M&Aストーリー
M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
ひとつとして同じ案件や事例は存在しません。
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上田建設株式会社
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上田建設株式会社
代表者取締役 上田 直人氏 インタビュー
私は北海道苫小牧の出身です。学生時代は少々やんちゃな生活を送っていまして。高校を中退した16歳から働き始め、塗装業や港湾荷役、土木業など、さまざまな職を経験しました。
20歳の時に札幌へ出て、そこで足場鳶の仕事と出会ったことが、人生の大きな転機でしたね。それ以降はこの道一筋で働きながら、将来の独立を目指して技術を磨いてきました。
30歳を前にして地元の苫小牧へ戻り、地元の会社でさらに修行を重ねます。そして2013年に足場鳶の個人事業として独立。2015年には法人化を果たし「上田建設」を設立、代表取締役社長に就任しました。現在に至るまで、足場鳶業を中心に事業を展開しています。
当社は北海道苫小牧市に拠点を構えています。主な事業内容は、地元の発電所や工場といった大規模プラントにおいて、メンテナンス用の足場を組むことです。プラント用の足場は専門性が高く、複雑な形状のものを必要とする現場で活用されています。
足場とは、1~6メートルほどの鋼管パイプをクランプで接続し、建物の外周にジャングルジムのように組み立てるものです。その上に鉄板を敷いて人が歩けるようにすることで、作業員の方がプラントの外周や高所で安全に作業できる環境を作っています。
この仕事は大きなやりがいがありますが、一方で、現場は汚くて狭く、辛い環境であることも多いですね。しかし、プラントのメンテナンスはもちろん、足場の設置は手作業でしか成り立たない部分が多く、AIの普及によって不要になる業種ではありません。当社は今後も需要が見込め、勝ち残っていける企業だと自負しています。
2013年、私は大きな人生の転機を迎えた直後でしたが、思い切って独立しました。実は当時、離婚したばかりで。そのわずか1ヶ月後に会社を辞めて、自分で事業を始めたんです。親の体調が優れず、引き取った子どももまだ幼い状況でした。そんな逆境の中で「この状況を自ら打開して人生を切り開くしかない」という強い気持ちで、起業に踏み切ったんですよ。
子どもとの時間は何よりも大切にしています。学校のイベントや行事には欠かさず参加することを心がけていますし、子どもと過ごせる時間を確保するため、自宅も会社の裏に建てました。家族とのつながりを大切にしながら仕事に励むスタイルが、私の生き方そのものですね。
事業は地元企業からの受注が中心ですが、全国的に展開したいという思いも抱いています。一度、従業員を引っ越しさせて関東へ進出を図りましたが、現地でさまざまな課題に直面し、残念ながら昨年に一旦撤退しました。進出先で結婚した従業員もいることから、現地での仕事を継続的に確保する必要性を強く感じていて、来年には関東への再進出を目指しています。
M&Aを検討したきっかけは、私自身の体調不良と関東からの撤退という、2つの大きな出来事が重なったことです。
ある日突然、足に痛みを感じるようになったんです。札幌の病院に通い続けましたが、痛みは1年半以上も続いて。もしかしたらガンなどの重い病気かもしれないと、本当に不安でしたね。その状況で去年、一昨年と取り組んできた関東方面の仕事を一旦止め、北海道に戻ってきたことも精神的な負担となっていました。
関東での仕事に意欲を持つ従業員も多く、来年には再進出を図りたいと考えていましたが、自分の力だけでは限界を感じていました。これらの要因が重なって、2023年8月に「もうM&Aをしよう」と決意したんです。
以前からご縁のあった、M&Aベストパートナーズ(以下MABP)の黒田アドバイザーに相談したところ、「まだお若いので、承継を目的とした譲渡ではなく、会社の成長を目指した戦略的なM&Aを目指しましょう」とアドバイスしてくれて。この提案に強く心を動かされ、「我々の関東方面への進出を後押ししてくれる企業さんがあるのなら、自分の株を譲渡してでも挑戦したい」と考えました。
現状でも会社は十分回っていますが、営業や管理業務を行っているのは私一人です。もし人材を派遣していただければ、さらに会社の成長が見込めると感じました。もちろん、関東での仕事を希望する従業員とのシナジーも期待しましたね。
MABPの黒田さんとは、もう3年ほどのお付き合いになります。初めてお会いした時、黒田さんはとても若いのにしっかりとした話ができて、頼もしさを感じました。
交渉の際も、黒田さんのバックアップは本当に助かりました。交渉中、たくさん背中を押してもらえたような気がします。
お会いする機会が多かったこともあり、当社の良さや魅力を把握されていて、M&Aの交渉相手にもそれをしっかり伝えていただけたと思います。M&Aに関わる話題だけでなく、普段の何気ない会話を通じて信頼関係が築けたのも、大きなポイントですね。
