M&Aストーリー

有限会社復陽薬局
M&A成約事例

スピードM&Aで従業員を守る! 26年の歴史を託した専門薬局。

会社・事業内容等について

  • 前オーナーさまのご経歴を教えてください。

    私は生粋の博多っ子で、中学・高校・大学と、ずっと福岡で過ごしてきました。大学は薬学部で、そのまま薬剤師としての道に進みます。

    ある時、知人のつながりからリウマチ専門のドクターと知り合いました。その方に「リウマチ患者向けの薬局を開いてほしい」という相談を受けたんです。リウマチは治療に特殊な薬が必要になるケースが多く、対応できる薬局が限られていました。そのため、専門的な知識を持った薬剤師がいる薬局の必要性を、強く感じていたようです。

    話を聞くうちに、自分自身も患者さんのサポートに携わりたいという気持ちが強くなりました。そして、1998年に「復陽薬局」として、リウマチに特化した薬局を開業したんです。

  • 会社の事業内容を詳しく教えてください。

    会社の事業は、調剤薬局の運営です。リウマチ治療に特化しており、専門医がいるクリニックと同じビル内に店舗を構え、そこの患者さんに特化した調剤をメインに行っています。

    調剤薬局は地域に根ざし、近隣の患者さんを主に対象とするのが一般的です。厚生労働省も、地域密着型の薬局を推奨する方針を打ち出しています。しかし、私たちはリウマチ専門医の門前薬局で、遠方からも患者さんが多く来られるため、全国的にも珍しい広域的な薬局として運営してきました。

    現在、従業員として勤務する薬剤師は私を含めて5名で、全員女性です。リウマチの患者さんは長年治療を続けられている方も多く、相互コミュニケーションを重視して信頼関係を築いてきました。

  • 開業~今に至るまでを教えてください。

    当薬局の名前である「復陽薬局」は、ビルのオーナーである元ドクターのご先祖様に由来しています。オーナーは熊本出身で、そのご先祖は熊本藩に仕えていた「御殿医」だったそうです。

    当時の領主が創設した、医学生を養成する私塾の名前が「復陽堂」で、「陽はまた昇る」という意味を持つ由緒正しい言葉でした。それで、特にご年配の患者さんからは「とても良い名前ですね」と言ってもらえることが多かったですね。

    1998年の開業以来、26年間にわたって穏やかに薬局を運営してきました。リウマチの患者さんとの信頼関係を大切にしながら、ドクターとも連携を深めてきました。

    周囲にも本当に恵まれました。長年勤めてくれている従業員に加えて、同じく薬剤師である夫も、さまざまな面でサポートしてくれました。そのおかげで、ここまで続けられたのだと思っています。

M&Aに至る背景

  • M&Aを検討された「背景」や「経緯」を教えてください。

    やはり、年齢的な理由が一番大きかったですね。今まで何とか経営してきましたが、いつかは区切りをつけなければなりません。私には息子がいますが、他県でまったく別の仕事に就いていて、薬局を継がせるという考えは最初からありませんでした。

    ただ、閉鎖するとなると、それはそれで大変です。まず、薬の在庫をすべて処分しなければなりません。そして、何よりも長年一緒に働いてくれた従業員のみんなに、退職勧告しなければならない。中には勤務期間が16年にも及ぶ方や、一旦辞めてまた戻ってくれた方もいます。そんな大切な仲間である彼女たちに「職場がなくなる」と伝えるのは、想像するに堪えませんでした。

    だからこそ、このままの形で事業を引き継いでいただける会社があれば、患者さんも従業員も安心できると思ったんです。M&Aという選択肢なら、それが可能でした。

弊社との出会い

  • 当アドバイザー 菊池の印象を教えてください。

    M&Aベストパートナーズ(以下MABP)の菊池アドバイザーと初めてお会いしたのは、2024年の10月31日でした。菊池さんから電話をいただいたのがきっかけです。

    普段であれば、こうした営業の電話は「社長は不在です」と言ってすぐに切ってしまうのですが、不思議とこの時は何の抵抗もなく話が進み、その場で面会の日時まで決めていました。今思えば、いろんな偶然やタイミングが重なった結果だったのかもしれませんね。

    実は、菊池さんからは以前にDMも届いていたんです。他の仲介会社さんからも同様のDMがいくつも届いていましたが、すべて処分していました。ところが、なぜか菊池さんのDMだけはファイルに整理して残していたんですよ。後になって「あっ、この方だったんだ」と気づき、何かご縁を感じました。

    また、菊池さんのお名前が珍しく、話しているうちに高校球児だったことも分かって、一気に打ち解けました。もちろん、仕事ぶりも非常に丁寧で、M&Aに関して何も分からない私に対しても、根気よく説明してくださいましたよ。

M&Aの決断

  • ご成約までの経緯を教えてください。

    M&Aは驚くほどスピーディに進みました。2024年10月31日に菊池さんと初めてお会いし、そこから具体的な話が始まります。トップ面談や買収監修をスムーズに実施し、翌年の1月29日にはクロージングを迎えました。たった3カ月足らずと、本当にハイスピードでしたね。

