M&Aストーリー
M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
ひとつとして同じ案件や事例は存在しません。
M&Aとは
サービス紹介
M&Aストーリー
インテリジェントシステムズ株式会社
ご成約事例
譲渡企業
インテリジェントシステムズ株式会社
取締役会長 大日方 真氏 インタビュー
私は生まれも育ちも長野です。中学の頃からとにかく絵を描くのが好きで、勉強のほうはすっかり疎かになっていました。上田市の高校を卒業した後は、浪人生活を経て東京大学に入ります。
東大を卒業後、日本IBMに入社しました。当時はまだコンピュータがそれほど普及していなかった時代です。私は日本銀行や日本長期信用銀行などを担当し、IBMのコンピュータをどう動かすかといった現場サポートを含め、6年半ほどその仕事に携わりましたね。
その後、IBMに対抗すべく大手電機メーカーが出資して設立した国策会社「日本ソフトウェア」に移り、OS(オペレーティングシステム)の開発に従事しました。この会社でも、6年ほど経験を積ませていただきました。
そして1971年、満を持して「日本コンピュータ株式会社(現:日本クラウド株式会社)」を立ち上げ、独立を果たします。これが私の経営者としてのスタートです。
現在、私はインテリジェントシステムズでは会長を務める一方で、日本クラウドと持株会社である株式会社ユニックスホールディングスでは代表取締役として、経営の指揮を執っています。
実は、私のもう1つの顔として、50年近く水彩画家としても活動しています。国内では上野の森美術館やつくば美術館、海外ではニューヨークなどで個展を開催する機会にも恵まれました。絵を描くことは、今でも大切なライフワークの1つですね。
今回M&Aを進めた「インテリジェントシステムズ株式会社」は、私が代表を務める日本クラウドが1990年に資本参加した会社です。それ以来、私たちは共に歩みながら、IT領域のさまざまな分野に取り組んできました。
主な事業は「業務アプリケーションの開発」です。生産管理やセキュリティ、官公庁向けのシステムなど、企業や自治体の業務を効率化するアプリケーションを手掛けています。また、既存のパッケージソフトをカスタマイズして提供するだけでなく、コンサルティングや導入後の運用支援なども一貫して対応しています。
自社製品の開発にも力を入れており、例えば「入力革命」「検針革命」といった、LPガスの検針やデータ入力業務を支援するシステムは、顧客のニーズに応える形で開発しました。保育園の運営をITでサポートする「オレンジスマイル」や、マラソン大会などのスポーツイベントでタイムを正確に計測するサービスも展開しています。
さらに、ITソリューションを構築する上で欠かせない技術者の支援など、多様なニーズに応えるサービスを提供し続けてきました。
私が最初に立ち上げた「日本コンピュータ株式会社」から、気づけばすでに53年が経ちました。時代の移り変わりとともに、扱う仕事の内容や関わる出資者の顔ぶれも変化していき、2009年には社名を「日本クラウド」に改めます。
その成長の過程において、100%子会社にしたインテリジェントシステムズをはじめ、仲間となる企業が次々と加わります。これは、日本がハードウェア中心の時代からソフトウェア重視の時代へとシフトしていく中で生まれた、自然な流れでした。
ソフトウェア開発というのは、少人数でも技術があれば成り立ってしまう分野です。そのため、小規模ながら実力のある会社が次々と立ち上がり、彼らから「一緒にやりませんか」と声をかけていただく機会が増えていきました。
現在では、グループの核となるユニックスホールディングスを含めて、合計12社を抱える体制です。
私も今年で88歳になります。これまで長く経営を続けてきましたが、やはり年齢的なことを考えると、そろそろ事業承継を真剣に考えなければならないという思いが強くなってきました。そうした背景から、M&Aという選択肢を前向きに検討するようになったんです。
実は3〜4年ほど前から、少しずつ代表者を交代して、私は徐々に前線から身を引くようにしてきました。最初に社長を交代したのが、今回M&Aを実施したインテリジェントシステムズです。その後、日本クラウドも銀行出身の人物に代表を譲るなど、世代交代を意識的に進めています。
