M&Aストーリー M & A Story
高い志を抱く訪問看護サービス企業のM&A。

高い志を抱く訪問看護サービス企業のM&A。

会社名
株式会社ケア・オフィス優
業種
訪問看護事業、地域密着型サービス事業
M&Aで達成した内容
後継者不在の解消
M&Aアドバイザー
永沢 渉

M&Aに至る背景地方都市で訪問看護サービスを手がけるが、従業員は全盛期から3分の1に。

M&Aに至る背景
(株)ケア・オフィス優 代表取締役 二丹田 早稲子 氏
「本当は、会社を畳もうと思っていたのよ」
そう話すのは、今回M&Aを実行した「株式会社ケア・オフィス優」の代表、二丹田早稲子氏だ。
「私自身が倒れちゃって。意識も朦朧で、危うく死ぬところだったね」と笑う。

ケア・オフィス優は二丹田氏が2008年に設立し、北海道の小樽市全域で訪問看護サービスを提供する会社で、民間の訪問看護業としては、市内で最も古い歴史を持つ。
小樽市の中心にある事務所は茶色いレンガ調で、かつてコンビニだったことを物語っているが、この事務所は二丹田氏の実家でもあり、ここから夜学の看護学校に通い、2年で准看護師、3年で正看護師の資格を取ったという。
その後はリハビリ系病院に勤務し、転勤族のご主人と結婚してから一時は全国を転々とするものの、帰郷後は古巣の病院に舞い戻った。
このタイミングで訪問看護を受け持ったのがきっかけとなり、志を抱いて自ら立ち上げたのがケア・オフィス優の始まりである。

設立当初は従業員が今よりも多く、ケアマネジャー業、ヘルパー業、介護タクシー業など手広く展開していた中、24時間のサービスをやってみたいという思いから、2012年、小樽市が始めた定期巡回サービスの公募にも手を挙げた。

ケア・オフィス優のように、在宅系で定期巡回をやっている事業所は全国的に見ても珍しく、本来は、高齢者向け住宅などの施設を持つ事業所が夜勤と並行して手がけるようなサービスだが、当時の公募で「本来あるべき姿だ」と注目され、複数社の中より選ばれたのだという。

現在はヘルパーが複数名しかいないものの、訪問看護に加えて定期巡回サービスが事業の柱となっているのは、その名残である。
しかし、市場環境や時代の変化から設立時に24名在籍していたスタッフは8名にまで減ってしまい、二丹田氏は「私自身に跡取りがおらず、従業員も長くここで働いてもどうなんだろうと考えたんじゃないかな。もっと早くM&Aを検討していれば、違った展開になっていたのかもしれないね」と悔いる。

M&Aの経緯体調悪化で廃業を決意するも、同じタイミングでM&Aを知り、希望を見出す。

M&Aの経緯
M&Aベストパートナーズ 永沢 渉

「M&Aって最初は知らなくて、興味もなかったのよ」と話す二丹田氏は、これまでも封書や電話等でさまざまな勧誘があったが、業務が忙しいこともあり全く取り合っていなかったのだ。

そのような中で二丹田氏がM&Aを考えるきっかけとなった出来事が、昨年の入院だという。
自分が抜けて人員不足となり、従業員に大きな負担がかかったことを目の当たりにした二丹田氏は、「再び体調を崩すと皆に迷惑がかかる。元気なうちに法人を閉めたい」と、当初は廃業を決意していた。

実際に、二丹田氏の右腕で事務関係を一手に担う齋藤智世氏にも「創業17年目となる来年の2月を目処に、会社を閉めよう」と示し合わせていたのだ。

ところがある時、M&A仲介会社のTVCMを目にする。
「身体を壊した直後だったので『やってよかった、後継ぎの心配がなくなった、従業員も今までと変わらず働けている』といったフレーズが頭に残った」と二丹田氏は当時を回想した。

それと同じタイミングで、M&Aベストパートナーズ(以下MABP)からは封書、別の仲介会社からは電話営業がそれぞれオフィスに舞い込んだ。
「封書には『M&Aの提案についての内容』が記載されていた。けど『このような小さな会社に関係ない話』だと捨ててしまったのよ」と二丹田氏は苦笑いしながら語った。

一方、電話で接触してきた他M&A仲介会社とは実際に面会し、M&Aの仕組みを聞いたが、候補企業の提案は全くなく、二丹田氏は「実はもう1社と面談を予定しているから、お盆過ぎに電話して」と態度を保留にしていたのだ。
そして、他社も比較してみようと考え、MABPから過去届いた封書を取り出して面談を申し込んだのである。

担当したMABPのM&Aアドバイザー、永沢は「初回はWEBで二丹田氏、齋藤氏のお二人と面談しました。状況を詳しくお聞かせいただいたところ、私の中でM&Aという手段を使えばお困り事の多くを解決できると考えました」と当時を回想した。

M&Aの決断初回から具体的な話ができたMABPとの面談。M&Aは他社も驚くスピードで成立する。

M&Aの決断
ミライシアホールディンググループ
関連法人理事 猿田 京平 氏
二丹田氏は「M&Aを理解したものの、最初は乗り気じゃなかったのよ」という。
現在の事務所は実家が営んでいた酒屋からで、「他人様に法人や事業を譲る」ことに賛成してもらえないと考えたことや、「兄が経営するコンビニ時代も含め、屋号や業種を変えながら祖父の代から続けてきた会社だったので、忍びないが親族で廃業した方がいいと思った」とも話している。

