M&Aストーリー
株式会社LIGUNA
M&A成約事例
Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)という理念が高次元で一致した。
M&Aに至る背景不測の事態が起こった際には、 事業継続が難しくなってしまう。
株式会社LIGUNA代表の南沢典子氏は、もともと大手化粧品会社の美容部員である。ユーザーの肌に直接触れ、メイクやスキンケアを施す中で、さまざまな肌の悩みを聞くことになった。やがて、多くの大人の女性が抱えている根本的な肌の悩みを解決したい、大手企業では難しい接客方法や販売方法や実現したい、と思うように。そして2003年、16年間勤めた化粧品会社を退職し、有限会社あきゅらいず美養品を創業した。
テレビショッピングでの販売後、ダイレクトマーケティングへ転換し急成長を遂げるが、2011年の東日本大震災を契機に、南沢氏は持続可能な経営スタイルを模索するようになる。当時の広告活動はチラシなどの紙媒体が中心。一般的にチラシの反応率は0.01%~0.3%が基本で、1万枚配布した場合、1~30人程度から反応がとれれば合格点といわれていた。裏を返せば、99%以上のチラシは捨てられてしまうことになる。効率が悪いうえに環境にもよくなかった。また、被災者の気持ちを慮ると、無駄の多い広告活動を続けることに対して抵抗感があった。南沢氏は集客の生命線だった広告出稿の停止を決断する。それは4年もの期間におよんだ。
テレビショッピングでの販売後、ダイレクトマーケティングへ転換し急成長を遂げるが、2011年の東日本大震災を契機に、南沢氏は持続可能な経営スタイルを模索するようになる。当時の広告活動はチラシなどの紙媒体が中心。一般的にチラシの反応率は0.01%~0.3%が基本で、1万枚配布した場合、1~30人程度から反応がとれれば合格点といわれていた。裏を返せば、99%以上のチラシは捨てられてしまうことになる。効率が悪いうえに環境にもよくなかった。また、被災者の気持ちを慮ると、無駄の多い広告活動を続けることに対して抵抗感があった。南沢氏は集客の生命線だった広告出稿の停止を決断する。それは4年もの期間におよんだ。
その後、ネット通販やSNS広告の仕組みを構築。中国現地法人を設立し、生薬原料の自社工場生産を目指すなど、それまでとは違った手法で事業展開していく。2019年には社名を株式会社LIGUNAに変更し、東京都小金井市に新社屋を建築した。新社屋「LIGUNA/0」は、図書館やコワーキングスペースを併設した木造3階建て(地下1階)の建物で、グループ各社のビジョンを体現した体験型施設となっている。
しかし、南沢氏の心の片隅には不安が居座っていた。過去にがんを患った経験があり、今後不測の事態が起こった際には事業継続が難しくなってしまう。そのリスクを危惧していたのだ。常々社員には、一人ひとりが当事者意識を持ち、被雇用者ではなく個人事業主の感覚で働いてほしいと願っていた。コロナ禍によってオンラインでの仕事が促進され、その思いはますます強まっていった。できればマネジメントの仕事は誰かに任せて、自分は企画開発の分野に注力したい。南沢氏はM&Aを検討するようになった。
しかし、南沢氏の心の片隅には不安が居座っていた。過去にがんを患った経験があり、今後不測の事態が起こった際には事業継続が難しくなってしまう。そのリスクを危惧していたのだ。常々社員には、一人ひとりが当事者意識を持ち、被雇用者ではなく個人事業主の感覚で働いてほしいと願っていた。コロナ禍によってオンラインでの仕事が促進され、その思いはますます強まっていった。できればマネジメントの仕事は誰かに任せて、自分は企画開発の分野に注力したい。南沢氏はM&Aを検討するようになった。
M&Aの決断M&Aに求めるのは、 安心と成長の2点だった。
南沢氏がM&Aに求めるのは、安心と成長の2点だった。事業継続のリスクに対する不安を解消し、企画開発の分野を強化することで自社の成長につなげたい。そのため当初は、人材管理を委託できる企業、もしくは化粧品の生産工場を保有する企業を、LIGUNAが買収する形を想定していた。
そんな南沢氏に対してMABPの山口が抱いた第一印象は、明るくて裏表のない人、である。自身の病気についても包み隠すことなく、望むM&Aの形について率直な意見をもらった。会社の現状と未来に対する希望を勘案し、山口は買収と譲渡、その両面から提案を行うことにした。
複数の候補が挙がる中で、山口は南沢氏に株式会社ユーグレナを引き合わせる。ユーグレナは、藻の一種であるユーグレナ(和名:ミドリムシ)を活用し、食品や化粧品の販売、バイオ燃料の研究等を行うバイオテクノロジー企業である。事業の親和性はもちろんのこと、Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)というユーグレナ・フィロソフィー(理念)も近しいのではないか、という思いが山口にはあった。M&Aの形態としては、LIGUNAが譲渡企業、ユーグレナが譲受企業として、資本提携することになる。
そんな南沢氏に対してMABPの山口が抱いた第一印象は、明るくて裏表のない人、である。自身の病気についても包み隠すことなく、望むM&Aの形について率直な意見をもらった。会社の現状と未来に対する希望を勘案し、山口は買収と譲渡、その両面から提案を行うことにした。
