M&Aストーリー

情報システムサービス株式会社
ご成約事例

社員の未来を託す。創業34年、IT経営者が選んだ上場企業へのM&A

会社・事業内容等について

  • 代表者さま個人のご経歴を教えてください。

    私は地元・大阪の大学を卒業後、IT企業に就職してソフトウェア開発の仕事に携わっていました。その後、縁あって小さなソフトウェアハウスに引き抜かれ、4〜5年ほど勤めていたのですが、バブル崩壊の影響でその会社が倒産してしまったんです。

    当時はありがたいことに、いくつかの企業からお誘いをいただきました。しかし私は「これを機に、いっそ自分で会社をつくってしまおう」と思い立ちます。経営なんて全くの未経験で不安もありましたが、1991年に情報システムサービス株式会社を1人で立ち上げました。

    最初のオフィスは、釣具屋さんの2階にある倉庫スペースを間借りしていて、まさに“スタートアップ”というような環境でした。そこから少しずつ事業を広げて、気がつけば34年、着実に規模を大きくしながら経営を続けてきました。

  • 会社の事業内容を詳しく教えてください。

    現在、当社のメイン事業は「システム導入関連のコンサルティング」です。お客様の業務課題を丁寧にヒアリングし、それぞれの企業に最適なシステム導入をサポートしています。

    その他にも、証券・鉄道・製造といった多岐にわたる業界向けのシステム開発、持ち株管理や訪問看護・介護シフト管理などの業務に特化したパッケージソフトの開発も手がけています。また、エンジニアが客先に常駐して開発業務を担うSES事業にも取り組んでいますね。

    開発においては、常に「想像力」を大切にしています。お客様が抱える課題の本質を見極め、そのニーズを的確に捉えた上で、質の高いシステムを提供する。それによって、企業のパフォーマンスを最大限に引き出すことが、私たちの使命であり、自負しているところです。

    現在の従業員数は77名で、大阪本社と東京本社の2拠点体制で事業を展開しています。

  • 開業~今に至るまでを教えてください。

    創業からしばらくすると、以前勤めていた会社で私が面倒を見ていた6〜7人ほどの若い人たちが「一緒にやりたい」と訪ねてきてくれました。それに加え、フリーランスのエンジニアも20人ほど関わってくれて。そんな仲間たちとともに、会社のスタートを切りました。

    ただ、最初の5年間はまったくと言っていいほど仕事が軌道に乗らず、電話も鳴らない日々が続きます。営業のノウハウもなく、どこから手を付けていいか分からず試行錯誤の連続でした。

    そんな中、前の会社でご縁のあった証券会社の方から「再びシステム開発を始めるので力を貸してほしい」とご連絡いただいたんです。ちょうど金融業界でオンライン化が急速に進んでいた時期でもあり、そこからお仕事を紹介いただくようになりました。

    しばらくは二次請け・三次請けといった下請けの仕事もこなしていたため「うちの社員が今どこで働いているのか分からない」なんてこともありましたね。

    2000年には東京にも拠点を構えました。これも、最初にお仕事をいただいた企業さんがきっかけです。とはいえ、東京での採用は難しく、現在でも関西出身のメンバーが中心です。

    おかげさまで、現在ではクライアントも上場企業が中心となり、着実に信頼を積み上げてくることができました。

M&Aに至る背景

  • M&Aを検討された「背景」や「経緯」を教えてください。

    M&Aを考えるようになったのは、何より「社員の未来を守るため」でした。AIが台頭し、技術やビジネスの構造が大きく変化していく中で、この先も社員が安心して働き続けられる環境を残していきたいという想いが強くなってきたんです。

    正直なところ、あと5年、10年くらいはこのままの体制でもなんとかやっていけるだろうとは思っていました。ただ、その頃には私自身も高齢になりますし、今の若い社員たちがどうやって生活していくのかを考えると、不安が残りました。

    今は大手企業であっても、さらに他の大手と連携し、グローバルで競争力を高めるような動きが加速しています。我々のような、70〜80人規模の独立系IT企業が単独で生き残っていくには、非常に厳しい時代に突入していると感じていました。

    そういった中で、上場企業であれば資金力もあり、変化への対応力や安定性も高い。万が一の経営リスクも小さいため、社員も安心できると判断しました。私が株主として会社を保有し続けるよりも、大手企業の傘下に入った方が、皆にとって良い未来につながると考えたんです。

    実は、子会社を束ねてホールディングス化し、自分が引退した後の体制を構築するという構想もあったんです。ただ、やはり「中小のIT企業が単独で生き残るには限界がある」という思いに至り、最終的にはM&Aの道を選びました。