ただ、親族に引き継げる人間はおらず、従業員の中からも後継者は見つからなかった。
今後の会社経営について悩んでいた最中、入院から復帰して兄に相談したところ『もう辞めてもいいんじゃない』と言われたことで、これで気が楽になって、精神的にも余裕が出てきたのか、体調がよくなったのだという。

そして、M&Aという新たな手段を知った二丹田氏は、25年来の付き合いとなる齋藤氏と相談しながら話を進めていくことになる。

齋藤氏は「私もM&Aの仕組みが分からなかったため、まず話を聞いてみようと伝えました。また、二丹田氏はいろいろと話をしてくれるものの、私は一従業員に過ぎず、彼女の思うままに進めたらいいと思っていました」と振り返る。

MABPとの打ち合わせは、お盆前日から始まった。
二丹田氏は「M&Aがダメならやはり廃業だと、崖っぷちの心境で臨んだ面談だった。MABPさんは初回面談で具体的な候補企業を挙げた上で、どういうメリットやデメリットがあるのかを丁寧に説明してくれた。だから、その後は契約まで流れに任せたの。ゆっくり考えてもよかったけど、この流れも運命かなという気がして」と当時の状況を語る。

「実は最終契約したその日、態度を保留していたもう1社から連絡が入ったのよ。『今日契約した』と伝えると、とても驚いていた」と、その契約までのスピード感を表現した。

一方で、M&Aの相手企業には一つだけ条件があった。
「地元の会合などで話をしていく中で、医療系と福祉系では根本的に考え方が異なると感じていた。良い悪いではなく、考え方が合わないところとは上手くいかないと思い、どちらが主体のグループなのか、そこだけはこだわってもらった」と、二丹田氏は打ち明けた当時のことを語った。

最終的にケア・オフィス優を譲り受けたのは、調剤薬局・医療法人・介護事業所などを一手に運営する株式会社ミライシアホールディンググループ(以下ミライシアグループ)だ。
代表の神山武士氏は「地域包括ケアシステムの構築を目指していく中で、訪問看護は在宅サービスの要となる」と捉えており、同グループのM&Aを複数担当してきた永沢は両社の方向性や考え方が合っていると感じたため、社長面談をセッティングしたのである。

トントン拍子に進んだM&Aは、初回面談からわずか約1ヶ月半で決着した。
契約後、二丹田氏は「あの手この手を尽くしても人が集まらず、従業員が足りないことが気になるが、とにかく肩の荷が降りた」と安堵したそうだ。

M&Aの振り返りと展望夢だった「24時間営業の訪問看護ステーション」。M&Aで実現に期待。

M&Aの振り返りと展望
(左側)総務課 課長 齋藤智世 氏
「私は、自分の夢がかなわないまま業界を去ることになると思う」と二丹田氏は寂しく笑った。
もともと、ケア・オフィス優を立ち上げた当初の目標は「24時間営業の訪問看護ステーションの実現」だったからである。

二丹田氏自身も経験したが、自分で身体を起こせなくなると、毎日当たり前のように入っていたお風呂が週1回となってしまう。
さらに、1週間ほど寝たきりになると身体の起こし方すら分からなくなるといい、二丹田氏も自分で起きれるようになるまで3日かかったという。

「やっぱりお風呂は夜に入りたいよね。今の訪問サービスは9〜17時の間に全て済まなきゃならないけど、24時間サービスなら晩御飯の後にお風呂に入れるし、夜更かしもできる。だけど地域性なのか、夜中に行くと近所から苦情がくるし、自分の親のオムツくらい自分で変えろという周囲の目があって、利用者がほとんどいないの。だから少人数のヘルパーでも成り立ってる」という。

他人様の手を借りるのなら施設に入れろ、という医師も多いそうだ。

「健常者と同じような生活に持っていけるような完全在宅サービスがあってもいい。病気になっても、ある程度の範囲内であればちょっとした贅沢は許されると思う。24時間好きな時に、自分の生活に合わせて利用して欲しい」と二丹田氏は願う。
そして「やりたいことがたくさんある中で身体を壊してしまい、自分の夢はかなわないと悟っているけど、M&Aをきっかけに少しでもこのサービスが認知され、広がっていけば」とミライシアグループとの協業に大きな期待を寄せる。

一方で、自身については「雇われ社長の立場になり、どこまでの権限があるのかなど、まだ見えていないの」と少し不安げに語ったが、ただ心強いことに、ミライシアグループ内には訪問看護だけではなく、さまざまな業種や仲間が存在する。
同じ環境下にいる仲間と相談できるのは、今までにはなかった大きなメリットだ。

「M&Aで一番期待しているのはやっぱりネットワークや資本力。今後も会社が発展できるように従業員を増やしたいし、管理者を目指す人材がどんどん出てきたら嬉しい。これまで広告宣伝はしておらず、今後も口コミでサービスを広げていく。体調も良くなったのでプライベートも充実させたい」と、前を向く二丹田氏だった。

また、譲渡相手のミライシアグループで理事を務める猿田氏も「二丹田氏の考え方に共感して事業継承を引き受けた。課題はやはり人材不足だ。グループのスケールメリットを活かして、彼女の思いを具現化していきたい」と今後の同社発展を見据える。

アドバイザーの永沢は、今回のM&Aを「ミライシアグループなら、今までの二丹田氏の思いを引き継いでもっと良くしていくと感じている。ますます魅力的な会社になるのでは」と総括した。

M&A仲介としての仕事は一区切りついたが、24時間サービスという夢の実現に向け、引き続き同社をサポートしていきたい。

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