M&Aストーリー
M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
ひとつとして同じ案件や事例は存在しません。
M&Aストーリー
有限会社B・アクティヴ
M&A成約事例
譲渡企業
有限会社B・アクティヴ
代表取締役 佐藤 香紀氏 インタビュー
「今までなかなか時間が取れなかったので、ゆっくりと旅行したいですね」と、M&Aの契約を終え安堵の表情を浮かべるのは、有限会社B・アクティヴの代表取締役、佐藤香紀(さとう・こうき)氏だ。
盛岡市内で調剤薬局<リーフ薬局>を運営する同社は、2024年7月末、M&Aベストパートナーズ(以下MABP)の仲介で同業他社に株式を譲渡した。
これまで社長として会社を切り盛りしてきた佐藤氏だが、もともとは病院薬剤師の出身だ。
薬学部を卒業後、大きな病院で忙しくも平穏な日々を14年ほど過ごすが、40代に差しかかったころ、ふと「自分はこのままでいいのかな」と思うようになったという。
「周囲の知人や顔見知りのドクターたちの動向を見ていく中で、そんな思いが湧き上がってきて。ただ、別に独立したいという気持ちはそこまで強くなかったんです。まさか自分が起業することになるなんて」と佐藤氏は振り返る。
自問自答を繰り返していた矢先、独立してクリニックを開業する知り合いのドクターから「門前薬局を開かないか」と誘われ、自身も起業を決意。
「2024年に入ってから急に薬剤師が集まらなくなって。ちょうどそんな時でしたね、MABPの菊池さんが来られたのは」そう言って、佐藤氏は笑う。
B・アクティヴでは2018年頃より、複数の仲介業者からM&Aを打診されていたという。
当時は人員も確保できていた上に佐藤氏もまだまだ元気で体も動いていたためM&Aを考えることはなく、2022年5月にMABPも別の担当者が訪問しているが耳を傾けようとは思わなかったそうだ。
ところが年齢を重ねるにつれて、その考えは徐々に変化していく。
「ちょっと体がしんどいなと感じるようになって。薬剤師の確保も難しくなってきたこともあり、これはM&Aの流れかなって思ったんです」と佐藤氏は顔を曇らせる。
働き方改革やベースアップといった世の中の動きに合わせ、大手が給与の底上げを図ったこともあり、人が集まらなくなってしまったのだ。
そんな時期に訪ねてきたのが、MABPのアドバイザーの菊池だった。
「あらかじめ事情を知っていたのかと思うくらい、タイミングが良かったですね。初対面の菊池さんとは共通の趣味の話で盛り上がって。最終的には、彼にM&Aを依頼しました」と微笑む佐藤氏。
依頼の決め手については「やっぱり人柄ですね。乱暴な言い方かもしれませんが、仕事の話なんかどうでもいいんですよ。まずは世間話から入って、そこから本題に入っていく流れの方が、こちらとしても安心できますから。やり取りしていく中で、菊池さんは信頼できると感じました」と打ち明けた。
正式に依頼を受けた菊池は、M&Aの候補企業として3社ほどピックアップする。
そのうちの2社について、佐藤氏は「1社目の企業は社長が若く、勢いを感じましたが不調に終わりました。2社目の企業は良い雰囲気だったんですが、M&Aが初めてということで手続きが長期間にわたることが予想されたため、断念しました」と、交渉の経緯を語った。
そして2024年5月、今回の譲受企業となった株式会社エミアスファーマシーズ(以下エミアス社)との面会を果たす。
「正直なところ、M&Aで一番重視したのは契約金額ですね。菊池さんは私の意向を受けて、お相手探しに奔走してくれました」と明かす佐藤氏。
サポートした菊池は「譲受企業の選定で重視したのは、スピード感です。M&Aに慣れている企業の方がいいと判断しました。その方が、佐藤社長にも安心してもらえる」と考えたという。
小規模で運営される調剤薬局の場合、限られる時間の中で在宅にも出向く必要があるため、毎日きちんと資料を残したり、事業計画を作ったりという業務には手が回らないことが多い。
B・アクティヴについても、佐藤氏がある程度の書類を作成してはいたものの、M&Aとなると全く足りていない状況だった。
菊池は、M&Aに慣れている企業ならそれをカバーできると考えたのだ。
実際、エミアス社のTOPと面談した佐藤氏は「先方は、意向証明書などの書類をあらかじめ準備されていたんですよ。そこまでしてもらってという安心感がありました」と振り返る。
「これ以上、さらにまた複数社とお会いするのもお互いに大変ですからね。想定していた金額には届かない条件でしたが、菊池さんもエミアスさんを推していて、私の印象も良かったので」と、そこでM&Aに踏み切った理由を語った。
菊池も「エミアスさんは、弊社がこれまで複数回に渡ってお世話になっている株式会社ミライシアホールディングさんのグループ会社です。私も安心して任せられると思いました」と話す。
「大手企業にも打診したんですが、エリアや規模感などの条件面からなかなか厳しかったのは事実です。特に盛岡というエリアは3年後、5年後と年を追うごとにもっと厳しくなることが予想されます。佐藤社長には正直に全てをお伝えした上で、ご決断いただきました」と続けた。
佐藤氏も「この菊池さんのアドバイスが響きました。5年後となると私もほぼ70歳です。このまま続けて引退するよりは、まだ若いうちに別の世界でチャレンジしてみたいと思って」とうなずく。
かくして2024年7月31日、B・アクティヴは正式にエミアス社とのM&A契約を交わす。
「今までずっと頑張ってきましたからね。今日を迎えて、やっぱり複雑な思いがあります」
M&Aを終え、佐藤氏は今の心境を率直に吐露する。
8月に入ってからも会社への出勤は続くため、会社を譲渡した実感はまだないという。
残りの1ヵ月間は、今まで一緒にやってきたスタッフに声をかけながら、しっかりと引き継ぎをしていくつもりだ。
「さみしい気持ちは、その後に出てくるのかな」とつぶやく佐藤氏。
そんな佐藤氏は「退任して長く休みが取れたら何度か計画したけど実現できなかったローカル線の旅をしたいですね。秋田から青森まで結ばれている五能線や富士山を眺めながら走る身延線とか。何箇所か候補があるので、感謝の意も込めて若いうちに妻と一緒に旅してみたいです。ここまでやってこられたのは、何よりも妻の支えが大きかったですからね」と微笑んだ。
無事に仲介を終えた菊池は「私も岩手県の出身なので、微力ながらお役に立てるよう取り組みました。」と交渉を振り返る。
そして「佐藤社長は物事を慎重に決める方でしたが、正直にお伝えした上でご契約いただきました。お互いに本音でコミュニケーションできたことで納得感を得られたのだと思い、その部分はとても良かったと思っています」と総括した。
引き継ぎが終わる9月からは、いよいよ第二の人生に踏み出す佐藤氏。
MABP一同、心からのエールを送りたい。
M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
ひとつとして同じ案件や事例は存在しません。
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