特に印象的だったのは、私の誕生日にお花を送っていただいたことです。男性からお花をもらうなんて、なかなかないことなので正直驚きましたし、ちょっとトキメキました(笑)。誕生日を覚えてくださっていたこと自体が、とても嬉しかったですね。
黒田さんは、とても親身になって寄り添ってくれる方でもありました。これまでいろんな関係者と話をしてきましたが、我々は特殊な業種なので、相手に響かないことがよくあるんです。しかし、黒田さんは現場サイドの立場に寄り添った形で話を聞いてくださり、理解度も非常に高い。そのおかげで、交渉中のストレスが随分軽減されました。
また、足場の修理や歴史に至るまで、業界に関する深い知識をお持ちで、勉強熱心な姿勢が伝わってきました。さらに、交渉中に理解できない文書がいくつも送られてくる場面がありましたが、黒田さんに質問すると、時間を割いてリモートで1つ1つ丁寧に分かりやすく説明してくださいました。不安に思っていた契約条件もそのおかげで解消できて、本当に助けられましたね。
M&Aが無事に完了した今でも、統合作業や細かな部分の詰めなどが山積している状況です。引き続き黒田さんにフォローいただいており、これからもパートナー的な存在として、力を貸していただけたらと思っています。
初めてMABPの黒田さんとお会いしたのは、今から3年半ほど前、2021年の5月のことでした。「挨拶だけでも」と黒田さんが営業活動の一環で来社され、名刺交換をしたのが始まりです。
正直なところ、その時はM&Aをしようとは全く考えていませんでした。むしろ「お会いする必要もないかな」というくらいの感覚でしたね。
ただ、当時の私はM&Aというものを全く知りませんでした。この機会に30分ほど時間をとって、勉強のためにも初歩的なことを聞いてみようと思ったんです。後継者問題や、若い経営者でも譲渡を行うケースが増えているといった話を、黒田さんの経験談を交えながら伺いました。
その後の2年間ほどは特に動かなかったんですが、黒田さんからはちょくちょく連絡をいただいていて。近況や仕事の話をする中で、地元での成約事例や、会社の事業を拡大する戦略的なM&Aの手法についても情報提供を受けていたんです。近くを訪れた際にはお茶をすることもあって、少しずつ信頼関係を築けていったと思います。
具体的にM&Aを考え始めたのは、前述の通り2023年の初夏。黒田さんが私の誕生日にお花を贈ってくれたタイミングで、私から初めて具体的な相談を持ちかけたんです。それから条件を詰めていって、黒田さんが企業選定に着手してくれました。
そこからはスピーディーに進みましたね。2024年3月には、黒田さんが見つけてくださった企業とのTOP面談が実現し、必要な手続きを経て、同年10月には正式に契約を交わしました。
M&Aにあたり、特に重視したのは「相手企業の規模感」と「業種の一致」でした。
私たちは鳶の会社ですので、足場材が欠かせません。また、職人さんとの連携や資材関係の融通が効くといったことも、とても大切な要素です。そこで日本全国に拠点を持ち、資材を供給できる体制が整った企業を求めていました。
今回マッチングした譲受企業は、まさにその条件に合致していました。さらに、最初にお会いした際、こちらの意向をお伝えして話し合ったところ、相手方とも一致できたんです。それが今回の話を進める決め手になりましたね。
とはいえ、このような条件に合う企業はなかなか見つからないようで、担当の黒田さんにはかなりのご苦労をかけてしまいましたね。
もう一つ、特に意識したのが「従業員の希望を叶えること」です。前述した、関東での仕事を強く希望する従業員は「会社を辞めてでも東京で働きたい」という声を上げていて、私もその思いに応えなければと強く感じていたんです。
その従業員とは何度も話し合い「少し時間が欲しい」と説得して、今回の決断まで待ってもらいました。これからも一緒に働いていく中で「従業員たちの希望を優先して会社の方針を決めていく」という選択も、悪くはないなと思いましたね。
2024年10月にM&Aが完了した今、実際に関東進出に向けて動き出しています。東京のほか、千葉への進出も決定していて、今後はその足固めの段階です。年内には準備を終え、いつでも行ける体制を整えたいと考えています。忙しくなりそうですが、従業員たちの未来を守るための一歩ですから、やりがいはとても感じていますよ。
最初、M&Aという言葉を聞いた時は、正直に言うと嫌な気持ちがありましたね。
なんとなく「M&A=会社を売る」というイメージが強くて、売る側は弱い立場に立たされるような、困って助けを求めるようなものだと思い込んでいました。特に「自分が一生懸命に運営してきた会社を、なぜ売らなければならないんだろう」という感情が先に立って、なかなか前向きに捉えられませんでしたね。
ただ、いろいろと調べたり黒田さんと話したりする中で、M&Aは必ずしも「助けを求める手段」ではなく、会社をステップアップさせるための戦略として活用する方法もあるんだと気づかせてもらったんです。関東への進出ができなかった悔しさもあって、従業員と話し合う中で「戦略的な意味でのM&Aもアリだな」という思いが自分の中にも芽生えました。
