AIやIoTの技術革新などにより、近年ではITコンサルティング業界へのニーズは非常に高まっています。
そこで本記事ではITコンサルティング業界の市場規模や抱えている課題について詳しく解説します。
あわせて、激しさを増す市場競争で生き残るために増加傾向にあるM&Aの動向、そして実際に行われたM&Aの事例もご紹介するので、今後さらに競争が加速するITコンサルティング業界で生き残るための方法を模索中の方はぜひ参考にしてください。
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目次
ITコンサルティング業界の市場規模
はじめに、ITコンサルティング業界の市場規模、そして市場競争の状況を解説します。
市場規模と今後の成長
株式会社船井総合研究所の調査によると、2023年度の日本国内のコンサルティング市場全体の市場規模は前年比+9.5%の約2兆23億円でした。
2017年から2023年までに約2.1倍の成長、年成長率(CAGR)は+13%と、市場規模は大きく成長しています。
このうち、ITコンサルティング業界の市場規模について、AI予測では2030年までに7,216億円と、今後5年間で5.6%程度成長するとされており、急激な増加ではないものの今後もITコンサルティング業界は安定した市場であると考えられるでしょう。
参考:株式会社船井総合研究所|日本国内のコンサルティング業界規模は、2兆円越え |コンサル市場規模2024年版~前半~
参考:株式会社 xenodata lab.|市場規模 5年間の推移予測 ITコンサルティング業界の2030年AI予測レポート
市場競争の状況
ITコンサルティング市場は、官公庁や大手企業だけでなく、中堅・中小企業や地方企業などにもDX需要が高まっています。
このような背景から市場は拡大しており、外資系・国内大手、独立系、フリーランスなど、さまざまな業者が市場へと参入しています。
そのため、ITコンサルティングサービスを提供する事業者は非常に増えており、市場競争は激化しているといえるでしょう。
ITコンサルティング業界が抱える課題
安定した成長をみせるITコンサルティング業界ですが、サービス提供事業者が増加しているため市場競争は激化し、解決すべき課題が浮き彫りになっています。
ITコンサルティング業界が抱える解決すべき課題を解説します。
人材不足・採用の困難さ
日本国内の労働人口は、少子高齢化の影響を受けて「人手不足倒産」という言葉があるほど深刻な労働人口不足となっており、ITコンサルティング業界も例外ではありません。
DX化が加速する近年では、IT技術に関する知識だけでなくコンサルティングスキルも兼ね備えた人材は非常に希少となっており、優秀な人材の確保が急務となっているなかで雇用競争が激化しています。
しかし、中堅企業や中小企業では採用や人材育成のリソースには限界があり、事業を継続・成長させるために早急に解決すべき課題となっています。
2-2.サービスの高付加価値化
多くのITコンサルティング事業者が参入しているなかで、他者と同じようなサービスを提供していては、市場競争で生き残ることはできません。
現状のサービス内容を全て棚卸しし、他社サービスと比較してどのような強みがあるのか、また何が不足しているのかを明確にしたうえで、さらなる高付加価値をつけることが生き残りには不可欠です。
2-3進化し続ける技術のインプット
特に近年はAI技術やクラウド、データ分析などさまざまな技術の進化が著しく、従来のIT導入サポートだけでなく戦略的支援やアジャイル開発※支援の需要が高まっています。
そのため、従来型の古い技術に依存したままでは市場での競争力が低下し、場合によっては既存取引先との契約が打ち切りになるリスクもゼロではありません。
今後もITコンサルティング業界で成長するためには、進化し続ける技術をインプットし、実務へとしっかりアウトプットできるように日々研鑽し続けることが重要です。
※短い開発サイクルを繰り返し、計画・設計・実装・テストを機能ごとに行いながら、スピーディーにソフトウェアの開発・提供をする開発方法
人手不足により人材育成が進まない
ITコンサルティング業界では人材獲得競争も激化していますが、そもそも人手が足りていないため、せっかく雇用ができてもその人材を育成することができないという悪循環に陥っているケースが少なくありません。
そのため、ただ人材を雇用するだけでなく、同時に教育環境を整えることも求められています。
レガシーシステム問題への対応
近年のIT業界では、古い技術や複雑な構造で構築され使い続けられているレガシーシステムが問題となっています。
そのため、今後のITコンサルティング事業者には、このレガシーシステム問題に対してどのように取り組み、改善していくのかといった提案力が求められ、これまで以上に提案力と実行力が重要です。
ITコンサルティング業界の課題解決に向けて取り組むべきこと
さまざまな課題を抱えるITコンサルティング業界ですが、課題解決に向けてどのような取り組みをすればよいのでしょうか。
具体的な取り組み内容をご紹介します。
専門性の強化と伴走型支援へのシフト
現在のIT市場は、以下のような理由から「ただシステムを納品して終わり」では生き残りが難しく、次のような取り組みが重要な鍵となっています。
- 技術の「コモディティ化」と「複雑化」の二極化:
ノーコードツールやクラウドサービスなどの普及により、従来のシステム構築の価値が低下。一方でAIやデータ活用・分析、セキュリティといった分野の深い専門性に対する需要が増加。 - 「作って終わり」の時代は終わり:
