事業承継アドバイザーはどんな資格?試験日程や難易度について

経営者の高齢化や後継者不足などにより、中小企業を中心に事業承継に頭を悩ませるケースが少なくありません。

このような悩みを解決するために、事業承継を支援するための資格が注目されています。

中でも「事業承継アドバイザー」はその代表格ですが、どういった知識やスキルを習得できるのでしょうか。

また、資格を取得するメリットや事業承継アドバイザーの難易度、必要な勉強時間などもあわせてご紹介します。

事業承継アドバイザー(BSA)とは?

事業承継アドバイザー(Business Succeed Advisor:BSA)とは、一般社団法人金融検定協会が認定している民間資格であり、事業承継に関する基礎知識や法務・税務に関する手続き方法・手順などが問われます。

企業経営者からの相談に乗る立場である金融機関の担当者および幹部を想定した資格であり、事業承継アドバイザーを取得することでクライアントからの信頼を得やすくなります。

ただし、受験にあたって特に条件はなく、金融機関関係者以外でも試験を受けることが可能です。

事業承継アドバイザー認定試験は五答択一式(50問)で出題されるペーパー試験で、60点以上が合格基準となっていますが最終的な合否は試験結果を踏まえて試験委員会で決定されます。

事業承継アドバイザーの試験日程

事業承継アドバイザー認定試験は、毎年1回全国の主要都市で開催されます。

2024年の試験は以下の日程で実施されました。

【申込期間】

2024年3月1日(金)~4月2日(火)

【開催日時】

2024年5月19日(日)

13時30分~16時00分

【受験票発送】

2024年5月7日(火)

【成績報告】

2024年6月18日(火)

金融検定協会では事業承継アドバイザー以外にも複数の資格を認定しており、試験科目に応じて午前・午後の部に分かれています。

事業承継アドバイザーの場合は、上記の開催日時にもある通り午後の部として実施されました。

2024年の試験日程はすでに終了しており、次回の試験は2025年となる見込みです。

来年も同じような日程であると予想されるため、2024年12月下旬頃から金融検定協会のWebサイトをこまめにチェックしておき、申し込み忘れがないよう注意しましょう。

関連記事:事業承継コンサルタントとは?費用や資格について解説

事業承継アドバイザーを取得するメリット

企業経営者に対して事業承継に関するアドバイスを行うためには、必ずしも特定の資格や免許が求められるものではありません。

そのうえで事業承継アドバイザーを取得することで、どういったメリットが期待できるのでしょうか。

信頼性を客観的に証明できる

事業承継アドバイザーの資格を取得することで、事業承継に関する専門的な知識とスキルを持っていることを証明できます。

信頼できるアドバイザーの存在はクライアントにとって大きな安心材料となり、信頼関係を構築しやすくなるでしょう。

その結果、他のコンサルタント会社や担当者との差別化を図れるようになり、競争が激しい市場において優位性を発揮できる可能性もあります。

知識の習得

事業承継においては法律や財務、税務、人事などさまざまな分野の専門知識が求められます。

事業承継アドバイザーを取得する過程においてはこれらを網羅的に学ぶことができ、事業承継プロセスを円滑に進められるメリットがあります。

また、クライアントに対しても事業承継に関する最新の動向や情報などを共有できるでしょう。

キャリアアップにつながる

事業承継アドバイザーの資格を持つことで、企業によっては人事評価にプラスに働いたり、キャリアの幅が広がったりすることも期待できます。

これまで以上に高いポジションが与えられ、責任ある役職として活躍できるかもしれません。

また、クライアントの窓口や担当者という立場以外にも、事業承継に関するセミナーの講師などを任せられる可能性もあるでしょう。

事業承継アドバイザーの資格がないとできない業務は?

事業承継アドバイザーはM&Aやコンサルティングの分野においてメジャーな資格ではありますが、この資格が必須となるような業務はありません。

たとえば、契約書の作成など法務に関わる業務は弁護士と協力しながら進めることが多いため、アドバイザーの立場として資格の有無は問われないのです。

しかし、上記のメリットでもご紹介した通り、資格を持っていることでクライアントからの信頼を得やすかったり、弁護士や税理士といった専門家と円滑にコミュニケーションがとれるなど、有利になる場面はいくつも存在します。

