ルネサスエレクトロニクスは15日、プリント基板設計ソフトウエアを提供する米国アルティウム(カリフォルニア州。売上高396億円、営業利益130億円、純資産458億円)を買収すると発表。約8900億円を投じて全株式取得をし、完全子会社化する。ルネサスはこれまで米欧の半導体メーカーの大型買収を重ねてきたが、EV(電気自動車)分野など顧客企業の電子機器開発の生産性向上を後押しするソフトウエアを拡充し、競争力強化につなげる。2024年下期の買収完了を見込む。
アルティウムは半導体や電子部品を取り付けて配線するプリント基板を設計するソフトウエアをクラウド上で提供する世界的大手。1985年にオーストラリアで創業し、1991年に本社を米国に移転。1999年にオーストラリア証券取引所に上場した。
電子機器のデジタル化に伴い、プリント基板の設計は複数の段階で多くのエンジニアが携わるなど複雑化・高度化が進展。設計者は機能面はもとより、効率的で費用対効果に優れたシステムを短い開発サイクルで設計することが求められている。ルネサスは、この分野で最先端の設計ソフト「Altium Designer」(製品名)を主力とするアルティウムを傘下に取り込み、競合する半導体メーカー各社との差別化を推し進める。
ルネサスは2021年、アナログ半導体メーカーの英国ダイアログ・セミコンダクターを約6240億円で買収。それ以前には2017年、アナログ半導体メーカーの米国インターシルを約3200億円、2019年には通信用半導体を主力とする米国インテグレーテッド・デバイス・テクノロジー(IDT)を約7300億円で傘下に収めた。
製造、建設、不動産、
医療・ヘルスケア、物流、ITのM&Aは
経験豊富な私たちがサポートします。