黒田さんにその気持ちを伝えると、「社長の考えに合う、良い企業を探してきます」と、すぐに動いてくれました。何社か候補をピックアップしてくれた中から、自分の意思で選ばせてもらいました。大変なこともたくさんありましたが、今ではこの決断が正しかったと感じています。会社の未来を思い描けるようになったことが、何よりの収穫ですね。
人間には「人格」があるように、会社にも「社風」があります。黒田さんが我々の会社にフィットする企業を見つけてくださったおかげで、経営者の方とお会いした時から、彼らとの親和性は非常に高く、温度感も合う印象を受けました。
まず、先方にお伝えしたのは「従業員を関東へ連れて行きたい」という私の強い希望でした。そのための足がかりとして「人や物、全てを備えている御社と手を組むことで、双方にとって大きな成長が見込めるのではないか」とお話ししたんです。
譲受企業は住宅関連や大型改修建築を主力とし、多くのグループ会社をお持ちです。そこから一部の方々がプラントの建設やメンテナンスにシフトしてもらえたら、私たちの関東進出もスムーズになります。また、プラント関係の仕事もたくさんありますので、譲受企業にとっても新たな成長分野を切り拓ける。そう考えて、先方にもお話させてもらいましたね。
M&Aに関しては、私自身も初めての経験で不安もありましたが、黒田さんのバックアップもありましたし、お互いが条件をしっかり話し合い、「できることは進める」「難しい部分は工夫していく」といったスタンスで合意を進められたのは、大きな成果だったと思います。
最終的には、単なる承継ではなく戦略的なパートナーシップとしてM&Aを実現できて、本当に良かったと実感しています。
一番の決め手は「従業員の未来を守ること」でした。
現在の建築業界は、老朽化した建物の改修工事が増え、人手不足で忙しい状況にあります。ただ長い目で見ると、人口が減少しているので建物の需要も徐々に縮小していく可能性が高い。工事の対象が減少すれば、建設業界全体の規模も縮小していくことが懸念されます。
そうした先行きを見据えると、独立を維持してやっていくよりも、大手企業と資本提携を結んで、盤石な基盤を築くことが従業員の将来を守る上で最善の選択だと判断しました。譲受企業さまと手を組むことで、会社としての安定性を高め、これからも従業員が安心して働ける環境を整えられると確信できたのが大きかったですね。
今回、日本全国に拠点を持つ一部上場企業のグループ会社の一員に加わり、早速その力をお借りできるようになったことで、正直とても楽になりました。
中小企業ながら年間5億円近い規模の工事を手掛けてきたものの、将来的な不安は常にありましたね。特に、私自身が足の病気を患ったことで、心身ともに弱りを感じていました。幸いガンではなかったんですが、そんな状況でも決断できて、今では本当に良かったと思っています。
今後も代表取締役社長として残り、会社にはこれまで通り密接に関わっていきます。ただ、譲受先が一部上場企業ということもあって、今後は決算期を合わせるなど、これまで以上に法令遵守やコンプライアンスを重視した経営が求められています。これを機に、従業員を守りながら会社全体をきちんと見直し、整備を進めていきたいですね。
M&Aによって、社員たちには「会社がすぐ潰れる心配はなくなった」という安心感を与えられたと思っています。給与もこれから上昇する方向で話が進んでおり、頑張れば頑張った分だけ報われる環境が整いつつあります。安心して働ける職場によって、社員一人ひとりのモチベーションも高められますね。
何より、従業員のために大きな一歩を踏み出せたことが本当に嬉しいです。これもひとえに、黒田さんの尽力のおかげです。心から感謝しています。
M&Aは事業承継だけでなく「戦略的な面」もあることを、ぜひ知っていただきたいですね。
私自身も、M&Aという言葉は耳にしたことがありましたが、「会社を売る」という行為に対して、どこか恐ろしいイメージを持っていました。しかし、実際に取り組んでみて分かったのは、M&Aが会社の成長のための選択肢を広げる、非常に有効な手段であるということです。
今回のM&Aを経て、興味を持たれた方々から電話や問い合わせをいただくことが増えました。「会社を売るってどういうことなんだろう?」という純粋な疑問から、具体的な検討に至るご相談まで様々です。私も、黒田さんと話し合った内容や、実際のプロセスについてお伝えする機会が増えています。
M&Aは、苦しくなった経営者が会社を譲り渡すものでは決してなく、むしろ未来への可能性を広げる手段です。会社をさらに成長させるための「戦略的な決断」として、前向きに検討する価値はあると思いますよ。
M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
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