M&Aストーリー
M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
ひとつとして同じ案件や事例は存在しません。
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株式会社 橋口ホールディングス
ご成約事例
生まれも育ちも鹿児島です。会社にはよく遊びに行くなど、幼いころから常にトラックが身近にある環境で育ちました。家業を継ぐ気は全くなかったですね。若くして結婚し、しばらくは家庭に入っていたんです。
2006年になって「別事業の経理を手伝ってほしい」と声をかけられたことをきっかけに、役員というかたちでグループ企業に入社しました。その事業はわずか1年で終わり、そこからは運送業にどっぷり関わることになります。
経営にも少しずつ携わるようになり、運送に関わる業務や法律関係など、必要な知識は日々勉強しながら身につけていきました。
私たち株式会社橋口ホールディングスは、中核企業である株式会社橋口運輸をはじめ、3社を傘下に持つ企業グループです。メインの事業は、運送事業と倉庫事業になります。
主に取り扱う貨物は、地元・鹿児島の特産品です。創業当初から手掛けている農産品をはじめ、冷凍食肉や飼料、飲料水など、食品輸送を得意としています。そのほか、樹脂原料や資材といった一般貨物も幅広く取り扱っています。倉庫は、常温・冷蔵・冷凍のすべてに対応可能です。
輸送エリアは鹿児島県内をはじめとした九州全域ですが、四国や関西、関東方面への幹線輸送も行っています。その中継拠点として、岡山にも営業所を構えています。
1966年、祖父が鹿児島県日置市で個人事業として創業したのが当社の原点です。数台の軽車両で、地元の農産品を運ぶところからのスタートでした。
1985年には「株式会社橋口運輸」として法人化し、地域に根ざしながら事業を拡大。冷凍車や倉庫を導入するなど、お客様のニーズに応えながら着実に成長してきました。
そして2021年、さらなる発展を見据えてホールディングス化を実施し、私が代表取締役に就任しました。祖父と父から受け継いだバトンを胸に、その歴史を感じながら事業を営んでいます。
もともと、M&Aは全く検討していなかったんですよ。
4年ほど前にホールディングス化しましたが、事業承継に関する根本的な課題は解決できていませんでした。加えて、物価高騰の影響で運送業界全体が厳しい環境に置かれ、ドライバーの確保も難しく、人手不足が深刻さを増していました。
「これからどう経営を進めていくべきか」と悩んでいたタイミングで、たまたまM&Aベストパートナーズ(以下、MABP)さんからご連絡をいただいたんです。
私は生来、負けず嫌いな性格です。先代の会長から事業を引き継いだ時から「今まで以上に会社を大きくしたい」という思いがとても強くなっていました。なので、M&Aの説明を受けるうちに「この方法なら、もっと会社を成長させられる」と具体的にイメージできたんです。
というより、その時には「もうM&Aを検討しなければ、いろんな意味で前に進めない」という前向きな確信に変わっていました。
担当の登坂さんとは「この人になら、何を話しても大丈夫」と思えるほどの関係を築けました。ただ率直に言うと、東京の大きな会社から来られると聞いて、最初は少し身構えていたんです。
ところが、実際に来社された登坂さんとお話ししてみると、物腰はとても柔らかく、説明も丁寧な方で、威圧的な雰囲気はまったくありませんでした。難しい話ばかりされたらどうしようと不安に思っていましたが、それも全くの杞憂でした。むしろ「もっといろいろ聞いてみたい」と思えるような、素晴らしいお人柄でしたね。
中でも印象的だったのが、登坂さんが「別にM&Aじゃなくても、橋口ホールディングスさんにとっていい選択肢があれば、そちらも比較検討してください」とおっしゃったことです。「もし嫌だと感じたら、すぐにやめた方がいいですよ」とも、アドバイスをくださいました。
正直「(営業をする人間としては)バカじゃないの!?」と思いました。一方で、私は自分の利益のためだけに売り込んでくるような人の話は、1ミリも聞きたくありません。だからこそ、この登坂さんの姿勢に信頼感を覚えたんでしょうね。
登坂さんと初めてお会いしたのは、2024年11月のことです。その際「スムーズに進めば、来年の夏頃にはまとまりますよ」とお聞きしていました。
この時点では「多くの準備が必要だから、予定通りには進まないだろう」と思っていましたし、実際に資料をそろえる段階では、心が折れそうになることもありました。その度に登坂さんに励まされ、気持ちを引き上げてもらえたことで、何とか最後までやりきりましたね。
TOP面談は最初から「1社だけ」と決めていました。「何社も面談するのは無理」と考えていて、登坂さんには「私がピンとくる企業さんだけを紹介してほしい」とお願いしていたんです。急いで進める必要もなかったので、お会いしてしっくりこなければ、M&A自体をお断りするつもりでした。