関連記事:M&Aアドバイザリーとは?費用や仲介との違い・激務な理由を徹底解説

事業承継アドバイザーの難易度

一口に資格といっても難易度は幅広く、どの程度の勉強時間が必要とされるのか不安に感じる方も多いでしょう。

事業承継アドバイザーの合格者数や合格率などのデータは公表されていませんが、試験の出題範囲と主な内容は以下の通りです。

  • 事業承継の基礎知識:事業承継の類型・進め方・企業の価値評価・コンプライアンス など
  • 親族内承継:概説・自社株承継の法務および税務 など
  • 役員・従業員・外部への承継とM&A:概説・事業承継M&Aの手順・役員・従業員への承継方法 など

事業承継に関する基本的な知識を中心に出題されるため、銀行の渉外担当やコンサルタントなどある程度の実務経験がある方であれば決して難しい試験ではないでしょう。

また、実務経験がない方であっても、上記範囲の知識を幅広く身につけておくことで十分合格が狙える資格です。

事業承継アドバイザーの取得に必要な勉強時間は?

事業承継アドバイザーは税理士や司法書士といった国家資格に比べると難易度は高くなく、独学であっても十分合格は狙える資格といえます。

しかし、「〇時間勉強すれば合格できる」といった明確な保証はなく、ベースとして覚えている知識や勉強方法などによっても勉強時間は大きく変わります。

効率的に勉強を進めるためには、参考書である「事業承継アドバイザー講座」を一通り勉強した後、過去問題を中心に構成された「事業承継アドバイザー認定試験模擬問題集」を繰り返し解いて知識を定着させる方法がおすすめです。

事業承継アドバイザー認定試験では、過去に出題された問題と同じ内容あるいは類似した問題が出題されることが多いため、過去問題を繰り返し解くことで合格の可能性が高まります。

◆事業承継アドバイザー講座◆

◆事業承継アドバイザー認定試験模擬問題集◆

事業承継アドバイザーと関連のあるその他の資格

事業承継に関する知識向上やスキルアップを目指すためには、事業承継アドバイザー以外にもさまざまな資格が有効です。

代表的な3つの資格をご紹介しましょう。

経営承継アドバイザー

経営承継アドバイザーとは、一般社団法人日本金融人材育成協会が認定している民間資格です。

事業承継に関する支援だけでなく、弁護士や公認会計士、税理士、司法書士などと連携しながら持続的な経営に向けてあらゆる面でサポートしていくことを目的としています。

通信講座である「経営承継アドバイザー資格認定講座」の受講後、Web修了試験に合格することで経営承継アドバイザーとして認定されます。

講座および試験は「経営承継編」と「制度理解編」の2パートに分かれており、Web修了試験はそれぞれ45分間、15問が出題されます。

CBT事業承継アドバイザー3級

CBT事業承継アドバイザー3級は銀行業務検定協会が認定している民間資格です。

金融機関における渉外担当者を想定した資格であり、クライアントとなる経営者に向けて事業承継に関するさまざまなアドバイスを行うための基本知識および実務を習得することができます。

ただし受験資格は特に定められておらず、誰でも受験可能です。試験は四答択一式の50問が出題され、試験時間は120分。100点満点中60点以上で合格となります。

CBT方式のため全国のテストセンターで受験でき、2024年度の試験日程は2024年5月1日(水)から2025年3月31日(月)までです。

事業承継士

事業承継士は一般社団法人事業承継協会が認定している民間資格です。

事業承継に必要な法的手続きや税務手続きに関する知識と、後継者の育成や事業承継後の経営戦略策定なども担う知識・ノウハウを習得することができます。

事業承継に関する資格のなかでも難易度は高めで、以下の資格保有者でなければ受験資格が得られません。

  • 中小企業診断士
  • 税理士
  • 公認会計士
  • 弁護士
  • 司法書士
  • 社会保険労務士
  • 行政書士
  • 土地家屋調査士
  • 一級建築士
  • 不動産鑑定士
  • 宅地建物取引士
  • ファイナンシャル・プランニング技能士

事業承継士は事業承継協会が実施している「事業承継士資格取得講座」を受講した後、試験に合格することで認定されます。

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まとめ

事業承継アドバイザーは事業承継に関する基礎知識や手続き方法などが問われ、これを取得することでクライアントからの信頼を得やすくなったり、キャリアアップなども期待できます。

受験にあたっては学歴や資格の有無などの条件はなく誰でも受けられるほか、実務経験がない方であってもテキストを学習し過去問題を中心に解いていくことで合格できる可能性は十分あります。

事業承継に関する正しい知識を身につけたい方や、コンサルタントやアドバイザーとして経営者の力になりたいと考えている方は、資格取得に向けて挑戦してみるのもおすすめです。

著者

MABPマガジン編集部

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