そうした中で、会社を買いたいという企業が現れたんですね。彼らの話を聞いてみると、非常に好条件で引き取っていただけるということでした。
私が積極的に動いた訳ではなく、流れに身を任せるスタンスでしたが、こうして良いご縁に恵まれ、会社の未来を託せる相手と出会えたことは、本当にありがたいことだと感じています。
アドバイザーの松川さんとは、非常に気楽に、そして信頼を持ってお付き合いさせていただいています。彼は提案力に加えて、責任感も持ち合わせた人物です。
今回のM&Aに関しては、他にも2〜3社ほど仲介会社さんから提案を受けていました。ただ、最終的に「この人に任せよう」と思えたのが、M&Aベストパートナーズの松川さんだったんです。
もし私自身の主導で「こういう条件でこう進めたい」と積極的に動く立場だったら、いろいろな選択肢を比較、検討しても良かったかもしれません。しかし今回、私は基本的に受け身でした。
そうなると、重要なのは「責任を持って提案してくれるかどうか」という点です。提案してきた内容に対して、実行する覚悟が見える人であれば、私はその意志に乗っかるだけでいいんですよ。もちろん、実際にやってみないと分からない部分はありますが、それでも「この方なら責任を持ってやり遂げてくれる」と感じられることが大切でした。
例えば、選択肢をいくつか提示した上で「さて、どれにしましょう?」と投げられてしまうと、こちらとしては正直困ってしまうんです。そうではなく「複数検討した中で、これが一番良いと判断しました。こちらで進めましょう」と明確に道筋を示してくれると、私もやりやすい。
世の中には「どれでもいいですよ、適当に判断してください」という人が多くいます。しかし、そんな責任を持ちたくないという姿勢では、私は動けません。その点、松川さんは責任感と覚悟を持って提案してくれました。私は、彼の提案力に加えて「根性」も信頼しています。
M&Aベストパートナーズとのご縁が生まれたのは、2024年の春先でした。松川さんからお電話をいただき、その後、日本クラウドのオフィスまでお越しいただいたのが最初の出会いです。いろいろなお話をしていく中で、グループ会社を複数抱えていることを打ち明けました。
それから少し経って、私の故郷・長野で開催した絵画の個展に、松川さんが足を運んでくださったんです。嬉しかったですね。それを機に、頻繁に会ってお話しするようになりました。
同年の初夏には、私が希望する条件に沿った形で、M&A候補先の企業を3社ほど紹介いただき、実際に面談もしました。ただ、私は基本的に受け身の姿勢でしたので、自分から積極的に動くというよりは、松川さんにすべてをお任せしていたというのが正直なところです。
実は当時、他にも2〜3社のM&A仲介会社とやり取りをしていたため、話がややこしくなり、情報が錯綜して混乱しがちでした。その中でも、松川さんは最も頻繁に足を運んでくださったので、細かな点までしっかりと打ち合わせができていたんです。やはり、そうした積み重ねの信頼関係が大きかったと思います。
M&Aの交渉は順調に進みました。その年の12月25日、インテリジェントシステムズは譲受企業となった株式会社テンダのグループ会社として、正式に参画することとなりました。
M&Aを進めるにあたって、私が最も重視したのは「既存組織を一定期間は変えないでほしい」という1点でした。具体的には、少なくとも1年間は、現在の体制をそのまま維持して欲しいという前提条件をお伝えしました。
インテリジェントシステムズは3年連続で増収増益を記録しており、非常に良い流れの中にあります。そんな状況で急激な組織変更が入ると、その勢いが止まってしまう危険性がある。だからこそ「変えない」という方針をしっかりと理解し、受け入れてくれる企業に託したかったんです。
結果として、譲受企業であるテンダさんには私の意向を汲み取っていただき、M&A後も新しい社長のもとで業績の伸びが続いています。私としても、非常に良い形でまとまったのではないかと感じています。
細かな条件面については、全面的に信頼している松川さんに一任しました。大局を見ながら、必要な部分を押さえてくれる方だったので、安心してお任せできましたね。
長年一緒に働いてきた社員たちが、M&Aによって突然居心地の悪さを感じたり、不安を抱えながら働くようになるのは絶対に避けたかった。新しい体制になったからといって、今の職場の雰囲気や働き方がガラッと変わってしまうようでは、会社としての成長は望めませんし、何より社員に申し訳ないですからね。
