M&Aを検討中の人は、「M&Aブティック」という言葉をご存じでしょうか。
M&Aブティックとは、M&Aに特化した専門性を持つ組織のことで、仲介業者とは違ったサポートを提供しています。
本記事では、M&Aブティックの概要や、仲介会社との違い、サポート内容などについてご紹介します。
目次
M&Aブティックとは?仲介業者との違い
M&Aブティックとは、M&Aに特化した企業や組織の総称のことです。
M&Aアドバイザーが個人を指すのに対し、M&Aブティックは複数の専門家で構成している集団を指します。業務内容は、M&A取引のサポートだけでなく、戦略策定や評価、交渉、デューデリジェンスなどを行います。
M&Aブティックは複数の専門家で構成されていますが、仲介業者との役割の違いについて疑問を感じる人もいるでしょう。
M&Aブティックは、クライアントに包括的なサービスを提供し、M&Aプロセス全体を管理します。
専門知識と経験を駆使し、クライアントの利益最大化を目指して戦略的なアドバイスが可能です。一方で、仲介業者は買い手と売り手との間で交渉や情報の仲介を行い、M&Aの実現をサポートします。
M&Aブティックは、M&A取引におけるトレンドや最新のベストプラクティスに精通しているため、豊富な経験を持っています。
また、異なる専門分野のエキスパートが連携しているので、細かいクライアントのニーズに応えられるでしょう。
M&Aブティックの主な種類
M&Aブティックの種類は、主に4つ挙げられます。
以下ではそれぞれの特徴についてみていきましょう。
M&A仲介会社
M&A仲介会社は、買い手と売り手の双方の間に入り、M&A取引の手続きを円滑に進める役割を担っています。
情報の収集や評価、交渉の支援などを通じて、買い手と売り手の両方に利益をもたらすようなサポートが可能です。また、デューデリジェンスの手配や法的手続きのサポートも行います。
M&A仲介会社は、クライアントのニーズに合わせた専門的なサービスを提供することで、M&A取引の実現に向けて支えているといえるでしょう。
経営コンサルティングファーム
経営コンサルティングファームは、M&Aアドバイザリーサービスを幅広く提供する会社です。
企業の経営戦略・業績向上を支援するだけでなく、M&A戦略の策定やデューデリジェンス、交渉の支援など、M&Aプロセス全体に関与します。
経営コンサルティングファームは多くの業界や専門分野に精通し、戦略的な視点と幅広い知識を駆使して、クライアントのビジネス目標に合わせた最適なM&A戦略を提案が可能です。
メガバンク
メガバンクは、大規模で幅広い金融サービスを提供する銀行のことを指しますが、近年ではM&Aブティック業務を行うケースも増えています。
豊富な資金力を持っているため、大規模なM&A案件を取り扱うことが一般的です。
メガバンクは、得意とする幅広い金融サービスとM&Aアドバイザリーサービスを組み合わせているため、クライアントに包括的なサポートを提供します。
幅広い業界や地域へ展開しながら、グローバルなネットワークを生かして、クライアントの要求に応えることが可能です。
メガバンクの参入により、M&A市場はますます需要が高まっているといえるでしょう。
証券会社
証券会社も頻繁にM&Aブティック業務を行っておりメガバンク同様、幅広い業界や地域に対してM&A取引の専門的なサービスを提供しています。
証券会社は、M&A戦略の策定や評価、デューデリジェンス、交渉の支援など、包括的なサポートが可能です。
証券会社は、資金調達や株式公開などの金融サービスも提供できるため、総合的なサポートを提供しています。
多様な案件に対応できるため、豊富なネットワークと専門知識を生かしてクライアントのニーズに応えられるでしょう。
証券会社の参入により、M&A市場における競争が活発化し、クライアントにとって多様な選択肢が生まれます。
M&Aブティックが提供する主なサービス内容
次に、M&Aブティックが提供する主なサービス内容について解説します。
サービス内容は、各M&Aブティックによって異なる場合があるため、以下で紹介する内容は一般的な例として参考にしてください。
M&A戦略に関するアドバイス
M&Aを進める際には、まずM&A戦略の策定が重要です。特にM&Aの経験が少ない企業では、戦略の策定が難しいでしょう。M&Aブティックでは、初めに専門家の立場から戦略に関するアドバイスが可能です。
さらに、M&Aブティックは適切なスキーム(取引構造)の選択についてもアドバイスします。M&Aにおいて使用するスキームには、法務や税務面などの影響があるでしょう。しかし、専門家の立場からのアドバイスを受けることで、リスクを最小限に抑えることが可能です。
相手企業とのマッチング・交渉サポート
