かつての常識が変わりつつある現代において、50代で仕事を辞める、すなわちセミリタイヤを考えている方も多いのではないでしょうか。
本記事では、セミリタイヤに必要な資金や資産について詳しく解説します。
セミリタイヤと早期リタイヤの違い、FIREやアーリーリタイヤの概念を理解し、適切な資産運用方法を学ぶことで、後悔のない楽しいセミリタイヤを実現するための道筋が見えてくるでしょう。
必要資金やリスク管理のポイントを把握し、あなたの未来をより豊かにするための具体的なアドバイスが満載です。この記事を通じて、安心してセミリタイヤを始めるための第一歩を踏み出しましょう。
目次
セミリタイヤとは?
セミリタイヤとは、完全に仕事を辞めるわけではなく、メインの仕事を退職して自由な生活を楽しみながら、片手間で収入を得るライフスタイルを指します。
この言葉は、辞書で特に定義されているものではなく、大橋巨泉さんが1990年に発言したことで広まりました。彼は芸能界を完全に引退するのではなく、セミリタイヤを選び、海外での生活を楽しみつつも、芸能界とのつながりを維持したのです。
セミリタイヤの魅力は、自由な時間を持ちながらも収入を得られる点にあります。
しかし、収入が大幅に減るため、十分な貯金や資産を持つことが必要です。
とはいえ、完全に仕事を辞める「完全リタイヤ」とは異なり、セミリタイヤではある程度の収入を得ながら生活するため、比較的少ない資金で実現できます。
セミリタイヤを考える際は、自分のライフスタイルや資産状況に合った計画を立てることが重要です。
これにより、後悔のない充実したセミリタイヤ生活を送ることができるでしょう。
早期リタイヤとは
早期リタイヤとは、定年を迎える前に退職することです。「希望退職」とも呼ばれ、セミリタイヤとは異なり、完全に仕事を辞めてリタイヤ生活に入ることを意味します。
これは企業が提供する早期優遇退職制度を利用して、一定の勤続年数や年齢などの条件を満たす従業員に提供されるのが一般的です。
早期優遇退職制度は、企業が業績悪化や方針転換などの理由で従業員に早期退職をうながす際にもちいられることもあります。
退職金に加えて割増退職金が支給されることが多いのが特長です。
早期リタイヤ後は、通常の退職と同様に、退職金や事前に蓄えた資産をもとに生活することになります。そのため、年金の受給開始までに長い期間がある場合、必要な生活資金を十分に確保することが重要です。
これにより、生活資金が不足するリスクを避けるため、資産運用を行うことでFIREに近い生活スタイルを目指す人もいます。
早期リタイヤは、自由な時間を増やす反面、経済的な準備が不十分であると後悔を招く可能性も無視できません。そのため、退職後の生活設計を慎重に行う必要があります。
FIREとは
FIREとは、「Financial Independence, Retire Early」の略で、日本語では「経済的自立と早期リタイヤ」を意味し、早期リタイヤの一形態です。しかし、セミリタイヤとは異なり、完全な経済的自立が要件となります。
FIREを達成した人々は、リタイヤ後に働く必要がなく、貯蓄を切り崩すこともありません。彼らの収入源は、主に投資による資産運用益のみとなるのです。
その大きなメリットは、仕事のストレスから解放され、自由な時間を持てることにあります。
しかし、そのためには、豊富な資産運用の知識と、まとまった運用資金が不可欠です。また、急な出費に対応できる予備資金を確保する必要もあるでしょう。
FIREは、経済的に自立した生活を送りたいと考える人々にとって魅力的ですが、その実現には時間と努力がかかせません。資産運用のリスクと向き合いながら、堅実な計画を立てる必要はあるでしょう。
アーリーリタイヤとは
アーリーリタイヤとは、早期にメインの仕事から退職し、リタイヤ生活を始めることを指します。
これは通常、30代から50代の人が選択することが多いです。内容としては早期リタイヤに似ていますが、早期優遇退職制度を利用できない人が退職することを意味するため、同義ではありません。
アーリーリタイヤの大きなメリットは、自由な時間を確保できることです。ただし、これまで築き上げてきたキャリアが止まることや、収入が減少するリスクがともないます。
これもまた、アーリーリタイヤ後の生活スタイルによって、必要な資金の準備が大きく異なるため、計画的な資産運用が重要でしょう。さらに、アルバイトなどで収入を得る場合でも、厚生年金保険に加入できないケースがあり、将来の年金額に影響を及ぼす可能性がある点にも注意が必要です。
50代で仕事を辞めセミリタイヤするための必要資金・資産・運用について
ここでは、50代で仕事を辞め、後悔のないセミリタイヤを実現するためには、どの程度の資金や資産が必要なのかに焦点をあてて解説します。
これらを理解して、安心してセミリタイヤ生活を送るための準備を、本格的に進めましょう。
必要資金・資産はいくらあればいい?
