土木事業からグループ拡大と地域社会への貢献へ。多くの経営者輩出も目指していく。

土木事業からグループ拡大と地域社会への貢献へ。多くの経営者輩出も目指していく。

株式会社 永賢組
代表取締役
永草 孝憲氏

祖父から父、父から自分へ受け継がれてきた会社。父の病をきっかけに社長に

株式会社永賢組の代表取締役社長である永草 孝憲氏は、会社の歴史と自身の歩みを語る中で、祖父、父、自分と三代にわたる家族経営の流れを振り返る。
「弊社は1955年、戦後の復興期に祖父が愛知県春日井市で創業しました。当時、土木事業から始まり、地域のインフラ構築に貢献していました。」
そう語る永草氏は、先代の思いと地域への責任感を大切にしているようだ。

「祖父から父親への継承は、自然な流れで進んでいきました。初期の永賢組は、土木事業を中心に戦後日本の復興を支えていましたが、その後、経営の拡大とともに、中堅ゼネコンの現場監督として働いていた父親が二代目として会社を継ぐことになったんです。2000年、創業者である祖父の死去に伴い、父親が社長として事業を継承しました。父親は、より多角的な経営を目指し、会社の基盤を強化しました。」

永草氏は、その後、父の死を機に社長を引き継ぐことになったが、準備が整っていない状態での突然の就任だったようだ。
「父親が病気で急に亡くなり、私が社長になったのは突然のことでした。事前の計画もなく、どう経営していくべきか全く分からない状態でした」と当時の不安を語る。

就任後、永草氏はまず経費削減に取り組み、時には従業員の給与も含めてコストカットを行ったそうだ。
「リーマンショックの影響で、会社は厳しい状況に陥っていました。しかし父親の遺志を継ぎ、社員全員が協力して経営改革に取り組むことができたのは幸運でした。」と語る。

さらに永草氏は、経営を引き継いでからお客様とのコミュニケーションを重視してきた。
「先代が築いたお客様との関係を壊さないよう、自らも積極的に顔を出して関係を維持するよう努めました。その結果、お客様からの信頼を得ることができ、父親の繋がりから仕事を引き継ぐことができたんです。」

就任当初、経営者としての経験が不足していたため、永草氏は多くの困難に直面した。しかし先代が築いた人間関係の重要性を理解し、それを活用することができた。
地域のお客様や取引先との繋がりを大切にし、地元のゴルフクラブでの交流などを通じて、営業活動を展開したのだ。
その結果、少しずつ売り上げが回復していったという。

永草氏は今後の永賢組の目標として、地域だけでなく、国内外の社会問題解決にも積極的に取り組むことを掲げている。
「祖父や父親が築いた基盤を大切にしつつ、より多くの人々の役に立つ事業を展開していくことが私たちの使命です。」と永草氏は力強く語った。

これまでにも数件のM&Aを経験してきた永賢組

これまでにも数件のM&Aを経験してきた永賢組
永草氏は、これまでにも数件のM&Aを経験している。
「事業を拡大しつつも、単に努力するだけでは限界があると感じていました。それでヘッドハンティングやM&Aなど、新たな戦略を模索し始めたんです。」

過去のM&Aについて、「最初の取引では、いくつか反省点がありました。急ぎで進めてしまったために、後悔している点もあります。」と振り返った。
最初の案件を取り組んだ後、すぐに知り合いから3件目の案件が舞い込むなど、思わぬ展開もあったそうだ。

「M&Aを決めたのは、面談がスムーズに進んだことが大きなポイントでした。仲介会社の存在は、お互いにとって良い結果につながるような接点を作ることに、大きく寄与していると確信しています。」
これまでに数件のM&Aを経験してきた永賢組は、M&Aのプロセスを通じて、お互いに良好な関係を築きながら、事業の拡大を進めてきたことが伺える。

M&Aの決断~山建重機との出会いへ~

M&Aの決断~山建重機との出会いへ~
山建重機とのM&Aを成功させたことにより、永賢組は事業の幅を広げ、新たなシナジー効果を期待しているそうだ。
「面談がスムーズに進んだのは、事前に相手方の情報をしっかり得ていたからです。仲介会社を通すことで、普段知り得ない情報を得られるとともに、専門的なサポートを受けることができました。」

永賢組と山建重機のM&Aによって、両社のエリアが近いことから、互いの仕事を融通しやすくなったという。
永草氏は、「私たちの取った仕事を山建重機に任せることができるし、逆に、山建重機が持っていた案件を私たちに紹介してもらうこともあります。」と、双方にとってのメリットを強調している。

加えてこのM&Aでは、お互いの強みを活かすことができるようになった点が大きな魅力だ。
永草氏は、「公的な仕事や解体作業など、お互いの強みと弱みを補完し合うことで、事業を拡大していきたいです。山建重機の経験と技術は、私たちの事業基盤を強化してくれるでしょう。」と期待を寄せている。

すでに山建重機との連携が進んでおり、具体的なプロジェクトも始まっているそうだ。
「解体作業などの分野では、私たちがカバーできなかった部分を山建重機が担ってくれます。早速、見積もりを依頼し、現場での作業も開始しました。」と永草氏。
M&Aの効果が実際に現れ始め、ビジネスの安定性を高めることに繋がっているようだ。