    菊池さんとのM&Aに関する打ち合わせは、最初のうちは午前中に行っていました。ただ、従業員は「何の話をしているんだろう」と気になったようで、何かとロッカーの近くを通ったり、さりげなく様子を探りに来たりしていましたね。私としても、彼女たちに不安を感じさせたくなかったので、途中からは遅い時間帯に打ち合わせを調整してもらいました。

  • M&Aの際に重きを置いた点を教えてください。

    M&Aにおいて、私が最も重視したのは「スピード」です。菊池さんには最初から「できるだけ早く譲渡したい」とお願いしていました。具体的には、多くの変化が生じる4月を基点に、逆算して交渉先やスケジュールを検討してもらいました。

    また、M&Aには守秘義務が伴います。契約が締結されるまでの期間は、従業員にも周囲にも話せない。これが本当に辛かったので「できるだけ短くしたい」という思いもありました。

    結果的に、3ヶ月という驚異的なスピードで成約に至ることができました。これも、菊池さんのサポートのおかげですね。

  • M&Aの際の心配や懸念されていた点を教えてください。

    基本的には菊池さんにお任せしていたので、安心して交渉を進められました。ただ、やはりいくつかの不安はありましたね。

    最も心配だったのは「当社の状態では買い手がつかないのでは?」という懸念です。当薬局は立地には恵まれていましたが、利益率が低いという課題がありました。売上に対して薬剤師の人数が多く、一般的な薬局と比べて人件費の割合が高かったのが原因です。

    しかし、菊池さんはこの点を逆に強みに変え、譲受企業に対して非常に魅力的なプレゼンをしてくださいました。薬剤師が確保できない時代ということもあって、人数が多いことに納得してくださる譲受企業を見つけていただけました。

    もう一つ苦労したのは、M&Aに必要な書類の準備です。創業から26年も経っていると、書類の保管場所が分からなくなっているものも多く、整理するのに時間がかかりました。過去の契約書や財務関連の書類など、何度も探し回ることになって、そこは少し苦労しましたね。

  • 譲受企業さまの第一印象について教えてください。

    私は、先入観で判断するのを避けるタイプなので、ファーストインプレッションはあまり重視しないのですが、専務さんは、初対面の時からとても人当たりの良い方でした。話し方も柔らかく、誠実さが伝わってきました。そのおかげで、従業員もすんなりとM&Aを受け入れられたのだと思います。

    株式譲渡契約書(SPA)を締結した後、専務さんが従業員へ直接M&Aについて説明くださいました。その場には、女性のマネージャーさんも同席されていたんです。うちの従業員は全員女性なので、とても助かりましたね。

    また、M&A後の従業員の待遇についても、彼らは非常に配慮してくださり、とてもありがたかったです。この部分は、菊池さんにも丁寧に交渉を進めてもらえました。

  • 決め手(決意)となったポイントを教えてください。

    やはり一番の決め手は、譲受企業の経営陣とお会いした際に「この方々なら安心して任せられる」と感じたことです。何よりも「人」を見て判断したかった。従業員の雇用がしっかりと守られ、今までの体制がそのまま維持できるという点も大きかったですね。

    菊池さんには「確実に買収の意思があり、相性の良い企業を厳選して進めてほしいと要望しました。」それもあって、短期間で譲渡完了まで進めることができました。

M&Aの振り返りと展望

  • M&Aを終えられて、感想を教えてください。

    率直に言うと、今はすっきりとした解放感に包まれていて、心からホッとしています。これまで26年間、ずっと「みんなをちゃんと食べさせてあげなければ」という責任感を抱えながら経営をしてきました。従業員の生活を守ることは経営者として当然の務めですが、やはりそのプレッシャーは常に感じていましたね。

    M&Aによって「会社をどうするか」「従業員の未来をどうするか」といった悩みから解放され、ようやく肩の荷が下りたというのが、今の正直な気持ちです。

    とはいえ、実質3ヶ月という非常に短期間でM&Aが完了したこともあって、まだ譲渡した実感があまり湧いてこないんですよ。とにかく話がスピーディに進んでいったので、終わったという感覚は、少し遅れてやってきそうですね。

  • 今後の展望をお聞かせください。

    薬局については、現状のまま継続する形で譲渡しました。今後の運営はすべて譲受企業様にお任せで、安心して見守れます。

    彼らに期待しているのは、従業員の雇用の安定です。今回のM&Aを決断した、一番の理由ですので。長年一緒に働いてきた彼女たちが、これまでと変わらず安心して働ける環境が続くことを願っています。

    私自身の今後については未定ですが、なるべく楽しい老後を過ごしたいですね。時間に追われる毎日でしたが、今はゆっくり考える時間があります。これからは「自分ファースト」で、人生を楽しんでいきたいと思っています。

会社情報

企業名
有限会社復陽薬局
所在地
福岡県福岡市中央区天神3丁目10−1 14階
M&Aで達成した内容
後継者問題の解消、雇用の維持
詳細業種
調剤薬局の運営

担当アドバイザー

担当アドバイザー

日々の努力を怠らず、最後までやり抜きます。
課長菊池 風雅
得意業種
ヘルスケア
資格
  • 事業承継・M&Aエキスパート
  • M&Aストーリー

    M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
    ひとつとして同じ案件や事例は存在しません。

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