結果的に、2025年3月にお会いした相手企業との話がまとまって、同年の6月末には成約までたどり着けました。ほぼスケジュール通りに事が進んで、本当に良かったと思っています。
最もこだわったのは「橋口グループとしての体制や看板を維持すること」でした。たとえ株式の一部を譲渡しても、私たちの会社であり続けたい。その思いが強くありましたね。
個人的に、M&Aというと「自分の会社ではなくなってしまう」というイメージがあって、それは何としても避けたかったんです。
また、同業他社との統合も選択肢から外しました。同業とくっつけば、どうしても相手企業が上に立ち、そのカラーで事業を進めなければならない。そうなれば、橋口グループらしさは失われてしまいますから。
譲受企業の選定では、この2点を重要視しましたね。
心配だったのは「取引先などの外部から、M&Aがどう映るか」という対外的な印象と「当日の資金振り込みが、滞りなく行われるか」というごく実務的な部分くらいでした。
半世紀以上続いてきた会社のかたちが変わることへの不安は、ほとんどありませんでした。私はM&Aに「経営が行き詰まった会社が、大企業に吸収される」という印象を持っていましたが、登坂さんと数か月にわたって一緒に進める中で、必ずしもそうではないと気づいたからです。
M&Aは、お互いの目指す方向が一致し「もっと会社を大きくしたい」という思いでつながる取り組みだということが分かりました。今では不安よりも「これからどう成長していくんだろう」というワクワク感しかありませんね。
TOP面談で初めてお会いした際、まず感じたのは交渉のテーブルにつかれた方々の人柄の良さでした。非常に柔らかい雰囲気で接してくださり、第一印象から好感を持ちましたね。
驚いたのは、その場で「運送業への投資は初めてです」とおっしゃったにもかかわらず、当社が抱える課題や業界特有の問題点をしっかりと理解されていたことです。「経験もないのになぜここまで分かるんだろう」と本当に驚きましたし、その洞察力と準備の入念さに信頼を感じました。
私が提示した条件に合致していたこと、そしてTOP面談で感じた人柄の良さが大きかったですね。さらに、大和証券グループという誰もが知る大企業の一員であり、私たちの想像をはるかに超える知見と、企業としてのパワーをお持ちだという安心感もありました。
何より印象的だったのは、事前に業界についてしっかりとリサーチされた上で交渉の場に臨んでくださったことです。私が日頃から抱えていた悩みに対しても「こういった部分に課題があるのでは」「このように改善していきましょう」といった、M&A後を見越した具体的な提案をいただけました。
正直、「すごいな」と思いましたし、振り返ってみれば1回目の面談の時点で、私の中ではほぼ心は決まっていたのかもしれませんね。
終わってみれば、登坂さんが最初に示されたスケジュール通りでのM&Aでしたが、話を進める上では本当に悩みましたし、TOP面談後にも諦めかける瞬間はあったんですよ。
会社の資料を揃えてPDF化して送ったり、不動産関連の調査を進めたりと、慣れない作業を自分一人で進めるのは想像以上に大変でした。それでも、登坂さんが一つひとつ丁寧に、分かりやすく説明してくださったおかげで「これなら自分の不安もきちんと解消できそうだ」と思えた。これが、とても大きな支えになりましたね。
M&Aって、言い方が悪いですけど「詐欺みたいなものなのでは」とすら思っていたので、他の仲介会社さんとの比較は一切していません。それでも今回、こうして良い形で着地できたのは、やはり登坂さんの人間性あってこそだと感じています。
今回のM&Aを経て、大和PIキャピタルさんへ株式を譲渡しましたが、その一部は引き続き私が保有し、当初の目的通り今後も経営を担って参ります。
今の橋口グループは、鹿児島に拠点を置く「町の小さな運送会社」に過ぎません。しかし、これからは全国規模での展開を目指し、事業をさらに成長させたいと考えています。そして、地元だけでなく「日本の橋口グループ」と呼ばれる存在へと押し上げたい。
先代の橋口会長から受け継いだこの看板を、さらに大きく、誇れるものにしていきたいですね。
もし「これだ」とピンとくる瞬間があったなら、迷わず一歩を踏み出すべきだと思います。1人で悩み続けて時間を費やすくらいなら、勇気を持って動き出す方が、きっと良い結果につながるはずです。
私自身、今回のM&Aを通じて、心から「いいご縁だった」と感じています。そう思える出会いがあれば、ぜひ自らの直感を信じて進んでほしいですね。
M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
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