永賢組は、今後もM&Aを戦略的に活用していく計画だそうだ。
「土木業界では人材不足が深刻化しています。M&Aを通じて、人材の引き継ぎやノウハウの継承を図りながら、事業の拡大を目指します。私たちは、業界の成長や社会的な課題に対応するため、M&Aを続けていく必要があると考えています。」と、今後の展望を示している。

採用戦略としては、ヘッドハンティングを含む多様な方法を取り入れている。
「私が社長になってからは、ヘッドハンティングなどの手法を用いて、強力な人材を集めています。会社のビジョンやマインドセットを明確にし、それに共感してくれる人材を求めることが重要です。」

M&Aによって、永賢組はさらに成長の機会を得た。
永草氏は、「お互いにとって良い気持ちになり、前向きな関係を築くことができるのが、M&Aの魅力です。良い方とマッチングし、共に成長していくことで、これからも事業を拡大していきたい。」と、自信を見せた。

今後の展望 ~グループとしての想いは幸せの追求。多くの経営者を輩出していくことも視野に~

今後の展望 ~グループとしての想いは幸せの追求。多くの経営者を輩出していくことも視野に~
一貫して永草氏が目指しているのは、社員、お客様、そして地域社会の幸せを追求する企業だという。

「社員の幸福を考え、お客様の幸福を追求し、さらに地域社会全体の幸福を目指すというのが私たちの理念です。」と語る。
そのために永賢組は、ハードの部分である土木、建築、不動産の事業を展開しつつ、これらの理念に共感する賛同企業を増やすことを目指している。

永草氏は、「私たちの企業はまだホールディングスにはなっていませんが、お客様や社員、地域社会の幸福を追求する『ウェルビーイング』をコンセプトにしています。」と、企業としての方向性を示した。
その一環として、来期120億円、中期的に500億円規模を目指すにあたり、永賢組は後継者のいない会社を引き継ぐM&Aを通じて企業を増やしていく戦略を取りながら、経営集団を形成していく計画を考えているそうだ。

「私たちの事業に賛同してくれる企業が増えることで、事業を拡大し、さらに幸福企業としての価値を高めていきたい。」と話し、M&Aに関しては「社名や風土を残し、譲渡頂く会社社長のやりたかった事を実現して、当社で良かったと思って頂く」とも話した。

また永草氏は、社内から経営者を輩出することにも力を入れている。
「将来的には、永賢組から多くの起業家を輩出し、それぞれが独立して活躍できるようにしたいです。M&Aを進める際にも、社内の社員が経営者として活躍できる場を提供することが重要だと思っています。」と、社内の起業家育成に関する考えを述べている。

「私はまだまだ修行中ですし、結果を出しているわけではありませんが、起業家として大事なのは、諦めないことだと思います。私自身、格闘家から建設業界に入り、さまざまな困難に直面しましたが、何度も立ち上がってきました。」と、自身の経験から、起業家を目指す人々に向けてメッセージを送った。

永草氏は、失敗しても何度でも立ち上がることが大切だと言う。
「私も何度も『これ会社が潰れるな』と思ったことがありますが、諦めずに続けることで、少しずつ前進してきました。たとえ失敗しても、長いスパンで物事を考え、再び挑戦することが重要です。」と、自身の体験をもとに語る。

祖父の代から繋いできた地域社会への思い、そして未来へ

株式会社永賢組は、1955年に創業された当初から、地域社会の再生と発展に取り組んでいる。
永草氏は、「創業者が戦争後に事業を始めたとき、地域の人々のために清掃業や河川の整備などさまざまな活動を行っていました。祖母は自宅を会社にし、従業員のために寝泊まりする場所を提供したり、食事を供給したりしていました。」と、地域への根強い貢献精神を語った。

そんな祖父の代から続く思いを引き継ぎ、現在はCSR活動として、全国のイオンモールで『100万人のクラシックライブ』を開催しているそうだ。
まさに地域社会とのつながりを強化するための取り組みであり、音楽を通じて人々を繋げる試みである。
また無料の塾を開設したり学校と連携したプロジェクトを検討したりと、地域の子供たちの教育支援にも力を入れているという。
「無料の塾は、地元の方からの要望に応える形で始めました。『100万人のクラシックライブ』は、私たちが建設業として地域に環境を提供する一環として、コミュニティを作るためのプロジェクトです。」と、永草氏は語った。

そして永賢組は、建設業界におけるDX(デジタル・トランスフォーメーション)にも注目している。
永草氏は、「これからは、建設業界での効率化や無駄の削減が重要です。高齢者が増える中で、より効率的なシステムを構築しようと現在も取り組んでいます。」と、今後の展望を語った。

彼は会社の成長を目指す一方で、CSR活動を続けることの重要性を強調。
「私たちは、ただボランティアをするだけではなく、ビジネスの成長と地域社会への貢献を両立させたいと考えています。利益を出しながら、社員やお客様、地域社会に幸せをもたらすことが目標です。」と、企業の理念を明確にした。

最後に永草氏は、「これからもお客様やパートナーに『やってよかった』と言ってもらえるよう、最善を尽くします。」と、ビジネスと地域社会の双方に貢献することを誓っている。
建設業界での革新を続けながら、地域社会とのつながりを大切にし、未来に向かって進んでいく姿勢が印象的なインタビューとなった。

COMPANY INFO会社情報

企業名
株式会社 永賢組
代表者
永草 孝憲
所在地
〒486-0829 愛知県春日井市堀ノ内町4丁目1-20
設立
1955年3月
事業内容
土木工事業、建築工事業、不動産業
ホームページ
https://www.nagaken.com/