「最終の勝浦」と呼ばれた元騎手がムチを置き カメラの前に立つ理由
株式会社 勝浦正樹
元騎手 勝浦 正樹氏
15,000回以上の騎乗を支えた「信頼」の積み重ね
27年もの間、勝負の世界の第一線で戦ってこられました。勝浦さんにとって、ジョッキーという仕事で大切にされてきたことは何でしょうか?
僕は、ジョッキーというのは単に「馬を操る技術者」ではないと思っているんです。もちろん技術も大事ですが、それ以上に調教師や厩務員、馬主、そして応援してくださるファンの皆さんといった、多くの方々との「信頼関係」があって初めて成り立つ仕事なんです。 例えば、毎日馬に寄り添っている厩務員の言葉にどれだけ真摯に耳を傾けられるか。それが勝利への第一歩になります。周囲の期待を背負う表現者として、誰に対しても誠実で、素直であること。この厳しい世界で27年も戦わせていただけたのは、そうした土台があったからこそだと感じています。
勝負の最前線で、共に競い合ってきた先輩や仲間の存在を、どう捉えてこられたのでしょうか?
武豊さんの冷徹なまでの冷静さ、横山典弘さんの揺るぎない安定感、福永祐一さんの果敢な攻め……。ご一緒した皆さんは、それぞれ本当に素晴らしい魅力を持っていました。そんな方々と切磋琢磨し、刺激を得られたことは、自分を高める最高の原動力になったと感じています。もちろん技術を磨くのは当たり前ですが、土壇場で一瞬の判断を下すのは、やっぱり「心の強さ」なんですよね。重賞レースなどの大舞台で、予想外の動きにも動揺せず冷静でいられたのは、常に高い壁となってくれた先輩や仲間の存在が目の前にあったからこそだと思っています。
40代で見せた「最終の勝浦」としての意地
「最終の勝浦」と親しまれ、長く第一線で活躍されました。その息の長いキャリアを支えた秘訣は何だったのでしょうか?
「挑戦し続ける意志」でしょうか。今の競馬界はデータ分析なども進化していますが、僕はそうした時代の変化を拒まず、自分の経験と新しい視点をうまく融合させていきたいと考えてきました。 40歳を超えても「まだやれる」と自分の限界を決めず、泥臭くトレーニングに励む覚悟が、長く続けられた理由かもしれません。ただ、どんなに時代が変わっても、お世話になる方々や馬に対する「敬意」と「謙虚さ」だけは、絶対に忘れてはいけないものだと後輩たちにも伝えていければと思っています。
長年、馬と共に歩んできた勝浦さんだからこそ見える「競馬の魅力」は何でしょうか?
競馬の魅力は、決して勝利数という数字だけで測れるものではありません。心・技・体が揃って初めて生まれる「真の強さ」があります。 ジョッキーは決して一人で戦っているわけではありません。本当に多くの方の支えがあって、舞台に立つことができる。だからこそ、技術以上に「人間としての誠実さ」を磨き、周囲から信頼される人間であることが、勝負の世界を生き抜く鍵になると信じています。そんな「人との繋がり」を何より大切にして歩んできたからこそ、引退を決めた時は、今まで経験したことのない不安が沸き上がってきました。
環境が変わっても「途切れない繋がり」
引退を意識した際、心境の変化はありましたか?
中学を卒業してすぐに競馬学校に入り、それからずっと「騎手・勝浦正樹」として多くの方々に支えられて生きてきました。だからこそ、ジョッキーを辞めるとなった時に何よりも一番不安だったのが、「これまで築いてきた人との繋がりが、ぷつりと途切れてしまうのではないか」ということでした。
以前から、お世話になった調教師の先生などが引退される際、あんなに親しくしていたのに引退した途端にパタリと会う機会がなくなってしまう様子を何度も見てきました。それは自分の中で「すごく寂しいこと」として強く印象に残っていたんです。いざ自分が美浦トレセンを去る番になった時、「今まで仲良くしていた人たちと、もう会えなくなるのではないか」と思うのが一番嫌でしたし、何より怖かったですね。
以前から、お世話になった調教師の先生などが引退される際、あんなに親しくしていたのに引退した途端にパタリと会う機会がなくなってしまう様子を何度も見てきました。それは自分の中で「すごく寂しいこと」として強く印象に残っていたんです。いざ自分が美浦トレセンを去る番になった時、「今まで仲良くしていた人たちと、もう会えなくなるのではないか」と思うのが一番嫌でしたし、何より怖かったですね。
実際に引退されてみて、その不安はどう変わりましたか?
いざ外に出てみると、自分から足を運べば昔からの仲間たちがそこにいて、みんな変わらず優しく接してくれました。今でも連絡を取り合っている仲間も多いですし、それは本当に幸せなことだと感じています。 それに加えて、YouTubeをはじめるきっかけにもなった、新しい出会いも生まれています。多くの人に支えられている環境が本当にありがたいです。
2026年、YouTubeという未知のゲートへ。競馬界への恩返しを胸に
競馬から離れた今、どのような活動をされていますか?
引退後も後輩の育成や競馬界への貢献は続けています。競馬に対する熱い思いは変わらず、競馬は馬だけでなく多くの人の支えで成り立っていると改めて感じています。調教師や厩務員、馬主、ファンなど、多くの人の力が一体となって競馬が成り立っていることを伝え、若い騎手が安心して成長できる環境づくりにも力を注いでいます。
YouTubeチャンネルを始めたきっかけを教えてください。
武豊さん経由で紹介してもらったマーケティング会社の方から「YouTubeをやってみませんか」と強く背中を押していただいたのが始まりです。実は、以前から「信頼できるプロフェッショナルな方と一緒にできるのであれば、挑戦してみたい」という気持ちは持っていたので、思い切って飛び込んでみました。
チャンネル開設から約1か月、今の心境はいかがですか?
恥ずかしながら、最初はどこか「なんとかなるだろう」という甘い考えがあったと思います。でも、いざ始めてみると決して簡単な世界ではありませんでした。動画を一本出すにしても、多くのスタッフが動き、多大な労力がかかっています。もともとおしゃべりは好きですが、人前で発信することはまた別で、発信する側としての責任も感じています。周りの支えがなければ、自分一人では絶対に無理だったと痛感しています。 最初はコメント欄を見るのが本当に怖かったんです(笑)。でも、いつまでも自分の評価から逃げていてはいけないと思い直しました。実際に見てみると、厳しい意見だけでなく、温かい励ましの声もたくさん届いていました。至らない点は真摯に受け止めて直していきたいですし、自分を成長させる大きなチャンスにしていきたいです。
最後に、これからどんなYouTubeチャンネルを目指していきたいですか?
根幹にあるのは、「ファンの皆さんに喜んでもらえる競馬コンテンツ」を届けることです。競馬に関わる様々な職種にスポットライトを当てる企画など、僕自身も学びながら配信しています。一方で、競馬を全く知らない人に向けた発信も面白いのではないかと考えています。自分が当たり前だと思っていた競馬の世界を、ゼロから分かりやすく伝える。そうすることで、少しでも競馬界を盛り上げる恩返しができれば嬉しいです。 視聴者の方のコメントで「動画を出してくれて、ありがとうございます」という言葉をいただくことがあり、それが何よりも励みになっています。この感謝の気持ちを忘れずに、これからも皆さんに喜んでいただけるような活動を続けていきたいです。
COMPANY INFO会社情報
- 企業名
- 株式会社 勝浦正樹
- 代表者
- 勝浦 正樹
- ホームページ
- https://www.youtube.com/@masaki_katsuura