M&Aストーリー

株式会社松栄堂薬局
M&A成約事例

新しい事業領域への挑戦を見据えた成長型M&Aを実現。

株式会社松栄堂薬局 代表取締役 松波 晋平

譲渡企業


株式会社松栄堂薬局


代表取締役 松波 晋平氏 インタビュー

M&Aに至る背景

  • 患者様への本当の意味でのケアを実現させるため、M&Aを模索。

    「今回のM&Aで今まで資金的にやりたくても実現できなかったことにチャレンジできると考えると非常にワクワクしますね」と語るのは、今回M&Aを実行した『株式会社松栄堂薬局』の代表取締役である松波晋平氏だ。

    松栄堂薬局は現代表の松波氏で3代目であり、祖父の代から地域に根差した形で経営を行っている。そのため、幼い頃から祖父や父親の働く姿を目に焼き付けて育ってきたため、将来は薬剤師となり、会社を継ぐのかなと漠然と考えるような環境だったことは間違いない。幼少期は家族で経営をしていることもあり、休日に家族で出かけることはそこまで多くなく、良い意味で放任主義だった親の影響もあり、自由に友達と遊び回っていたと話す。

    ただ、中学生に上がった頃から、調剤薬局の中で手伝えるような作業を少しずつ手伝うようになっていたため、高校生の頃には薬に関する知識をかなり習得していたという。
    もちろんその影響もあってか、「気づいた時には大学は薬学部に進学して薬剤師の道を歩むことにしていましたね」と語った。

    また、松波氏は会社を継ぐことに対して「大学在学中は家業を継いで経営していくということは全く考えていなかったので、卒業後は一般企業に就職して薬剤師として就業しようと考えていました」と大学時代の気持ちを話した。

    その当時の心情通り、卒業後は新卒で株式会社海部調剤に入社して勤務していたが、6年ほど勤務した後、2012年5月に松栄堂薬局に入社し、同年、代表取締役に就任することとなった。

    ただ、会社を継ぐことにはなったが、それまで企業経営に関して、ほとんど触れる機会がなかった。そこで経営者向けの塾に通ったり、セミナーに参加するなどして、経営者として必要な多岐に渡る知識やマインドについて学び、理解を深めることで、1日でも早く経営者として独り立ちすべく努力を重ねていたのだ。

    そんな松波氏が率いる現在の松栄堂薬局は主に在宅医療に特化している。処方箋の8割ほどが患者様の自宅や介護施設へ訪問し、処方箋の配達を行うというもので、残りの2割ほどが直接処方箋を受け取りに来る方への処方箋対応ということからも、在宅特化型の薬局として強みを持つ企業であることがわかる。

    また、直近は漢方薬を中心にお灸や入浴剤などをBtoC向けに販売する物販事業にも注力している。例えば、楽天市場などのECサイトで先述の商品を販売しているほか、イオンモールといった大型商業施設にも店舗を出店するなど、事業の多角化に向けて様々なアクションも起こしてきた。

    ただ、同時に松波氏は単独で経営していくことに対して、「限界がある」と感じ始めていた。
    「処方箋調剤だけを行うのであれば現状のままでも問題ないということはあります。しかし、本当に患者様のケアに重点を当てていくことを考えると、人材が不足していることや、仮に確保できても教育していくところまでリソースを割くことが難しいことや単独経営では今後資金的にも難しい部分がある」というように、会社の現状と課題を分析していたのだ。

    そのような会社の現状を考えた時に、松波氏はM&Aによる課題解決を図れないかと考え始めたのである。
    「ただ単に会社を譲渡して売り抜けるといったM&Aではなく、譲渡後も会社に残り、引き続き経営に参画して会社を成長させていくことが可能である成長型M&Aであれば抵抗はなかったです」とM&Aを検討し始めた頃についての心情を語った。

弊社との出会い

  • 条件面よりも従業員の待遇や将来の展望を重視。担当アドバイザーとの出会い。

    「実は数年前にM&Aを真剣に検討したことが1度だけあったんですよね」と松波氏は話した。
    当時株価算定を行った際の査定金額は、松波氏が想定していた金額を相当大きく上回る金額だったという。ただ、その際に担当していた仲介会社担当者から紹介された譲受先候補企業は、総じて様々な点で一緒になることのメリットや将来の展望に対して面白みを感じられなかったため、M&Aを進めていくことを断ったという。

    それほど松波氏は条件面よりも「自社へのメリットや従業員の待遇」「譲受企業との相性や将来の展望」という部分に重きを置いていた。

    そして1度目のM&Aから数年がたった2023年9月にMABP担当アドバイザーの永沢と初めての面談に臨むこととなった。

    初回面談に至ったきっかけは、弊社から送付した手紙を見て、松波氏から問い合わせをしたことだという。

    ただ、松波氏はこの時「MABPとの面談を設定したが、M&Aをこのタイミングでしようとは全く考えておらず、さらに業績を伸ばして数年後にM&Aを実施する時に向けた情報収集のつもりだった」と本音を語った。

    松波氏は初回面談時の永沢の第一印象を「トップ営業マンという感じの雰囲気や落ち着きを、話し方や振る舞いから感じました。知識が豊富で受け答えもわかりやすいのはもちろんなのですが、特に私が話しやすいような環境を整えながら会話をリードしてくださるところは、本当に素晴らしいなと思っていました」と当時を回想しながら語った。

