M&Aストーリー

有限会社マルヒロ太田食品
ご成約事例

函館発、世界を魅了するこだわりコロッケ。M&Aで次世代に託す

会社・事業内容等について

  • 代表 太田さま個人のご経歴を教えてください

    私は北海道・函館の出身です。実家は1945年創業の「太田かまぼこ」という会社で、私は10人兄弟の8男坊として育ちました。長男をはじめ、兄弟たちはそれぞれ実家の会社で要職を担っていましたね。

    私自身も、実家の会社で国内の主要都市や海外でのイベント出店など、幅広い活動に携わってきました。実家はもともと知名度があって献上品も手掛けていたのですが、マスコミに取り上げられたことでさらに名前が広まります。それがきっかけで、百貨店さんから「北海道物産展に出ませんか」とお声がけいただき、コロッケなどのお惣菜を製造・販売するようになったんです。

    そして1992年4月、実家から独立し「函館男爵コロッケ工房」 として開業しました。

  • 会社の事業内容を詳しく教えてください。

    私たち「マルヒロ太田食品」は、北海道函館市を拠点に事業を展開している食品製造販売の会社です。主力商品は、オリジナルブランドのコロッケですね。

    中でも代表的なのが、北海道産の男爵いもをふんだんに使い、カニ・エビ・ホタテといった海産物を丸ごと包み込んで揚げた「まるごと海鮮コロッケ」。そのほかにも「ジャンボたらばかにコロッケ」や「函館メンチカツ」さらに「函館いかご飯」といった惣菜の製造も手掛けています。

    販売は、冷凍での通販出荷に加え、全国の百貨店で定期的に開催される「北海道物産展」への出店を通じて、直接お客様にお届けしています。また、販路は日本国内にとどまらず、ニューヨークやシンガポールといった海外にも広げており、地元・函館の強みを活かした商品づくりに力を入れていますね。

  • 開業~今に至るまでを教えてください。

    創業当初は原料を調達して製造を委託するかたちでしたが、その後、自社製造へと切り替えました。そして2016年には新工場を設立し、生産能力を大幅に強化します。近年では海外市場でも飛ぶように売れていて、ありがたい限りですね。

    お客様のニーズに合わせた製品づくりはもちろんですが、私が特に大切にしてきたのは、実家の「本物を真面目にこだわって作る」という姿勢です。例えば男爵いもは、一定期間熟成させたものを コロッケの原材料として使っています。ここまで徹底的にこだわり、熟成させたコロッケを作っているのは、世界広しと言えど当社だけだと自負していますね。

    おかげさまで、一般家庭から海外の大富豪に至るまで、本当に多くのお客様から「美味しかった」といった嬉しいお声をいただくようになりました。2025年3月期の決算では売上高が過去最高を記録するなど、事業は順調に推移しています。

M&Aに至る背景

  • M&Aを検討された「背景」や「経緯」を教えてください。

    気がつけば私も71歳を迎えていました。ありがたいことに事業は世界へと展開し、どんどん忙しくなっていきましたが、その一方で、体の硬さや時差の影響が堪えるようになって「そろそろ潮時かな」と思うようになったんです。

    さらに、一緒に事業を回していた息子も「もう辞めたい」とこぼすようになりました。後継者もおらず、このままでは事業を続けるのが難しいという状況に直面します。

    ただ、せっかくここまで育ててきた会社を、ただ畳んで終わらせてしまうのは、あまりにももったいない。そこで何とか良い会社を見つけて、事業を託したいと考えるようになったんです。

    M&Aベストパートナーズ(以下、MABP)の石橋さんと出会ったのは、ちょうどそんなタイミングでしたね。

弊社との出会い

  • MABP担当アドバイザーの印象を教えてください。

    石橋さんと実際にお会いした時、直感的に「この人は信用できる」と思いました。とにかく雰囲気が良く、人柄の良さがにじみ出ていたんです。

    思い返せば、最初は私の勘違いからの出会いでしたね。別のM&A仲介会社から「そちらに伺います」と電話を受けていて、私も「ぜひどうぞ」と返事していたんです。そんな折に、たまたま石橋さんがご来社されて、私はその方と勘違いして、そのままお話を始めてしまったんですよ。

    これまでにも数多くM&Aの営業を受けてきましたが、正直、会社名まで覚えきれておらず混同してしまいました。ただ、別の仲介会社の担当者とお会いしたこともありましたが、その時は残念ながら人柄に信頼を感じられませんでしたね。

    一方で、MABPの石橋さんとは、話していくうちに「この方とならM&Aに取り組んでみたい」と自然に思えたんですよ。こうして最終的にM&Aが無事にまとまり、石橋さんとご縁をいただけたのは、本当に幸運だったと思っています。

M&Aの決断

  • ご成約までの経緯を教えてください。

    MABPの石橋さんと初めてお会いしたのは、2024年7月1日のことでした。同じ年の12月25日には契約を結んで、そこから本格的にM&Aの検討を進めていくことになります。

    今回は、複数の候補先と面談しました。MABPさんからご紹介いただいた3社に加え、他の仲介会社経由でもいくつかお会いしました。最終的に譲受企業となったお相手とは、翌2025年2月21日と3月18日の2度にわたってTOP面談を実施しましたね。

    そして2025年9月1日、私が保有していた全ての株式を譲受企業に譲渡し、正式に先方の子会社となりました。

  • M&Aの際に重きを置いた点を教えてください。

    私が一番重視したのは「事業を譲渡した後も、社員が安心して働ける環境を守ること」でした。やはり、これが何より大事だと思っています。

    幸いにも経営は順調で、大幅な黒字を予測できていたので、事業そのものへの心配はほとんどありませんでした。それよりも、社員一人ひとりが今後も安心して、そしてやりがいを持って働けるかどうか、そこを重視していたんです。

