M&Aストーリー
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M&Aストーリー
株式会社東光ホールディングス
M&A成約事例
譲渡企業
株式会社東光ホールディングス
会長 虻川 東雄氏 インタビュー
株式会社東光ホールディングスは85年の歴史を持つ。虻川東雄会長が父から継承し、小規模製作所から鉄工業、コンピュータサービス、保険まで事業を拡大させ、現在は5社と10事業を展開するホールディングスへ成長している企業である。
虻川氏は会社について、「幼少期から父の経営する会社の姿を見てきたので、幼い頃から私が後を継ぐものだという意識がありました。実際、小学生の頃から、溶接関連や変形などを手伝っていた記憶があります。そのため私は大学卒業後に家業に戻り、実際の製造作業に携わりながら事業の基盤を学んでいきました」と、幼少期から事業に関わり、大学卒業後に家業を継いだことも交えながら語った。
東光製作所はボルトや建築金物製造から始まり、東光鉄工、そして東光ホールディングスへと成長していった企業である。虻川氏は父の築いた基盤をさらに発展させていく過程で、特に40年前に始めたコンピュータサービス事業が情報技術分野の事業拡大に繋がったと語る。時代の変化に対応し、事業領域を情報技術分野にまで広げる重要な一歩で、伝統的な製造業からIT業界へとビジネスを拡大できた、ある種ターニングポイントの1つである。
東光ホールディングスは他の分野でも挑戦し続けている。
例えば、東光鉄工の強みである鋼板の曲げ加工技術を活かして開発された「TOKOドーム」は、軽量でありながら高強度を持つため短工期での建設が可能。そのメリットから南極昭和基地や原子力関連施設、廃棄物最終処理施設など、厳しい条件下でもその性能を発揮する場所で採用されている。
また、農業用ドローンや災害現場での情報収集・救助に活用可能なドローンなど、国産ドローンの開発を推進。農業の効率化から災害時のレスキュー支援まで、同社の技術が幅広い分野でのイノベーションを促進している。
さらに2022年、東光鉄工は関ヶ原製作所との間で洋上風力発電向けの「国産ダビットクレーン」の共同開発を発表。設計から生産、メンテナンスに至るまで、国内で完結させることで、洋上風力発電分野における国産技術の発展と普及に貢献すると期待されている。
このように技術への挑戦を続けてきた東光ホールディングスは「創造と挑戦」の精神を持ち続け、技術と社会貢献を軸に未来へ進むことを目標としている。
「鉱山の会社に参入して厳しい作業から学んできた技術力と、必要とされる事業への挑戦精神は当社の強みで、これまで多くの『初めて』に挑み、成功を収めてきました。もちろん我々の構想はまだ終わっていません。『創造と挑戦』の精神を持ち続け、これからも社会や経済の変化に応じて未来を切り開いていくことが私たちの目標です。100億円企業を超えてさらにその先へと進むために、父から受け継いだこの会社を一層大きく、多様な分野で社会貢献する企業へ成長させていく」
と今後の東光ホールディングスのビジョンについて虻川氏は語った。
「いずれは息子が自分の跡を継ぐものと信じて疑わなかった私にとって、彼が医者の道を選んだことには驚きました。体調を崩した際に家庭教師として迎え入れた医学部の学生の影響で、息子は医学部へ進むことを決意したのです」と虻川氏が語るように、後継者になると考えていた息子が別の道に進むことを選択したのである。
息子が医者の道を選んだことに驚いた虻川氏は、息子の進学を機に自身と事業の将来を考え、M&Aを通じて事業の多角化を図り始めた。
「息子の進学をきっかけに、私はこれから自分の事業をどう継続し、さらに発展させるかを考えるようになりました。息子が医学博士を取得し、ハーバードで学んでいるあいだ、私はM&Aを通じて事業の多角化を図るべく動き始めました」
虻川氏は会社のさらなる発展のために、新たな価値を生み出せるパートナーを模索し始めるのであった。
パートナーを模索し始める中で、MABP担当アドバイザーの黒田との出会いについては「他の企業から連絡があったすぐ後に黒田さんから手紙が来ましたね、2021年の4月だったと思います。最初は電話で話しましたが、非常に好印象でした。初めてお会いしたのが2年半前で、お話したのは他企業よりも早かったですね。」と黒田の印象を語った。
また、「面談では、事業の多角化を前提条件とし、単に資金を求めるのではなく、我が社のビジネス範囲を広げ、新たな価値を生み出せるパートナーを探していました。M&Aを活用して新しいパートナーと協力し、事業の多角化を進めることにより、会社がさらに発展する機会を得たかったのです。最終的な決め手は黒田さんとの縁でしたが」とM&Aにおけるパートナーを探していた虻川氏は、最終的な決め手は人との縁だと話した。
黒田の熱意が虻川氏へと伝わったことを確かに感じ取れた。
「譲受企業からの接触がM&Aの開始点ですね。譲受企業からの積極的なアプローチがあって、トップ面談をすることになりました。」