弊社との出会い

  • 担当アドバイザーの印象を教えてください。

    ご担当いただいたのは、M&Aベストパートナーズ(MABP)の松川さんです。初めてお会いした時は「真面目な方だな」という印象を受けました。お話を伺っていく中で、自然に「この人なら信頼できそうだ」と感じられたのを覚えています。

    実はM&Aにあたり、私はかなり厳しい条件を提示しました。一般的な仲介会社であれば、敬遠されてもおかしくないような内容だったと思いますが、松川さんはその条件にしっかり向き合ってくれて、それに合致する企業を粘り強く探し、きちんとご提案いただきました。結果として、すばらしい譲受企業をご紹介いただいたと思っています。

    これまでにも、M&A仲介会社の営業は何度か受けていました。実際に話を聞いてみたこともあったのですが、どうにも相性が合わなくて。提案された内容も「小規模な会社と合併してはどうか」といったもので、私の希望とは明らかにズレていましたね。

    そんな中、ちょうどホールディングス化を考えていたタイミングで、たまたま目に留まったDMが松川さんからのものでした。なんとなく気になって手に取り、改めて話を聞いてみようと思い、こちらからメールを送ったのがきっかけです。

    私は自分の意見をストレートに伝えるタイプなのですが、松川さんもまた率直に話してくれる方で、こちらの意図をしっかり汲み取った上で、適切に応えてくださいました。おかげで、お互いに非常に気持ちよくやり取りができたと感じています。

M&Aの決断

  • ご成約までの経緯を教えてください。

    松川さんと初めてお会いしたのは、2024年の6月ごろです。そこから本格的にM&Aの検討を始め、9月には譲受企業とのトップ面談に至りました。

    松川さんからは、複数社ご紹介いただきました。上場企業に加え、プライム市場ではないものの、ベンチャー気質を持ちながらも安定成長を遂げている企業など、それぞれに個性や強みがあり、慎重に見極めながら話を進めていきました。

    譲受企業が決まってからは、上場企業ならではの厳格な監査が待っていました。細かな財務状況から業務の運用実態まで、根掘り葉掘りヒアリングされる場面もありましたね。ただ、ちょうど1年ほど前に税務署の調査が入っていたこともあり、社内の書類やデータはきちんと整っていたので、監査もスムーズに終わりました。

    そして2025年4月、無事にクロージングを迎えました。振り返ってみても、大きなトラブルもなく、比較的順調なM&Aだったと思います。

  • M&Aの際に重きを置いた点を教えてください。

    最も重視したのは、譲受企業の規模ですね。具体的な条件としては「東証プライム市場の上場企業」と明確に伝えていました。スタンダード市場以下の企業ですと、今後どのような変化があるか予測しづらく、安心して会社を任せるには不安が残ると感じたからです。

    また、買収金額についても重要な要素の一つでした。私自身、これからの生活がありますし、社員の中にも株主がいたので、しっかりと還元したいという思いがありました。結果として、それなりの額を分配できたので、社員たちもとても喜んでくれましたね。

    社員には、前職時代から35年以上の付き合いで、家族以上に長い時間を共にしてきた仲間です。そんな彼らに報いることができて、本当に良かったと思っています。

  • M&Aの際の心配や懸念されていた点を教えてください。

    最も懸念していたのは、急速な社内体制の変更ですね。具体的には、M&A後すぐに今いる役員を退職させて、譲受企業から人材が出向してくるのではないか、という心配です。

    お付き合いのある証券会社さんにも「2〜3年したら出向してくるよ」と聞かされていました。それくらいのタイミングであれば、必要があって変わっていくのは構いません。しかし、今すぐ体制が変わってしまうようなことがあれば、長年働いてくれている社員が戸惑い、拒否反応を示してしまうのではないかという不安が強くありました。

    特にうちの会社には、30年以上勤めているベテラン社員もいますからね。いきなり社内のやり方や指揮系統が変わってしまうと、組織が揺らいでしまいます。ですので、一定期間は現在の体制や業務スタイルを維持してもらえるよう、先方には事前にしっかりお願いしました。

    結果として、非常勤の役員が1名加わった以外は、現状維持でやらせてもらっています。私も引き続き代表を務めていますし、生え抜きのNo.2も2名いて、うち1名には次期社長をお願いする構想も、先方には伝えていますよ。

  • 譲受企業 株式会社シーイーシーさまの第一印象について教えてください

    株式会社シーイーシーさんの社長は私より年下の方ですが、とても丁寧でフラットな姿勢で応対される方でしたね。初対面から本当に好印象でしたよ。九州から単身赴任で長年勤められていて、そのことをはじめ、さまざまなお話をさせていただきました。