    また、永沢は松波氏の第一印象を真摯に調剤や仕事に向き合っている方だなと感じていた一方、「先ほど松波氏が話されていたように、私も松波氏がM&Aの情報収集目的で来ているんだという雰囲気は表情の固さや会話の受け答えから正直なんとなく伝わってきていました」とこちらも当時感じていた本音を話した。

    ただ、それと同時に永沢は「M&Aを進めていくことにより、松栄堂薬局は間違いなく成長していくことができる」と感じたという。

    そこで、永沢は愛知県での事業拡大を検討していた、北海道に本社を構える『株式会社ミライシアホールディング』を松波氏に紹介したところ、「興味があるので1度お会いして話を聞いてみたい」と松波氏からも前向きな回答がもらえたのだ。

    そして、ここから松栄堂薬局のM&Aはスピードを上げて進んでいくこととなる。

M&Aの決断

  • 「ここしかない」と強いシナジーを感じた譲受企業との出会い

    永沢との初回面談から数か月後、松波氏は『株式会社ミライシアホールディング(以下、ミライシアホールディング)』代表取締役 神山氏とのトップ面談に臨んだ。

    実際に神山氏と話していく中で、お互いの事業内容に関することや今後の展望など様々なことを話したが、どれも松波氏にとって好印象なものばかりだったという。また、特に神山氏の人柄や価値観などに関して非常に感銘を受けたため「神山氏となら一緒にやりたい」と強く感じたという。

    神山氏も「当社は愛知県内で薬局を譲受したケースはなく、今回貴社を譲受させていただくことになれば愛知県内における調剤事業の初めての店舗になります。だからこそ1店舗は非常に重要な位置づけかつ今後は医療・介護・福祉の分野と事業を拡大していきたいので、松波氏には東海エリアにおけるミライシアホールディングの事業拡大・成長の先頭に立って、引っ張っていってほしいです」と松波氏への大きな期待を語っていたと永沢は当時の様子を話した。

    また、松波氏が一番懸念していた、「従業員の待遇面」に関しては、譲渡後も従業員全員の雇用が継続されることを神山氏から明言してもらえたこともあり、この点もクリアになった。

    松波氏にとってはまさに100点満点の回答をもらえた充実したトップ面談となり、結果的に松波氏がトップ面談を行ったのはミライシアホールディング1社のみだった。それほど、松波氏は神山氏率いるミライシアホールディングとのシナジーを感じたのである。

    そして、松波氏率いる松栄堂薬局はミライシアホールディングとのM&A契約を締結したのである。

M&Aの振り返りと展望

  • 新しい事業領域へのチャレンジに加え、愛知県内での事業拡大へも尽力。

    M&Aを実施したことを従業員に伝えたのは、ミライシアホールディングが本社構える札幌での契約締結後のことだった。
    従業員からどのような反応があるのか、内心不安な気持ちもあったという松波氏。
    会社で従業員の方々を集め、M&Aを行ったことや雇用面に関することなどを伝えると、代表の決断なので我々はそれを尊重しますと、すんなりと受け入れてくれたのだという。
    「私の決断を受け入れてくれたことは非常に嬉しかったですし、改めて皆さんと頑張っていくんだ」と決意したという。

    また、今回のM&Aを振り返り、松波氏は「これまで新しい事業領域へのチャレンジは資金的にやりたくてもやれなかったが、今回のM&Aでミライシアホールディングの傘下に入ることで、神山氏へ相談をしながら様々なことにチャレンジできるような環境になったということは非常に大きい点かなと思いますし、より一層努力していかないといけないですね」と期待感を込めて語った。

    永沢も「今回のM&Aは単なる事業承継ではなく、MABPの提唱する成長型M&Aを実現できた事例じゃないかと思います。松栄堂薬局にはミライシアホールディングスと一緒になるということで、さらに会社を大きくしていってほしいですし、松波社長だからこそ神山社長も一緒に事業をやりたいという判断になったんだと思います。他にも愛知県で調剤薬局の紹介案件が多数あった中で松栄堂薬局を選んだということは、それだけ松栄堂薬局ならびに松波社長への魅力があるんだと思いますし、今後の将来的な成長に向かって頑張ってほしい」と松栄堂薬局と松波氏への想いを伝えた。

    松栄堂薬局は、MABPの仲介によってミライシアホールディングとのM&Aを無事に終えたが、松栄堂薬局の今後の推移を見守りつつ、愛知県内におけるミライシアホールディングの事業拡大に尽力する松波氏を応援していきたい。

会社情報

企業名
株式会社松栄堂薬局
代表者
松波 晋平
M&Aで達成した内容
業界の先行き不安、成長型M&A
詳細業種
調剤薬局

担当アドバイザー

担当アドバイザー

感謝の気持ちと試行錯誤、常に全力投球で支えます。
部長永沢 渉
得意業種
ヘルスケア 建設
資格
  • 事業承継・M&Aエキスパート
  • キャリアコンサルタント
  • M&Aストーリー

    M&Aを実施する目的や背景は多岐にわたって存在するため、
    ひとつとして同じ案件や事例は存在しません。

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