていきましょう。
取材:2026年8月
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