2023年7月27日

老人ホームのM&A動向は?メリットや成功するコツも解説

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老人ホームのM&A動向は?メリットや成功するコツも解説

世界一の長寿大国である日本において、高齢者の安定した生活をサポートする老人ホーム業界は、今後の拡大が見込まれています。

老人ホームの経営が厳しい事業所や、事業拡大を狙う企業から注目されている譲渡手段がM&Aです。

ただし、M&Aを成功させるにはいくつかのコツを押さえておかなければなりません。

今回は、日本の老人ホームの現状とM&Aの動向を紹介した上で、メリットや成功のコツを解説します。

老人ホームの概要と現状

老人ホームの概要と現状

老人ホームのM&Aを考えるにあたり、まずは老人ホームの概要について正しく把握しておくことが大切です。

ここでは、そもそも老人ホームとはどのような施設なのか、種類や現状について詳しく解説します。

 

老人ホームとは

老人ホーム」とは、自立や生活が困難な高齢者が入所し、サポートを受けながら生活する施設です。

原則として、国からの介護認定を受けた高齢者が利用できます。近年、高齢化の影響で老人ホームの需要が高まるにつれ、市場に新規参入する企業が増加しました。

老人ホームのサービス内容は、事業所の種類によって異なるのが一般的です。健康管理や介護、食事補助などさまざまなサービスが展開されています。

 

老人ホームの種類

老人福祉法に基づき、主な老人ホーム・介護施設以下3種類に分けられています。

  • 介護老人福祉施設
  • 介護老人保健施設
  • 有料老人ホーム

まず、介護老人福祉施設とは、要介護認定を受けた高齢者に対し、日常生活の介助と健康管理、医療的ケアを提供する事業所です。

特別養護老人ホームとも呼ばれ、具体的には以下のような施設が該当します。

  • 老人デイサービスセンター
  • 老人短期入所施設
  • 養護老人ホーム
  • 特別養護老人ホーム
  • 軽費老人ホーム
  • 老人福祉センター
  • 老人介護支援センター

介護老人福祉施設では可能な限り在宅復帰を目指しますが、長期間の入居が前提になっており、期間に制限はありません。

次に、介護老人保健施設とは、医療やリハビリテーションの提供を通し、自立した日常生活に戻れるよう支援する事業所です。老健とも呼ばれています。

在宅への復帰を前提としているため、入居期間は約3ヶ月ごとに見直される仕組みになっています。

続いて、有料老人ホームとは、高齢者に食事や家事、日常生活の介助と健康管理を提供する事業所の総称を指します。設置の目的は、利用者の健康的で安定した暮らしをサポートすることです。

主に以下3つに分けられ、それぞれ提供するサービス内容が異なります。

  • 「介護付有料老人ホーム」:介護の提供
  • 「健康型有料老人ホーム」:生活支援の提供
  • 「住宅型有料老人ホーム」:食事等の提供

なお、上記のうち介護ができるのは介護付有料老人ホームのみです。

ほか2つは施設内での介護は不可と定められており、利用者の状態によっては退去しなければなりません。

 

老人ホームの現状

日本の老人ホームの現状として挙げられるのは、以下のとおりです。

  • 人手不足
  • 後継者不足
  • 老人ホームや施設の増加
  • 経営難

日本では要介護認定を受けた高齢者が増加しており、業界全体の人手不足が懸念されています。厚生労働省による調査では、介護従事者自体は年々増加しているのが現状です。

しかし、令和5年4月の介護サービスの有効求人倍率は、4.74倍と高く、人手不足が続いていることが分かります。

また、介護業界では後継者不足も否めません。老人ホーム市場は今後さらに拡大・進展すると見込まれます。

厚生労働省が公表した「令和5年度版高齢社会白書」によると、日本の高齢化率は29.0%です。なお、要介護認定を受けている65歳以上の高齢者は令和2年時点で668万9,000人です。

ところが、少子高齢化の影響により業界全体で後継者不足が否めず、事業から撤退する施設もあります。

さらに、老人ホーム業界の競争の激化も中小事業主にとって悩ましい問題です。異業種の大手企業が老人ホーム業界に新規参入するケースも多く、令和3年10月1日時点で、有料老人ホームは前年比4.8%増となっています。