M&A候補が見つかった後に、交渉プロセスに移行する際は、当事者となる会社経営者のみの交渉は円滑に進めることが難しい場合もあるでしょう。ここでM&Aブティックの存在が重要となります。
M&Aブティックは、交渉プロセスにおいて中立的な立場を取り、双方の利益をバランスよく保ちながら交渉を進めることが可能です。
M&Aブティックでは、専門的な知識や経験を生かして交渉戦略を策定し、交渉における課題や懸念事項を解決するためにアドバイスを行います。また、適切なタイミングで交渉を行うことで、相手企業との間での円滑な意思疎通を図れるでしょう。
さらに、M&Aブティックはクライアントの利益を最大化するために、価格や条件を調整します。交渉のプロセスにおいて妥協点を見つけ出せるので、クライアントにとって有利な合意を実現できるでしょう。
M&Aブティックの存在により、交渉プロセスは円滑に進み、両者の間での信頼関係の構築や合意形成が促進されます。その結果、M&A取引の成功確率が高まり、円滑な移行と統合が実現可能です。
バリュエーション
M&Aブティックは、バリュエーション(企業の評価)に関してもサポート可能です。
売り手企業の価値を客観的に評価し、適切な取引価格の設定をサポートします。
財務データの分析や業界動向の調査を通じて、企業の資産、収益性、成長ポテンシャルなどを総合的に評価することで、クライアントは正当な評価に基づいた意思決定を行うことができ、取引の公平性と透明性が確保できるでしょう。
M&Aブティックの専門知識と経験により、バリュエーションは高まります。
デューデリジェンス
M&Aブティックは、デューデリジェンスにおいてもサポート可能です。
売り手企業のリスク分析を専門的に行い、クライアントに対して詳細な情報を提供します。財務、法務、労働、環境などの側面を綿密に調査し、潜在的な問題やリスク要素を明らかにできるでしょう。
その結果、クライアントはM&A取引におけるリスクを正確に把握し、将来の課題や損失を回避するための戦略が立てられます。M&Aブティックの専門家の知識と経験により、デューデリジェンスは効果的かつ信頼性が高くなるでしょう。
契約書の作成
M&Aブティックは、契約書の作成もサポートします。
契約手続きに関連する契約書の作成や調整を専門的に行い、クライアントに対して助言やガイダンスを提供することが可能です。法的な専門知識を活用して、契約書の内容や条件をクライアントの要件・目的に合わせて最適化します。
また、交渉の過程で生じた異論や意見の調整も行い、クライアントの利益を最大化してくれるでしょう。M&Aブティックの存在により、契約書作成のプロセスはスムーズかつ法的に正確なものになります。
契約後のサポート
M&Aブティックは、契約後の統合計画(PMI)に関してもサポート可能です。
クライアントがM&A取引の成功を達成するために必要なサポートをアドバイスします。具体的には、統合計画の策定や実行、組織文化の統合、業務プロセスの最適化など、統合の各側面について助言が可能です。
また、問題の早期発見や解決策の提案、成果の評価など、統合プロセス全体を見据えたサポートを行います。M&Aブティックの経験と洞察力により、クライアントは効果的な統合を実現し、シナジー効果を最大限に引き出せるでしょう。
企業がM&Aブティックを選定する際のポイント
次に、M&Aブティックを選ぶ際のポイントについて解説します。
求めるサービスを提供しているか
M&Aブティックによって提供されるサービス内容は異なるため、自社が求めるサービスを提供しているかを確認する必要があります。
例えば、戦略策定やデューデリジェンスなど、必要な専門知識やサポートがあるかを確認しましょう。
自社の分野に強いか
自社の分野に強いM&Aブティックは、業界や市場の特性を理解しており、より適したアドバイスを提供できる可能性が高いです。
業界に精通していることは、M&Aの成功に直結する重要な要素といえます。
実績が豊富か
実績の豊富なM&Aブティックは、信頼性が高く、過去の取引実績から学びながら自社のM&Aを具体的にイメージしやすいです。
実績があることは、クライアントにとっての安心材料となるため、ホームページなどのメディアを通じて実績について確認しておきましょう。
まとめ
今回は、M&Aブティックの概要や仲介業者との違いについて解説しました。M&Aの成果を最大限に引き出すには、自社のニーズや目標に最も適したM&Aブティックを選ぶことが重要です。
M&Aを実施する前に、専門的な知識と経験、業界理解、実績に基づいたアドバイスを提供してくれる信頼できるパートナーを選定するようにしましょう。
M&Aブティック選びにお悩みであれば、豊富な支援実績があり、各分野に特化した専門家がサポートを行うM&Aベストパートナーズへぜひご相談ください。