「譲受企業は話し合いを進める際も非常によい印象でしたし、実際に合意に至るまでのプロセスでは多くのことを学べました。譲受企業は多角的な事業展開で知られており、さまざまな分野での活躍が注目されている中で、大手企業と手を組むことは、我々にとって大きな価値をもたらすと考えました。特に譲受企業からは明確な行動計画が示されたので、取り組みの姿勢から信頼できると感じていました」
初回面談後、様々な会社から関心が寄せられる中、虻川氏は譲受企業との縁を特に重視。
これは、譲受企業のプロフェッショナリズムや事業理解の深さが、他の企業やファンドとは一線を画していると感じたためであった。
「トップ面談の最後に譲受企業の社長も、3ヶ月か4ヶ月で話をまとめると言いきっていて、それをはっきりと言ってくれるのは素晴らしいと思いました。他の企業ではそういう言い切る所は一つもありませんでしたので」
他にも様々な企業と話をしてきた虻川氏も、譲受企業がM&Aに向き合う姿勢を大いに評価しており、業績や会社情報だけではなく、信頼できるかできないかという部分も軸にしながら決断している。
また、中小企業を100億円規模に育てる国の方針もあり、その流れにも乗ったと虻川氏は語る。まさに今回のM&Aは、東光ホールディングスがさらに大きな企業へと成長するための重要なステップだった。
「さらに新しい会社を設立する計画もあり、計画の中心となるのはコンピュータ関連事業です。現在、私たちのコンピュータ事業はグループ内でもっとも成果を上げており、この分野に注力することにより、さらなる成長を見込んでいます。譲受企業との提携を通じて、新たなビジネスモデルを確立していきたいですね」と今後の展望についても語った。
東光ホールディングスは“100億円企業”を目標に掲げ、5年前にその目標を達成したが、さらなる成長を目指し、多角的な事業展開を行う譲受企業とのM&Aに乗り出した。
新たなビジネスモデルを確立し、国内外での競争力を高める。M&Aによる新しい可能性により、ビジネスは次のステージへと進化を遂げる予定だ。
地域社会への貢献とものつくりへの熱意を背景に、東光ホールディングス創業80周年を記念し、「東光虻川ものつくり財団」を設立しているが、設立した最大の目的は地域への恩返しであるという。
「財団設立は地域への恩返しという意味合いが非常に強いです。私たちの企業は、新製品発表やセレモニーなど、さまざまな場で地域貢献活動を行ってきました。地域の支援のもと成長してきた私たちから、地域の方々に対しての感謝の気持ちの表れなんです」
さらに虻川氏は、現経営陣の対応も重要になってくると考え、次のように語った。
「M&Aのニュースが社員に伝わった際、多くの人が自分たちの仕事にどのような影響があるのか、どう反映されるのかを考えました。特にM&Aについての情報が管理職層への伝達に限られている中では、一般社員は不安に思う気持ちは大きかったでしょう。ただ、現在の経営陣がしっかりと対応し、社員が一丸となって会社を前に進めていくことが重要です」
東光ホールディングスは地域貢献活動を通じて成長し、コンピュータ事業の成功も地域支援が大きな要因であったと虻川会長は語る。
「私たちは地元で唯一のコンピュータ業者として、公共施設や学校などのデジタル化を支援してきました。さらにコンピュータ事業の経験を生かし、ソフトウェア開発の自社能力を前面に押し出して、大手企業との提携を実現してきました。ものつくり財団を通じて、技術開発や次世代への教育支援など、さらに幅広い地域貢献を目指しています。財団はグループ各社がそれぞれの道を歩む中でも、ものつくりへの情熱と地域社会への貢献を継続する架け橋になります」と、虻川会長は幼少期からのものつくりへの情熱を基に、更なる科学技術進歩への貢献を考えている。
一方で今後の展望については、「赤字部門の見直しや効率的な経営戦略の実施など、多面的なアプローチが必要です。また新しいビジョンに向けて社員一人ひとりが変化を恐れず、積極的に行動することが大切となるでしょう」と、会社が成長していくにあたり社員が一丸となって行動していくことに、虻川氏は改めて期待を示した。
そして株式会社東光ホールディングスの最終目標は、鉄工業単独で100億円を超える企業への成長だと発展を見据えている。
「M&Aによって開かれた新たな可能性を最大限に活かし、組織全体で一丸となって目標達成に向けて努力していってほしいですし、私たちはこれからも、事業に、地域に、そして従業員一人ひとりに誠実に向き合い、ともに成長を目指していきます」
M&A仲介としての仕事は一区切りついたが、我々MABPも引き続き、東光ホールディングスの今後の推移を見守っていきたい。
M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
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