もう1つ気になっていたのは、譲受企業が優秀な人材だけを引き抜いてしまうような事態が起きないかということです。今はどの業界も人手不足ですから、優秀な社員ほど外部から目を付けられやすい。M&Aのタイミングで、そうした人材が別の部署や子会社に異動させられてしまうようなことがあれば、残された社員にとって大きな打撃になります。
M&A後も社員が落ち着いて、これまで通りに仕事ができる環境を守ること。それが私の一番の願いでした。
テンダさんのトップの方々とは、実際にお会いしてお話をする機会がありました。第一印象としては、とてもソフトで柔らかな人柄だと感じましたね。構えなくても自然に会話ができるような雰囲気をお持ちで、話していてもこちらの考えや気持ちを丁寧に汲み取ってくださる、そんな印象を受けました。
実際に相手の社長とは、食事も交えながら3度ほどお会いしました。そうした中で、単にビジネスの打ち合わせというよりも、人となりを含めて理解し合える時間が持てたのはとても良かった。やはり経営者同士の信頼関係は、交渉の条件と同じくらい大切ですからね。
今回のM&Aにおいての最終的な決断は、インテリジェントシステムズの社長が「その気になるかどうか」にかかっていました。私はどちらかというと受け身の姿勢で、あまり口出しはせず、彼の判断を尊重したんです。交渉の過程でいろいろな説明を受ける中で、彼が前向きな気持ちになってくれたのが大きかったですね。
とはいえ、私自身にも譲れない条件がありました。それは、会社の中身が変わらないこと。そして、私が株式の2割を引き続き保有した形で提携できること。この2点を前提としていました。
そして、松川さんと相談しながら話を進めていく中で、今回の譲受企業であるテンダさんが私の希望をきちんと汲み取ってくださる会社だと確信できたんです。だからこそ、私も安心して決断を下せました。
松川さんが導いてくれたからこそ、このM&Aは成功しました。本当に感謝しています。
まだM&Aを終えて間もないですからね。実は、グループの中核会社である日本クラウドの方も、やはり何も整っていない状態でして。これから少しずつ体制を整えていく予定です。
まずは1年から1年半ほど、今の体制を維持するという約束をテンダさんと交わしています。その期間の中でしっかりと現場を見極めながら、将来的な体制の在り方については、テンダさんと相談しながら柔軟に決めていきたいと考えています。大切なのは、どちらにとってもベストな形を見つけることです。
今回のM&Aで譲渡したのは全体の株式の8割で、残り2割は私の会社であるユニックスホールディングスが引き続き保有しています。だからこそ、完全に手を引いたわけではなく、今後も一定の責任は感じていますし、引き続きグループの未来をしっかりと考えていくつもりです。
今回、松川さんのご尽力によって、グループ内でのM&A成功事例を作ることができました。他の会社については、まだ何も決まってはいないものの、いずれは同じような流れを考えていくことになると思います。ただし、それはあくまでも「利益が上がるかどうか」といった私個人の損得の話ではありません。
一番大切なのは、社員のみなさんがこれまで以上に元気に、そして安心して働ける環境を守ること。我々ユニックスホールディングスが株主であった頃よりも、もっと発展的に、より良い組織になっていくような仕組みを、これからも作っていかなければならないと思っています。
そのためには、私ひとりの考えだけでは限界があります。今後、新しい譲受企業が決まった際には、彼らと一緒になって丁寧に相談を重ねながら、グループの未来像を描いていきたいですね。
ただし、単に自社の人手不足を理由に、グループ会社の技術者を引き抜くような企業では困る。大切なのは、今いる技術者の皆さんが、これまで以上に生き生きと働ける環境をいかに維持・発展させるか。私はそこに、責任を持ち続けたいと思っています。
M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
ひとつとして同じ案件や事例は存在しません。
製造、建設、不動産、
医療・ヘルスケア、物流、ITのM&Aは
経験豊富な私たちがサポートします。