    私のこれまでの経営の道のりに対しても「30数年がんばってこられて、いろいろとご苦労もあったことでしょう」と、心に寄り添うようなお言葉をいただくなど、とても温かい印象を受けましたね。同席された他の役員さんも、物腰が柔らかい方ばかりでした。経営トップの人柄というのは、やはり会社全体の雰囲気にも影響を与えるものだと思います。

    一方で、全員とお会いできたわけではないのですが、部長クラスの方々は少し厳しそうな印象を受けました。その違いがかえって面白く、役割に応じてメリハリが利いていると感じました。

  • 決め手(決意)となったポイントを教えてください。

    最終的にシーイーシーさんに決めたのは、やはり「社風が合う」と感じたことが一番の理由でしたね。

    候補先をご紹介いただいて、それぞれ順調に伸びている会社ばかりでした。中には非常に魅力的な企業もあったのですが、経営者の方が若すぎてこちらが年上という関係性になってしまい、少しやりにくさを感じたんです。もちろん、どの会社も雰囲気自体はとても良かったんですけど。

    その点、シーイーシーさんは同じIT業界で、事業内容も私たちとよく似ていたこともあり、社員たちも自然に溶け込めそうだと感じました。実際、M&A後も現場には大きな混乱はなく、スムーズに馴染めている印象です。

    また、当初から私がM&Aの条件として掲げていた「東証プライム上場企業であること」もクリアしており、その点でも安心できました。

    何より、私の厳しい条件を一つひとつ丁寧に汲み取って、ぴったりの企業を見つけてくださった松川さんには、本当に感謝しています。

M&Aの振り返りと展望

  • M&Aを終えられて、感想を教えてください。

    M&Aを終えて、ひとまずホッとしています。今後は1年ほどかけて、徐々に体制を引き継いでいく予定です。

    M&Aは、社員にとってはとても良い機会になったと思います。上場企業と一緒になれば待遇も上がりますし、将来への安心感も生まれる。私が創業した会社ではありますが、これからは社員たち自らの手で、未来を切り拓いていってほしいですね。

    これまでは、私がつないできたコネクションから新規案件を獲得することが多かったのですが、最近では社員自ら仕事を取りに動くようになってきました。東京事務所も着実に存在感を高めていて、いい流れができていると感じます。もともとホールディングス化を見据えた体制づくりを進めていましたので、社員たちも心の準備はできていたのではないかと思います。

    社員には「相手は大企業かもしれないが、我々もITの黎明期からゼロでやってきた。レールの上を走ってきたのではなく、自分たちでレールを敷いてきた経験は武器になる。だから自信を持って、堂々とやっていってほしい」と伝えました。

    また、少し話は変わりますが、私自身、別事業として障害児童を預かる施設の運営にも携わっておりまして、そこに通っていた子どもたちが今、18歳を迎え始めています。ご両親からは「将来、働ける場所があるのか」と心配される声も多くいただきます。

    そこで今後は、彼らが働ける場所、そして将来的には住める場所も整備していきたいと考えています。地域の中で働けて、寝泊まりもできる。ご両親がいなくなった後も困らない、そんな生涯安心して暮らせる仕組みをつくりたいんですよ。

    この事業は国の補助で成り立つため、決して儲かるものではありません。でも、家族としてもお世話になってきた経緯があるので、恩返しのつもりで取り組んでいきたいと思っています。

  • M&Aを検討されている経営者様に一言アドバイスをお願いします。

    あまり偉そうなことは言えませんが、あえて一言なら「よう考えや」と伝えたいですね。

    M&Aに限らず、経営判断は人それぞれです。80代や90代になっても、会長職にとどまり続ける方もいらっしゃいますから。ただ、私が今回M&Aを決断したのは「世の中の流れを読み取ったから」です。IT業界の変化のスピードはとにかく早い。AIなどの技術革新やグローバルな競争環境を踏まえると、中小企業が単独で戦い続けるのは、今後ますます厳しくなると感じています。

    目先の利益や感情にとらわれず、5年後10年後を見越して判断する。それが、社員や会社の未来を守ることにつながると思っています。

会社情報

企業名
情報システムサービス株式会社
所在地
〒530-0001 大阪市北区梅田2-5-10 学情梅田コンパス8F
M&Aで達成した内容
事業発展、事業継続
詳細業種
システム開発
ホームページ
https://www.jss21.co.jp/

担当アドバイザー

担当アドバイザー

経営者様にとって、
最善のパートナーであること。

次長 松川 祐士
得意業種
IT 製造
資格
  • 事業承継・M&Aエキスパート
  • 1級ファイナンシャル・プランニング技能士
  • M&Aストーリー

    M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
    ひとつとして同じ案件や事例は存在しません。

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