複数の候補が挙がる中で、山口は南沢氏に株式会社ユーグレナを引き合わせる。ユーグレナは、藻の一種であるユーグレナ(和名:ミドリムシ)を活用し、食品や化粧品の販売、バイオ燃料の研究等を行うバイオテクノロジー企業である。事業の親和性はもちろんのこと、Sustainability First(サステナビリティ・ファースト)というユーグレナ・フィロソフィー(理念)も近しいのではないか、という思いが山口にはあった。M&Aの形態としては、LIGUNAが譲渡企業、ユーグレナが譲受企業として、資本提携することになる。
ユーグレナの代表取締役社長である出雲充氏と面談した南沢氏は、まず経営スタンスに共通点を感じたという。夢や目標の公言は、これまで自身も実践してきたことだった。そして、山口が意図した通り、Sustainability Firstというユーグレナ・フィロソフィー(理念)が高次元で一致していた。LIGUNAはSDGs(持続可能な開発目標)を主軸に製品開発に取り組み、ユーグレナもまた、同様の考えのもと原材料開発を進めていた。
化粧品にはプラスチックの容器が使われることが多いが、それを捨てると川や海などが汚れてしまう。人を美しくするのと同時に、自然も美しく維持しなければならない。肌がきれいになって終わりではなく、その先のゴミの循環も考えながら事業を行っていく必要があるのだ。最近はサステナビリティという言葉が流行っているから、といった生半可な気持ちでは絶対に通用しない。覚悟を持ってゲームチェンジを起こそう。業界の慣習やしきたりを大きく変えるような商品やサービスを打ち出していこう。その部分で南沢氏と出雲氏は意気投合した。
化粧品にはプラスチックの容器が使われることが多いが、それを捨てると川や海などが汚れてしまう。人を美しくするのと同時に、自然も美しく維持しなければならない。肌がきれいになって終わりではなく、その先のゴミの循環も考えながら事業を行っていく必要があるのだ。最近はサステナビリティという言葉が流行っているから、といった生半可な気持ちでは絶対に通用しない。覚悟を持ってゲームチェンジを起こそう。業界の慣習やしきたりを大きく変えるような商品やサービスを打ち出していこう。その部分で南沢氏と出雲氏は意気投合した。
M&Aの振り返りと展望高くジャンプするためには、 しゃがまないといけない。
ユーグレナ側の強いラブコールもあり、M&Aはトップ会談からわずか3ヶ月という短期間で成立することになった。タイトなスケジュールの中、500問近い質問事項のある財務・法務調査をLIGUNAの幹部で対応していく。山口も土日・昼夜を問わずサポートにあたった。M&Aの経験が豊富な経営者は少ない。身に降りかかる事象のほとんどが初めての経験だ。デューデリジェンスの負担を軽減するために、質問の仕方を拡大質問ではなく限定質問にするなど、山口は心を砕いた。
まるで濁流に飲み込まれているようだった、と南沢氏は当時のことを振り返る。心が折れそうになる瞬間もあった。M&Aが決まれば、重荷になっていた仕事を手放してすぐに楽になれる、というわけでは決してない。シナジー効果や企業文化の醸成、経営統合後のマネジメントに意識を向ける必要がある。社内稟議や決裁のルール、連結決算など、むしろたいへんなことの方が多いかもしれない。ただ、2社がしっかりと混ざり合った先に、自身の望む安心と成長があると信じて取り組んだ。
社員一人ひとりが当事者意識を持ち、被雇用者ではなく個人事業主の感覚で働いてほしい。南沢氏の中で、その思いは変わらない。上場企業であるユーグレナの管理面でのシビアさを知り、自分自身も含め全社的なレベルアップの必要性を痛感した。ただ、成長には必ず痛みがともなうものである。そして、高くジャンプするためには、しゃがまないといけない。しっかりしゃがんで、力をためて、大きな夢に向かって跳び上がるのだ。2021年3月、M&Aが成立し、新生LIGUNAと新生ユーグレナが発足した。Sustainability Firstを掲げる2社の挑戦は、まだ始まったばかりである。
まるで濁流に飲み込まれているようだった、と南沢氏は当時のことを振り返る。心が折れそうになる瞬間もあった。M&Aが決まれば、重荷になっていた仕事を手放してすぐに楽になれる、というわけでは決してない。シナジー効果や企業文化の醸成、経営統合後のマネジメントに意識を向ける必要がある。社内稟議や決裁のルール、連結決算など、むしろたいへんなことの方が多いかもしれない。ただ、2社がしっかりと混ざり合った先に、自身の望む安心と成長があると信じて取り組んだ。
社員一人ひとりが当事者意識を持ち、被雇用者ではなく個人事業主の感覚で働いてほしい。南沢氏の中で、その思いは変わらない。上場企業であるユーグレナの管理面でのシビアさを知り、自分自身も含め全社的なレベルアップの必要性を痛感した。ただ、成長には必ず痛みがともなうものである。そして、高くジャンプするためには、しゃがまないといけない。しっかりしゃがんで、力をためて、大きな夢に向かって跳び上がるのだ。2021年3月、M&Aが成立し、新生LIGUNAと新生ユーグレナが発足した。Sustainability Firstを掲げる2社の挑戦は、まだ始まったばかりである。
お客様プロフィール
株式会社LIGUNA
代表南沢 典子 氏
2003年、有限会社あきゅらいず美養品を創業。素肌で悩む大人の女性のためのスキンケア商品を企画開発する。テレビショッピングでの販売後、ダイレクトマーケティングへ転換。2019年、社名を株式会社LIGUNAに変更し、現在はスキンケア事業「あきゅらいず」「らぶわんこ」、食事業「はだめし」のほか、屋久島での精油生産事業も展開している。資本金300万円。従業員55名。東京都小金井市梶野町5丁目8-26
M&Aストーリー
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