小さな事業所では大企業の堅固な経営基盤に太刀打ちできず、苦戦を強いられている施設も少なくありません。

(引用元:一般職業紹介状況(令和5年4月分)について|厚生労働省

(引用元:令和5年度版高齢社会白書|厚生労働省

(引用元:令和3年介護サービス施設・事業所調査の概況|厚生労働省

老人ホームのM&A動向

老人ホームのM&A動向

老人ホーム業界では、現状の課題解決を背景とし、大企業によるM&Aが盛んに行われています。

最近のM&Aの動向を、以下2つの観点からみていきましょう。

  • 既存の大手事業者
  • 異業種の事業者

既存の大手事業者は、主に新規地域拠点の開拓を目標として中小事業者の買収を進めています。事業のエリアや規模の拡大により、利益を最大化することが狙いです。

また、地域的な連携体制の構築や、人手不足の解消も目的の一つです。逆に、採算が取れない事業所を中小企業に引き渡し、事業から撤退するためにM&Aを主導する大企業もあります。

異業種事業者の場合、主に新規参入を目指してM&Aが行われるのが一般的です。介護・老人ホームは数少ない成長市場であり、異業種からの参入が増加しています。

投資ファンドからの支援目的でM&Aを利用するケースも珍しくありません。

【売り手】老人ホームのM&Aメリット

【売り手】老人ホームのM&Aメリット

老人ホームのM&Aを進めることで、売り手にとって次のようなメリットが得られます。

  • 売却益を得られる
  • 事業承継の問題を解決できる
  • 従業員の安定雇用が可能になる
  • 利用者へのサービスが向上する

M&Aを利用すれば、経営状況の悪化や後継者不足など、現代の老人ホーム業界におけるさまざまな問題の解決が図れるでしょう。それぞれのメリットについて詳しく説明します。

 

売却益を得られる

M&Aにより、売却した事業所の規模・価値に応じた売却益の獲得が可能です。

経営は赤字だったとしても、不動産的価値や入居者数、従業員の質などによって大きな利益を得られる可能性があります。

売却益を利用し、新事業の立ち上げだけではなく、引退後の生活費など、自由に使える資金を手に入れられるでしょう。

 

事業承継の問題を解決できる

M&Aで老人ホームを売却して第三者に事業を譲渡することで、後継者不在による事業承継問題を解決できます。

後継者がいなくとも、事業をそのまま買い手企業に託せるためです。

老人ホームに限らず、事業承継は厳しい問題であり、経営者が高齢になるほど経営が難しくなります。少子高齢化のほか、過酷な介護業界に対するマイナスイメージなどにより、事業の後継車が見つかりづらい状況です。

通常、後継者がいなければ廃業を余儀なくされます。M&Aを利用することで、廃業を回避できるでしょう。

 

従業員の安定雇用が可能になる

従業員の安定した雇用を守る手段としてもM&Aは有効です。

もし事業を継続できずに廃業になった場合、従業員は職を失うことになります。M&Aで事業の継続が決まれば、従業員は解雇を免れ、継続して雇用が確保できるでしょう。

M&Aによる事業再編で、従業員が大幅に減らされるリスクを懸念する声もあります。しかし、介護業界は総じて人手不足であり、経営の要となる人材を簡単に解雇する可能性は低いでしょう。

 

利用者へのサービスが向上する

M&Aを利用することで、サービスの質の向上につながるケースもあります。

たとえば、大手既存事業者によるM&Aの場合、事業承継とともに独自のノウハウが伝えられ、よりよいサービスを提供できる可能性があるためです。

また、大手事業者の豊富な資本金によって、安定した事業運営も可能になります。事業承継によって新たなサービスを展開する可能性も出てくるため、利用者のニーズにより応えられるようになるかもしれません。

 

【買い手】老人ホームのM&Aメリット

買い手側における老人ホームのM&Aのメリットは、以下のような点が挙げられます。

  • 事業エリアや事業領域を拡大できる
  • スケールメリットを得られる
  • 介護人材を確保できる
  • スムーズに新規参入できる

新規参入や事業拡大を狙う企業・事業所にとって、経営不振の原因となりがちな懸念を払拭する手立てになるでしょう。それぞれのメリットについて、詳しく解説します。

 