    実際に譲渡してからの様子を見ても、社員たちは以前にも増して生き生きと働いてくれているように感じます。経営者として、それが何よりうれしいですね。私としては「社員が黙っていても楽しく働ける環境」が一番大事で、その理想に近づけたと思っています。

  • M&Aの際の心配や懸念されていた点を教えてください。

    やはり一番の心配は「社員の今後の待遇」でしたね。事業を譲渡するお相手が、社員たちにとって安心して働き続けられる会社でなければ、その時点でM&Aは断ろうと考えていたほどです。

    また、社員から「まだ続けてほしい」という声があれば、私自身が続投する覚悟もありました。とにかく、会社の行く末を決める上で、社員一人ひとりの待遇や働く環境を最優先しましたね。

  • 譲受企業さまの第一印象について教えてください。

    TOP面談で初めてお会いしたときは、落ち着いた雰囲気で少し柔らかい印象を受けました。
    その後、面談を重ねる中で、 いろいろと説明してくださる際の姿勢や誠実さを見て「この方なら任せられる」と感じるようになりました。私たちが展開するブランドにも共感してくださっていました。

    実際にM&Aの契約後、新しい社長を取引先へ案内して、多くの方に会っていただいたのですが、皆さんの反応はとても良かったですね。今後はさらに、各企業のトップクラスの方々とも会っていただこうと思っています。

  • 決め手(決意)となったポイントを教えてください。

    企業として、さらなる成長と発展を見込めそうなところに託したいと考えていましたが、最終的な決め手は、やはり先方の人柄でした。お会いする中で、誠実で落ち着いた対応を見て「この方なら大丈夫だ」と自然に思えたんです。

    また、信頼を寄せているMABPの石橋さんが紹介してくださった企業さんですから、TOP面談の時点で間違いはないだろうと感じてはいました。さらに話を進める中で「社員を大切にしてくれそうだ」という確信も持てた。それが、今回のM&Aを決断する一番のポイントでしたね。

M&Aの振り返りと展望

  • M&Aを終えられて、感想を教えてください。

    事業を譲渡して、正直ストレスから解放され、最高の気分ですね。ようやく肩の荷が下りたという感覚です。

    今までも家族でよく旅行していましたが、これからはさらに海外や沖縄に長期滞在して、ゆっくりと過ごしたいと思っています。沖縄には昔から知り合いも多くいるので、会いに行ってリフレッシュするのも楽しみのひとつです。

    それから、私はお酒を飲まない分、ゴルフを通じて人とのコミュニケーションを取ってきました。取引先の方々とも一緒にプレーしたり、時には教えたりもするんですが、そうやって人が自然に集まってくるのが楽しいんですよ。ゴルフは今後も続けていきたいですね。

    これまで多くの方と交流してきましたが、やはり仕事だけの人よりも、遊びにも真剣に取り組む人の方が魅力的で面白いですよ。普段は距離を感じる人でも、遊びの場では人柄が表に出て、自然に好かれて仲間が増える。そういう出会いの方が距離も縮まりやすく、結果としてビジネスにもつながっていくものだと思っています。

  • 今後の展望をお聞かせください。

    会社には「特別顧問」として残る予定です。経営の第一線は譲りましたが、これからも会社の発展に少しでも力になれればと思っています。

    国内の需要は正直、頭打ちといった状況です。しかし、海外の事業にはまだまだ大きな伸びしろがある。特に函館の商品には、世界で通用するポテンシャルがあると感じています。その強みをさらに活かして、海外市場に挑戦していきたいですね。

    また、有名な百貨店が海外で展開している物産イベントなどを成功させるために、ボランティアとしてサポートしていくつもりです。こうした場は、地域の商品を広める貴重なチャンスでもあるので、積極的に関わっていきたいですね。

    さらに、私は函館市内の中小企業が集まる「どさんこ会」の会長も務めています。加盟している企業の商売繁盛に寄与できるよう、アメリカや東南アジアを中心に海外の販路を広げていくお手伝いをしていきたいと思っています。

  • M&Aを検討されている経営者様に一言アドバイスをお願いします。

    経営者として、従業員のことを第一に考えることが何より大切だと思います。その視点を持っていれば、おのずとこれから歩むべき道が見えてくるはずです。

    もし「儲け」だけを優先してしまえば、どうしても自分本位な判断になりがちです。しかし、M&Aは経営者ひとりの問題ではなく、そこで働く従業員やその家族の人生にも大きく関わります。だからこそ、社員を大切にする姿勢で臨むことが大切だと考えています。

    また、M&Aを進める上で誰にサポートをお願いするかも大事ですね。儲けの話だけでなく、従業員の未来や会社のあり方にまで目を向けてくれる、石橋さんのようなアドバイザーを選ぶことができれば、上手くいくと思いますよ。

会社情報

企業名
有限会社マルヒロ太田食品
代表者
太田 博
所在地
〒042-0934 北海道函館市広野町4−8
M&Aで達成した内容
事業譲渡、後継者問題の解決、会社の更なる成長
詳細業種
食品製造販売業

担当アドバイザー

担当アドバイザー

石橋 秀紀
常に誠実に、お客様の想いに徹底的に寄り添います
課長 石橋 秀紀
得意業種
製造
資格
  • 事業承継・M&Aエキスパート
  • 日本証券アナリスト協会 認定アナリスト(CMA)
  • M&Aストーリー

    M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
    ひとつとして同じ案件や事例は存在しません。

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