50代でセミリタイヤを実現するために必要な資金は、どのくらいなのか、具体的にシミュレーションしてみましょう。
例えば、50歳で現在の企業を退職し、90歳までの40年間を過ごすと仮定します。公益財団法人生命保険文化センターが行った「生活保障に関する調査」によると、65歳以上の夫婦のみの生活費は、最低限で月22万1,000円です。
ここでは、ある程度節約しつつも旅行や趣味を楽しめる月27万円の生活費を想定して計算してみましょう。この場合、リタイヤ後の生活費は月27万円×12ヶ月×40年で、合計1億2,960万円が必要となります。
次に、年金収入を考慮しましょう。厚生労働省の資料によれば、夫婦2人分の標準的な厚生年金受給額は月22万0,496円ですが、保守的に見積もって月20万円を受け取れると仮定します。65歳から90歳までの25年間で月20万円×12ヶ月×25年=6,000万円が年金収入として得られます。
したがって、50歳でリタイヤする場合、1億2,960万円から6,000万円を引いた6,960万円が、リタイヤ時点で必要な自己資金となります。
なお、リタイヤ年齢が上がると、必要資金は減少します。例えば、53歳でリタイヤする場合は5,988万円、55歳で5,340万円、57歳では4,692万円です。
資産運用のみだと高リスク
セミリタイヤを目指す際に、資産運用のみで生活費をまかなうのは高リスクです。
例えば、完全リタイヤをして毎月27万円(年間324万円)の生活費を資産運用だけでカバーするには、非常に高い利回りが求められます。具体的には、3,000万円の資産から年間324万円の配当を得るためには、最低でも10.8%の利回りが必要でしょう。さらに税金を考慮すると、実際には約12.96%の運用成績が求められます。
しかし、年10%を超える利回りを安定して達成するのは非常に困難で、かなりハイリスクハイリターンの運用を行わなければいけません。そうすれば資産を大きく減らす可能性も出てくるでしょう。
そのため、3,000万円の資産だけでセミリタイヤをするのは現実的ではなく、パートタイムやフリーランスなどでの労働収入を組み合わせる必要があるのです。
3,000万円+年5%で運用するのがベスト
50歳でセミリタイヤをするためには、3,960万円が必要とされていますが、ここでは余剰資金として3,000万円を持つケースでの運用方法を考えてみましょう。
50歳で早期リタイヤし、その後15年間アルバイトをして、65歳から年金受給開始後は仕事をしない生活を想定します。
まず、3,000万円を年5%で運用すると、15年後には6,236万円に増やすことが可能です。必要な資金は合計で6,960万円なので、残りの700万円をアルバイトで補うことになります。この金額を15年間で用意するには、年46万円(月3万8,000円)の仕事をすれば十分です。
もし、労働収入を得ずに資産運用だけで目標額に達したい場合は、68歳まで18年間運用を続けることで、最終的に7,200万円まで資産を増やせます。
この方法により、余裕を持ったセミリタイヤが実現できるでしょう。
セミリタイヤして後悔するか楽しいかは人それぞれ?
セミリタイヤをすることで後悔するか、それとも楽しい生活を送れるかは、実はその人の性格や価値観に大きく依存します。
まず、セミリタイヤを「したくてたまらない」という人は、実は高い確率で向いていません。
なぜならセミリタイヤは、単なる早期退職ではなく、一種のライフスタイルの経営と考えた方がいいからです。そのため、経営感覚がある必要があり、今の仕事が嫌で、辞めたくて仕方がない人や、辞めるための口実を探している人は向いていないということになります。
また、月20万円の収入で生活ができない人や、浪費家、ギャンブル好きな人も不向きです。さらに、時間を持て余す人や細かいことにこだわりすぎる人も、セミリタイヤ後に後悔する可能性が高いでしょう。
一方で、セミリタイヤに向いている人は、何よりも強い意志を持ち、自分がやりたいことに情熱を注げる人です。また、時間をお金に換える創造的なアイデアを持ち、多少の貧乏にも耐えられる人が適しています。大ざっぱでも鋭い嗅覚を持っている人なども、セミリタイヤを楽しめるでしょう。
このように、セミリタイヤが後悔につながるか楽しい生活になるかは、その人の特性にも大きく左右されます。自分がどちらのタイプに当てはまるかをよく見極めた上で、慎重に決断することが、後悔しないセミリタイヤ生活を送るための鍵といえるでしょう。
まとめ
セミリタイヤとは、メインの仕事を退職し、自由な生活を楽しみながら片手間で収入を得るライフスタイルです。
この選択は、強い意志を持ち、自分のやりたいことに情熱を注げる人に向いています。計画的な資産運用と明確な目標設定があれば、後悔のないセミリタイヤ生活を送ることができるでしょう。
しかし、軽率な決断は後悔を招く可能性もあります。自分自身のライフスタイルに合った、正しい選択をすることが重要です。
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