事業エリアや事業領域を拡大できる

M&Aで事業所を買収することで、今まで進出していなかったエリアに事業を拡大できます。

通常、エリア拡大には費用がかかる上、競合他社の存在もあり、すぐには収益を挙げられないケースも少なくありません。

しかし、M&Aで既存事業を買収できれば、資金面の負担を抑えられるだけではなく、顧客もそのまま獲得できます。今後成長が予想される領域への進出も容易になるでしょう。

 

スケールメリットを得られる

M&Aによって事業所数が増えれば、事業の規模が拡大するため、大規模事業者ならではの利益を獲得できます。

特に、老人ホーム事業はスケールメリットを得やすい業界です。

事業規模が大きくなれば、運営していくうえで必ず必要になる食品・生活用品を購入する際に大量購入による割引を受けられ、費用を抑えられます。

また、大企業のブランド力により、進出した地域で新規取引先を開発できる可能性もあるでしょう。

 

介護人材を確保できる

即戦力となる人材を確保できる点もM&Aのメリットの一つです。

老人ホーム事業に参入・拡大する際、多くの場合に問題となりやすいのは人手不足です。

新たに従業員を雇おうにも、介護業界は有効求人倍率が高いため、他社より優れたメリットを提示できなければ思うようにスタッフが集まらない可能性もあります。

M&Aを利用すれば、人手不足が解消できるだけではなく、従業員の研修や教育まで手を回せるようになり、よりよいサービスの提供が可能になるでしょう。

 

スムーズに新規参入できる

M&Aで事業を開始する場合、何もないところから新たに事業を立ち上げるより、異業種からでも参入しやすい傾向にあります。

通常であれば、新規参入する際は市場調査から取りかかり、取引先や顧客の営業にもリソースを割かなければなりません。

M&Aでは、すでに運営している老人ホームを買収するため、新規参入にかかる上記の手順が不要になります。

介護サービスを提供する際に必要となる、地域の医療機関との連携も容易です。準備時間が大幅に短縮できるため、スムーズに進むといえます。

老人ホームのM&Aを成功させるためのコツ

老人ホームのM&Aを成功させるためのコツ

老人ホームのM&Aを成功させるための4つのコツをご紹介します。

  • 買収後のイメージを明確にする
  • 買収予定の企業のビジネス方針と合致しているか見極める
  • 引継ぎにも焦点を当てる
  • 多角的な視点でデューデリジェンスを行う

M&Aは売り手・買い手ともにさまざまなメリットがある事業承継手段です。しかし、ただ買い取ればいいというわけではありません。

効率的に事業を展開するため、検討段階であらかじめ構想を明確化しておく必要があります。買収後のイメージは、可能な限り具体的にイメージしてください。

方針のマッチングには、買収予定の企業と自社との相性を見極めることが重要です。相手先の事業内容を精査し、自社と相手企業の相性を見極めましょう。

また、買収した事業所の雇用環境の改善やスキルアップ支援など、従業員へのサポート体制を充実させることをおすすめします。

M&Aがスムーズに進み、結果的に従業員の継続的な確保およびサービスの質の向上にもつながるでしょう。

なお、デューデリジェンスとは企業価値・リスク調査のことであり、一般的には財務的な調査を指します。

周辺地域の動態調査や競合事業所の動向、法務なども含め、あらゆる面から多角的に調査すれば、経営上のリスクを最小限に抑えられるでしょう。

M&Aの成功の要は上記のような事前準備ですが、知識やスキルがなければ困難をともなうケースも少なくありません。

不安がある場合は、M&Aのコンサルタントに相談すれば、専門的なノウハウを基にした適切なアドバイスが得られます。

まとめ

M&Aは、買い手の老人ホーム業界への参入・事業拡大に有効な手段です。

老人ホーム市場は日本でも数少ない成長産業ですが、人材・後継者不足や経営難から存続の危機に陥っている事業所が多く、成功のチャンスが掴みやすい業界だといえます。

また、売り手にとっても、売却益が得られるだけではなく、廃業や従業員の解雇を免れるために効果的な手段となります。

M&Aの効果を最大限に活かすには、売却前の事前準備および複合的なデューデリジェンスが必要です。

「M&Aのコツが分からない」「成功させたい」とお悩みなら、M&A・事業承継 のエキスパートであるM&Aベストパートナーズへご相談ください。

M&Aに関する専門知識および蓄積されたノウハウを基に、質の高いサポートをご提供します。

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