DXの本質は、IT技術の導入によって「事業そのものの変革」。クライアントの現場に深く関わり、伴走型支援によって成果の創出まで責任を担うことが強い信頼獲得につながる。
このように、専門性の強化と伴走型支援へのシフトにより、従来の「請負型」から脱却し、中長期的な契約の獲得や、クライアントの次の課題解決に向けたコンサルティング業務の受注につなげることが可能となります。
人材に対する戦略の構築
すでに解説したとおり、ITコンサルティング業界は深刻な人材不足となっており、企業によっては念願の人材雇用が叶っても教育できるスタッフがいないという負の連鎖に陥っているケースも少なくありません。
そのため、しっかりと教育体制を整えたうえで、どのように人材確保を行っていくのか、この人材確保戦略をどのように構築するのかを真剣に検討することが必要です。
事業承継に向けた検討
労働人口不足は、企業の後継者問題にも大きな影響を与えており、後継者がいないために事業承継ができず、廃業という選択をするしかない企業が増加しています。
そのため、親族・既存従業員だけでなく、第三者も含めて後継者を検討することが、事業の存続を考えるためには不可欠です。
ITコンサルティング業界のM&A動向
近年のITコンサルティング業界では、さまざまな課題を解決するためのM&Aが増加傾向で、特に以下の点を理由としたケースが多いです。
- デジタル領域強化を目的としたM&A
- 専門分野の拡充を目的としたM&A
- 地域ネットワーク拡充を目的としたM&A
- 優秀な人材を確保するためのM&A
- 事業承継を目的としたM&A
上記のように、急速に変化する市場ニーズへ対応するために異なる専門分野を持つ企業と提携したり、大手企業がネットワークを拡充するために中堅・中小企業を傘下にしたりするケースが増加しています。
また、不足する人材を補填するために大手の傘下に入って人的リソースを活用するM&Aや、事業を他社へ引き継ぎ事業を存続するためのM&Aも少なくありません。
ITコンサルティング業界で実際に行われたM&A事例
増加するITコンサル業界のM&Aについて、実際に行われた実例をご紹介します。
NTTデータグループによるM&A
2014年、株式会社NTTデータグループはスペインのITコンサルティング会社であるEverisを買収したことを発表しました。
スペインや中南米6ヶ国で大手銀行や保険会社、通信事業者、政府機関を主要顧客とし、スペイン語やポルトガル語に対応した情報システム構築に強みを持つEverisを買収したことにより、NTTデータグループは欧州や中南米における事業基盤を強化し、グローバルな展開を加速させています。
参考:株式会社NTTデータグループ|スペインeveris Groupの子会社化完了について
ビジネスブレイン太田昭和によるM&A
経営会計コンサルティングやシステム構築・運用、BPOサービスを展開する株式会社ビジネスブレイン太田昭和(以下、BBS)は2023年、インフラ事業やBPOサービス事業を手掛ける株式会社トゥインクルの全株式を取得、完全子会社化しました。
このM&Aにより、BBSはシステム構築・運用事業のサービス体制やコールセンター業務などの強化、バックオフィスの問題解決により深く貢献できる体制を整えています。
また、BBSは同じ2023年に製造業向けCAD/PDMシステム開発に強みを持つ株式会社フレスコの株式85%も取得、子会社化しています。
フレスコの子会社化により、製造業のバックオフィス支援を拡充し、フレスコが持つCADシステム開発力を取り入れて製造業のDX化を加速する体制を整えました。
参考:株式会社ビジネスブレイン太田昭和|BBS、ITインフラ事業やBPOサービス事業を行う株式会社トゥインクルの株式取得(子会社化)
参考:株式会社ビジネスブレイン太田昭和|BBS、製造業向けのバックオフィス支援を拡充
トリオシステムズによるM&A
システムインテグレーションやクラウドソリューション開発、FinTechソリューションなどを手掛けるトリオシステムズ株式会社は、2024年にシステム開発やITコンサルティング事業を手掛ける株式会社新適を買収、子会社化しました。
このM&Aにより、技術力と人材強化を図るとしています。
なお、トリオシステムズは2025年にSES事業や受託開発事業などを手がける株式会社グロトム、そしてソフトウェア受託開発事業やソフトウェア技術コンサルティングなどを手掛ける株式会社ヒューマンシステムも子会社化し、さらなる事業拡大を図っています。
まとめ
IT技術の進化により、ITコンサルティング事業者への顧客ニーズは大きな変化があり、どれだけ早く対応できるかが市場競争での生き残りの鍵となっています。
このような新たなニーズへの対応、そして深刻化する人手不足、後継者不足を解決する有効な手段として、近年ではM&Aが活発となっています。
しかし、M&Aを成功させるためには時間がかかるだけでなく、専門的な知識やノウハウを必要とするため、M&Aの専門家によるサポートを欠かすことはできません。
私たちM&Aベストパートナーズは、M&Aのプロフェッショナル集団として、これまでM&Aによって企業が抱えるさまざまな課題を解決するお手伝いをしてまいりました。
自社が抱える課題を明確にし、課題解決に向けてM&Aも選択肢に入れている方は、まずはお気軽にM&Aベストパートナーズまでご相談ください。
ITコンサルティング事業に精通した専任アドバイザーがお悩みをしっかりヒアリングさせていただき、課題解決に向けて全力でサポートいたします。
